P THE MEN WHO HAVE ENDED
P終わっている男達
P第45回
逆襲のK



 「本当にやるんですか、K吾さん・・・」

 二階堂静寂がとなりの男に声を掛ける。

 「ああ、お前もそのつもりだから来たんだろう?」

 K吾(MIB対策のため仮名)はニヤリと笑って答えた。

 「でも・・・」

 深夜、高校に忍び込む二つの影。

 「六門世界とこの世界をつなげる。」

 そう、K吾は昨日宣言したのだ。

 半信半疑・・・いや、そんなことはできないと頭では解っている。

 しかし、K吾は今までも・・・いや、それこそが幻覚、妄想だったのではないのか。

 2人は黙って歩いた。

 校舎は一ヶ所だけいつも鍵が開いている。

 そこから2人はなるべく音を立てずに入る。

 校内はシンとしていた。

 そして屋上の鍵を開け外へ出る。

 何故K吾が鍵を持っていたかは今でも不明だ。

 10月も遅い日だ。

 静寂は身震いした。

 寒さのせいだけではない。

 (ココで・・・)

 静寂の考えを読んだようにK吾が言った。

 「ココで六門世界とこの世界をつなげる扉を開く!」

 (やっぱり本気だった・・・)

 「あの体験を元に俺は卒論を書いた、しかし頭の固い教授がそいつを蹴ったのさ。」

 そう、K吾は六門世界に召喚されたことがあるのだ。

 いや、そう信じている人間がここに居る。

 「俺は証拠を自分で作り上げる。そして俺を馬鹿にした学会に復讐してやるんだ!なにが『DマイナーだよK吾君、落第だ。』だ、クソッ!!」

 本気だ本気の目だ、いや狂気に侵された人間の目にも似ている。

 しかし、もう引き返せない。

 狂気は恐るべき感染力で伝染するのだ・・・

 K吾は校内で失敬したチョークで魔法陣を書き始めた。

 その中央に一枚のカードをセットする。

 『ゲート』だ。

 そして香を焚いた。

 嫌な予感がした・・・静寂はK吾に聞いた。

 「このゲートが開いたら、向こうのモンスターがこっちの世界に来てしまったりしないんですか?」

 「いや、これから開く門は選ばれた人間にしか通ることはできない。向こうの世界で覚えてきたとっておきの呪文さ。」

 (安心・・・してもいいのだろうか。)

 静寂は魔法陣の中に入った。

 それを見てK吾は『ゲート』のカードに血を一滴垂らす。

 刹那、閃光が走った。




 屋上には2人の男が立っていた。

 数分前と何も変わらぬ姿で。

 K吾は感情の解らぬ声でつぶやいた。

 「・・・選ばれなかったか。」


第45回 完
P第46回

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