


チャイルドマン
「お兄ちゃん、そんなにいつまでも子供扱いしないでよ。」
私たちはいつものように言い争っていた。
原因はもうすっかり忘れた。5分前の事だけど・・・
「いや、お前はまだまだ子供さ。」
お兄ちゃんは私も方を見ずに言った。
その手元にはガレージキットがある。
女の子の人形を眺めつつ、ニヤリと笑っている。
その人形の名前を私は知っていた。
さくら・・・私と同じ使命を持ってる子。
そうだ、黙ってるのは癪だ。
「そんなことないよ、私はね・・・」
「なんだ?」
「な、何でもない、何でもない。」
言いかけて止めた。
こんな楽しいことをお兄ちゃんに知らせてなるものか。
世のため人のため系のアルバイトをしているようなお兄ちゃんとは違う。
私はホントに世界のために働いてるの。
ニヤリ
不意にお兄ちゃんが笑った。
「ここに10万ある。」
突然お兄ちゃんは財布を取り出して言った。
「な・・・なに?」
「これでありったけ太陽王のBOXを買ってこい。子供には無理かもしれないが、大人ならできるはずだ。そうだろ?」
突然そんなことを言ってきた。
私はもう大人だ。
そのくらい何でもない。
私にはできる・・・
「・・・わ、わかった、買ってくる。」
声が震えてしまった。
お兄ちゃんにはバレなかったろうか。
そして私は振り返りもせずに部屋を出た。
走って一気にカードショップに駆け込む。
財布を確認した。
ホントに諭吉さんが10枚入っている・・・
簡単だ・・・簡単なことなのだ・・・
「・・・ただいま・・・」
「やっぱりお前はまだまだお子様だな。」
私の手荷物を見てお兄ちゃんが言った。
私は・・・私は1BOXしか買えなかったのだ。
言い訳できなかった。
「さあ、折角だからさっそく開封するぞ。なんせ11BOXあるからな、結構時間がかかるぜ。お前も手伝えよ。」
・・・11??
「お、お兄ちゃん・・・・・・?」
お兄ちゃんは振り返ってニヤリと笑った。
第65回 完