


ジョー・ザ・シンドローマー2
〜終わり無き旅人
マイケル、ニコラス、ショーター、ジェイク、パウロの5人は大会に来ていた。
久しぶりの大会だ。
悪の組織との死闘にケリをつけたのはつい、このあいだなのだから・・・
今日の大会は80人ほどのトーナメントだった。
しかし特殊ルールとして、「時間制限無し」のうえ、「投了を認めない」と言う物があった。
一回戦の対戦相手がパウロの目の前に座る。
対戦相手は声を掛けてきた。
「やっと逢えたね、待っていたよ君を。」
パウロはその顔に見覚えがあった。
「カ、カヲル君!!」
パウロは思わず呼びかけた。
それはカースとの戦いの後、いつの間にか消えていた勇者の名だ。
「それはカヲル君なんかじゃないよ。カヲル君の形をした別の物だ。」
呼びかけに、そう対応したのは、しかしてカヲルではなかった。
カヲルの後ろから声が掛けられたのだ。
「ブ、ブランドンさん!!」
パウロは驚くばかりだった。
そこに居たのはニコラスの叔父のブランドンだったのだ。
ブランドンは続けた。
「今はブギーポップだ。」
「な、何を・・・ブランドンさん?それにカヲル君も・・・」
「彼のことは忘れたまえ。」
ブランドンは言う。
彼らの奇妙なところは言動だけではなかった。
カヲルとブランドンは闇色のマントと、お揃いの帽子をかぶっていたのだ。
ハッキリ言って目立ちすぎていた。
その時にパウロはカヲルの実力を思い出していた・・・底が知れない・・・それが彼に対するパウロの評価だった。
戦闘は続いていた。
カヲルは儀式デックだった。
「カヲル君・・・」
「僕は・・・オリジナルに敬意を表して『ファントム』とでも名乗っておこうか。」
オリジナルがブランドン・ブギーポップを指している事は疑いようのない事実だった。
パクリのクセに。
(コイツは・・・コイツらは・・・今度はブギーポップ症候群にかかっている!)
パウロは悟った。
地味な色だが派手な格好、奇妙な言動、そして独特の表情・・・間違いない。
パウロは苦戦していた。
考えがまとまらないのだ。
戦闘に関係ないことばかりが頭を駆けめぐっていた。
気が付くと、他の人達は既に一回戦を終えていた。
「早くしろよな〜」
心ないギャラリーから、ヤジが飛ぶ。
パウロが気が付く前にファントムが言い返していた。
「放って置いてももうすぐ終わる・・・」
その言葉は聞き流すことができなかった。
いくらカヲル君でも。
「何だって?まだ負けはしないよ、君の本陣だって堕ちそうもないじゃないか。」
「気が付かなかったのかい?時間と共に山札が少なくなっている。保ってあと2〜3ターンだ・・・」
ファントムの言葉に初めて気が付いた。
普段のパウロならあり得ないことだ。
そう、『アポカリプス#2』が貼られていたのだ・・・
その瞬間だ。
「オーバーザ・レインボー・・・土だ・・・」
ファントムが宣言した。
パウロのユニットは消えた・・・
「虹は消えたかい?」
そう発してから、ファントムはアースドラゴンを召喚したのだ。
勝ち目はなかった、しかし・・・
「どうやら僕の時間も終わりのようだ・・・」
突然ファントムは席を立った。
用事があるのに大会に来ていたらしい。
(これは・・・)
パウロにもプライドがあった。
彼をこのまま行かせては、負けたのにパウロが上に行ってしまう。
「トドメを、トドメを刺していってくれ!」
しかし、返ってきたのは辛辣な言葉だった
「君にその価値はない。」
そう言われても、パウロには返す言葉がなかった。
こんな屈辱は初めてだった。
しかし、それも自らのミスが原因だ、どこにも怒りのぶつけ場所がない。
78人のギャラリーの中、パウロはうつむいて唇を噛みしめていた。
他にすることが思い付かなかった。
そして、ふと顔を上げると、もうそこにファントムの姿はなかった・・・
その後、パウロを2回戦で待っていたのはブランドンだった。
ブランドン・ブギーポップは語る。
「君は僕の敵なのかい?」
第64回 完
