


トラップ
「モンコレは本陣を賭ける。そうだな?」
「それは・・・」
二階堂静寂は生徒指導室に呼ばれていた。
「校則、第45条言って見ろ。」
呼び出したのは生徒指導部の顧問、中田だ。
「・・・校内での賭事は金額の多寡、物を問わずこれの一切を禁じる。」
「そうだ、そしてモンコレは本陣を賭ける。そうだな?」
中田はもう一度同じ質問を繰り返した。
答えを知りたいための質問ではない、確認しているだけだ。
静寂は答えた。
「確かにルールブックにはそう書いてありますが、僕たちは賭けたことはありません。」
「お前の意見は聞いていない。そう、モンコレは本陣を賭ける。これは揺るがしがたい事実なのだよ二階堂君。」
「しかし・・・」
「しかしも馬刺もない。校内でモンコレをやっていた。これも事実だ二階堂静寂、おとなしく処罰を受けろ。」
「そんな横暴な!!」
「・・・と言いたいところだが、お前に最後のチャンスをやろう二階堂。」
「チャンス?」
「そうだ、これだ。」
そう言うと中田はジャケットの内ポケットから何かを取り出した。
それを見て静寂は戦慄した。
緑の小箱・・・デック!?
そう、それはデックだった。モンコレの!!
「俺も実はやるんだよ、モンコレをね。」
そう言うと中田はカードを取り出す。
そして続けた。
「どうだ、二階堂。俺に勝ったら今の話チャラにしてやる。しかし、もし俺程度に負けるような実力であれば、お前はモンコレをやる資格さえ無いな。どうする?」
「・・・いいでしょう。その勝負を受けます。」
「Good!賭は成立した。そう、賭けがね・・・校則第45条だ二階堂!」
そこまで来て静寂は悟った。
罠だったのだ。
「やり方が汚いぞ!」
「知らんね。二階堂静寂、お前に三日間の自宅謹慎を命じる。反論の一切を認めない!!現行犯だ。」
「クッ・・・中田・・・」
「おやおや、教師に向かってその口のききかたはいかんなぁ。指導がお望みかい?」
中田は含み笑いをしていた。
「どうだった二階堂?」
「謹慎三日だ。」
静寂は友人の問いに答えた。
「まんまと填められたよ。」
「このまま引き下がるのか?」
「今回はね。なに、すぐに来年だよ、高橋。」
「やる気になったのか、二階堂。」
「ああ。」
答えは簡潔だった。
「全てはこれからだ。」
第60回 完
