


逆襲のK
「本当にやるんですか、K吾さん・・・」
二階堂静寂がとなりの男に声を掛ける。
「ああ、お前もそのつもりだから来たんだろう?」
K吾(MIB対策のため仮名)はニヤリと笑って答えた。
「でも・・・」
深夜、高校に忍び込む二つの影。
「六門世界とこの世界をつなげる。」
そう、K吾は昨日宣言したのだ。
半信半疑・・・いや、そんなことはできないと頭では解っている。
しかし、K吾は今までも・・・いや、それこそが幻覚、妄想だったのではないのか。
2人は黙って歩いた。
校舎は一ヶ所だけいつも鍵が開いている。
そこから2人はなるべく音を立てずに入る。
校内はシンとしていた。
そして屋上の鍵を開け外へ出る。
何故K吾が鍵を持っていたかは今でも不明だ。
10月も遅い日だ。
静寂は身震いした。
寒さのせいだけではない。
(ココで・・・)
静寂の考えを読んだようにK吾が言った。
「ココで六門世界とこの世界をつなげる扉を開く!」
(やっぱり本気だった・・・)
「あの体験を元に俺は卒論を書いた、しかし頭の固い教授がそいつを蹴ったのさ。」
そう、K吾は六門世界に召喚されたことがあるのだ。
いや、そう信じている人間がここに居る。
「俺は証拠を自分で作り上げる。そして俺を馬鹿にした学会に復讐してやるんだ!なにが『DマイナーだよK吾君、落第だ。』だ、クソッ!!」
本気だ本気の目だ、いや狂気に侵された人間の目にも似ている。
しかし、もう引き返せない。
狂気は恐るべき感染力で伝染するのだ・・・
K吾は校内で失敬したチョークで魔法陣を書き始めた。
その中央に一枚のカードをセットする。
『ゲート』だ。
そして香を焚いた。
嫌な予感がした・・・静寂はK吾に聞いた。
「このゲートが開いたら、向こうのモンスターがこっちの世界に来てしまったりしないんですか?」
「いや、これから開く門は選ばれた人間にしか通ることはできない。向こうの世界で覚えてきたとっておきの呪文さ。」
(安心・・・してもいいのだろうか。)
静寂は魔法陣の中に入った。
それを見てK吾は『ゲート』のカードに血を一滴垂らす。
刹那、閃光が走った。
屋上には2人の男が立っていた。
数分前と何も変わらぬ姿で。
K吾は感情の解らぬ声でつぶやいた。
「・・・選ばれなかったか。」
第45回 完
