


瞬・イン・ザ・シェイド
あと少しだ。
もう少し・・・
もう少しこの手を伸ばせば・・・
そう、それだけでいい。
でも・・・
高見瞬は決心した。
迷いはある。
まだ・・・
しかし・・・
やらなければいけない
そこまで行ってやっと行動に移す。
自身の右手を前に伸ばす。
そして、前の席にいる男の肩を・・・
その瞬間だ。
「よう静寂、新しいデック作ったんだ、やろうぜ。」
「純一、昼休みになるまで待てよ。」
高橋純一が前の男・・・二階堂静寂に声を掛けたのだ。
そして2人はデックについてとりとめもなく語りだした。
か、完全にタイミングを逃してしまった・・・
目的を失った右手が宙をさまよう。
ああ・・・また駄目だった・・・
高見瞬はブレザーの内ポケットにあるデックを右手で確かめながら思っていた。
たった一言でいいんだ、『二階堂、俺と勝負しようぜ』と言えれば・・・
高見瞬が初めてのデュエルをするのはまだ先のことである。
第35回 完
