P THE MEN WHO HAVE ENDED
P終わっている男達
P第61回
籠の中の小鳥



 僕は部屋から出られない。

 比喩的な意味でだけれど・・・

 そう、僕は籠の中の小鳥なのだ。

 両親は僕が部屋にいれば大丈夫だと思っている。

 する事はただ一つ、勉強だ。

 マンガ、テレビ、音楽・・・そう言ったものは全て僕から遠ざけられている。

 子供は勉強だけしていればいいのだ、そう言う親だった。

 だから僕は一つだけ両親にお願いしてみた。

 「小鳥を飼いたいんだ。」

 父親は難しい顔をしていた。

 母親はただオタオタするだけだ。

 僕は何かお願いしたことなど無いから当然の反応だったかも知れない。

 それで勉強の能率が上がるならいい、そう言った。

 生き物だとかそう言うことには頓着しない親だった。

 大きな病院を経営している両親には生き物さえも『モノ』だったのだ。


 そうして僕は小鳥を飼い始めた。

 名前は「アマテラス」と名付けた。

 いつか誰かに外に連れだしてもらえるようにと。

 僕は籠の中の小鳥に自分を見ていた。

 そう、その為に買ったのだから。

 籠の中の僕・・・その中にも籠がある。

 籠の中の籠・・・その中にいる鳥・・・

 僕よりも酷い境遇のイキモノ。

 それを見て少しだけ僕は優越感に浸る。


 しばらくすると近所で妙なことが起こった。

 カラスが死んでいるのだ。

 それも一匹ではなく何匹も。

 近所の人達はカラスが減るのは嬉しいらしいが、目の前で死なれているのは気持ちいい物ではないらしい。

 そのうちカラスだけではなく、ツバメ、スズメ、コウモリ・・・何でも死んでいた。

 アマテラスがキチョっと鳴いた。

 そうするとまた一つ、飛んでいる鳥が墜ちた。

 それで僕は解ってしまった。

 この鳥の秘密を。


 「木を育てたいんだ。」

 次の日、早速僕はそう言った。

 小鳥買ったあと、僕の成績は上がったから、今度も反対されなかった。

 小さな植木鉢・・・この木を育てるのだ、精霊が宿るまで。

 この木、そして小鳥・・・

 そうすれば僕は両親から解放される。

 自由があるのだ、すぐそこに!


第61回 完
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