


幸せの白いネズミ
「お兄ちゃん、ね、ネズミが!」
突然、隣の部屋から叫び声が聞こえた。
ネズミ・・・
嫌な予感が走った。
次の声がそれに拍車を掛ける。
「し、白いネズミ!」
白!
よりによって白!
白いネズミ・・・考えただけで震えが来る。
俺はネズミが苦手なんだ。
それも白が特に。
想像する・・・
白いネズミが一匹居る所を・・・
しかし、いつの間にかあちこちからわいてくる・・・
2匹、3匹、4匹、5匹・・・・・・
ウジャウジャと俺を取り囲む・・・
ああ・・・
「お兄ちゃん!!早く、早く、逃げちゃうよ!!」
妹の声が俺を悪夢から解き放つ。
しかし、現実さえも悪夢と変わらない。
そう、逃がしとけばいいのだ・・・
そんなモノ見たくもない。
「あっ、このネズミ、背中に星みたいな・・・」
俺は妹の言葉を最後まで聞かなかった。
ラブスター?
そうか、俺は勘違いしていた。
それなら捕まえないと。
幸運をもたらすネズミ。
そうと知っていればさっきの夢想は全くの損だった。
そう、すぐ隣の部屋に幸せがあるのだ。
俺は妹の部屋に入る。
見つけた。
ラブスターだ!
フッと、そのネズミがこちらを見た。
目があった、瞬間。
そのネズミが「モンモンモン」と鳴いた・・・
景色が暗転した。
「お兄ちゃん、ね、ネズミが!」
隣の部屋から妹の声が聞こえた。
・・・夢・・・だったのか。
俺は少しだけ安心していた。
次の妹の声を聞くまでは・・・
「黄色いネズミが!!」
隣の部屋から「ピカ〜」と言う鳴き声が聞こえたような気がした・・・
第48回 完
