


バルゴ・ザ・グレイブディッガー
「これが?」
「そうだ、歌姫だ」
「うん・・・なんて言うか、そうだなぁ・・・可愛い絵だな」
「我々はこれを『萌え』と表現する」
我々とは誰を表現するのかは判らなかった。
「ふーん『萌え』か・・・」
そして、私はかねてからの疑問を口にした。
「でもこんなモノに8000円は遣りすぎじゃないか?」
「・・・今『こんなモノ』とか言ったか?」
普段はおとなしい男がこの時ばかりは頭にきたようだ。
「い、いや、すまん・・・そう言う意味で言ったんじゃないんだ」
私はすぐに謝罪した。
「そうか、それならいいが・・」
「うん、でも、たかがカードに8000円とはなぁ・・・」
「た・・・たかが??おい、それくらいにしとけよ『バルゴ・ザ・グレイブディッガー』、いくら俺でもこれ以上は・・・」
「どうして・・・何故お前がその名を知っている!?」
その名は、オーストラリアを荒らしていたときの通り名だ。
緊張が走った。
この男どこまで知っているのだ・・・私の過去を。
「我々の組織を甘く見るなよ、これ以上の暴言は我等の組織、全員を敵にすることになるぞ」
ヤツは・・・脅してきた・・・この俺を。
俺の正体を知っていて脅すのだ、その組織の力は強大な物だろう。
いや、ブラフか?
判断が付かない・・・どうすればいい・・・
「お前に挽回のチャンスをやろう。」
いきなり条件を出してきた、最後通告というワケか・・・
そしてヤツはジャケットから一枚のカードを出した。
「これを持ってひとこと言え」
「こ、これは・・・」
カード・・・さっきの物と似ているが、絵が違う。
スノードロップ?
「その言葉が我々が求めている物だったなら、今までのことは不問にしといてやる」
「その言葉とは・・・」
「お前程の男なら解るだろう?さあ!」
のどが渇く・・・
いっそのこと無視するか・・・コイツの背後の組織を敵に・・・
いや、ダメだ。俺1人では太刀打ちできないに違いない。
では・・・あの言葉とは何だ・・・
いや、答えは既に私の中にあった。
私は・・・命を懸けて・・・その絵を見た瞬間に心に浮かんだ『言葉』をそのまま発した。
「萌え〜」
第66回 完