P THE MEN WHO HAVE ENDED
P終わっている男達
P第60回
トラップ



 「モンコレは本陣を賭ける。そうだな?」

 「それは・・・」

 二階堂静寂は生徒指導室に呼ばれていた。

 「校則、第45条言って見ろ。」

 呼び出したのは生徒指導部の顧問、中田だ。

 「・・・校内での賭事は金額の多寡、物を問わずこれの一切を禁じる。」

 「そうだ、そしてモンコレは本陣を賭ける。そうだな?」

 中田はもう一度同じ質問を繰り返した。

 答えを知りたいための質問ではない、確認しているだけだ。

 静寂は答えた。

 「確かにルールブックにはそう書いてありますが、僕たちは賭けたことはありません。」

 「お前の意見は聞いていない。そう、モンコレは本陣を賭ける。これは揺るがしがたい事実なのだよ二階堂君。」

 「しかし・・・」

 「しかしも馬刺もない。校内でモンコレをやっていた。これも事実だ二階堂静寂、おとなしく処罰を受けろ。」

 「そんな横暴な!!」

 「・・・と言いたいところだが、お前に最後のチャンスをやろう二階堂。」

 「チャンス?」

 「そうだ、これだ。」

 そう言うと中田はジャケットの内ポケットから何かを取り出した。

 それを見て静寂は戦慄した。

 緑の小箱・・・デック!?

 そう、それはデックだった。モンコレの!!

 「俺も実はやるんだよ、モンコレをね。」

 そう言うと中田はカードを取り出す。

 そして続けた。

 「どうだ、二階堂。俺に勝ったら今の話チャラにしてやる。しかし、もし俺程度に負けるような実力であれば、お前はモンコレをやる資格さえ無いな。どうする?」

 「・・・いいでしょう。その勝負を受けます。」

 「Good!賭は成立した。そう、賭けがね・・・校則第45条だ二階堂!」

 そこまで来て静寂は悟った。

 罠だったのだ。

 「やり方が汚いぞ!」

 「知らんね。二階堂静寂、お前に三日間の自宅謹慎を命じる。反論の一切を認めない!!現行犯だ。」

 「クッ・・・中田・・・」

 「おやおや、教師に向かってその口のききかたはいかんなぁ。指導がお望みかい?」

 中田は含み笑いをしていた。


 「どうだった二階堂?」

 「謹慎三日だ。」

 静寂は友人の問いに答えた。

 「まんまと填められたよ。」

 「このまま引き下がるのか?」

 「今回はね。なに、すぐに来年だよ、高橋。」

 「やる気になったのか、二階堂。」

 「ああ。」

 答えは簡潔だった。

 「全てはこれからだ。」


第60回 完
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