P THE MEN WHO HAVE ENDED
P終わっている男達
P第64回
ジョー・ザ・シンドローマー2
〜終わり無き旅人



 マイケル、ニコラス、ショーター、ジェイク、パウロの5人は大会に来ていた。

 久しぶりの大会だ。

 悪の組織との死闘にケリをつけたのはつい、このあいだなのだから・・・

 今日の大会は80人ほどのトーナメントだった。

 しかし特殊ルールとして、「時間制限無し」のうえ、「投了を認めない」と言う物があった。


 一回戦の対戦相手がパウロの目の前に座る。

 対戦相手は声を掛けてきた。

 「やっと逢えたね、待っていたよ君を。」

 パウロはその顔に見覚えがあった。

 「カ、カヲル君!!」

 パウロは思わず呼びかけた。

 それはカースとの戦いの後、いつの間にか消えていた勇者の名だ。

 「それはカヲル君なんかじゃないよ。カヲル君の形をした別の物だ。」

 呼びかけに、そう対応したのは、しかしてカヲルではなかった。

 カヲルの後ろから声が掛けられたのだ。

 「ブ、ブランドンさん!!」

 パウロは驚くばかりだった。

 そこに居たのはニコラスの叔父のブランドンだったのだ。

 ブランドンは続けた。

 「今はブギーポップだ。」

 「な、何を・・・ブランドンさん?それにカヲル君も・・・」

 「彼のことは忘れたまえ。」

 ブランドンは言う。

 彼らの奇妙なところは言動だけではなかった。

 カヲルとブランドンは闇色のマントと、お揃いの帽子をかぶっていたのだ。

 ハッキリ言って目立ちすぎていた。

 その時にパウロはカヲルの実力を思い出していた・・・底が知れない・・・それが彼に対するパウロの評価だった。


 戦闘は続いていた。

 カヲルは儀式デックだった。

 「カヲル君・・・」

 「僕は・・・オリジナルに敬意を表して『ファントム』とでも名乗っておこうか。」

 オリジナルがブランドン・ブギーポップを指している事は疑いようのない事実だった。

 パクリのクセに。

 (コイツは・・・コイツらは・・・今度はブギーポップ症候群にかかっている!)

 パウロは悟った。

 地味な色だが派手な格好、奇妙な言動、そして独特の表情・・・間違いない。

 パウロは苦戦していた。

 考えがまとまらないのだ。

 戦闘に関係ないことばかりが頭を駆けめぐっていた。

 気が付くと、他の人達は既に一回戦を終えていた。

 「早くしろよな〜」

 心ないギャラリーから、ヤジが飛ぶ。

 パウロが気が付く前にファントムが言い返していた。

 「放って置いてももうすぐ終わる・・・」

 その言葉は聞き流すことができなかった。

 いくらカヲル君でも。

 「何だって?まだ負けはしないよ、君の本陣だって堕ちそうもないじゃないか。」

 「気が付かなかったのかい?時間と共に山札が少なくなっている。保ってあと2〜3ターンだ・・・」

 ファントムの言葉に初めて気が付いた。

 普段のパウロならあり得ないことだ。

 そう、『アポカリプス#2』が貼られていたのだ・・・

 その瞬間だ。

 「オーバーザ・レインボー・・・土だ・・・」

 ファントムが宣言した。

 パウロのユニットは消えた・・・

 「虹は消えたかい?」

 そう発してから、ファントムはアースドラゴンを召喚したのだ。

 勝ち目はなかった、しかし・・・

 「どうやら僕の時間も終わりのようだ・・・」

 突然ファントムは席を立った。

 用事があるのに大会に来ていたらしい。

 (これは・・・)

 パウロにもプライドがあった。

 彼をこのまま行かせては、負けたのにパウロが上に行ってしまう。


 「トドメを、トドメを刺していってくれ!」

 しかし、返ってきたのは辛辣な言葉だった

 「君にその価値はない。」

 そう言われても、パウロには返す言葉がなかった。

 こんな屈辱は初めてだった。

 しかし、それも自らのミスが原因だ、どこにも怒りのぶつけ場所がない。

 78人のギャラリーの中、パウロはうつむいて唇を噛みしめていた。

 他にすることが思い付かなかった。


 そして、ふと顔を上げると、もうそこにファントムの姿はなかった・・・


 その後、パウロを2回戦で待っていたのはブランドンだった。

 ブランドン・ブギーポップは語る。

 「君は僕の敵なのかい?」


第64回 完
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