P THE MEN WHO HAVE ENDED
P終わっている男達
P第66回
バルゴ・ザ・グレイブディッガー



 「これが?」

 「そうだ、歌姫だ」

 「うん・・・なんて言うか、そうだなぁ・・・可愛い絵だな」

 「我々はこれを『萌え』と表現する」

 我々とは誰を表現するのかは判らなかった。

 「ふーん『萌え』か・・・」

 そして、私はかねてからの疑問を口にした。

 「でもこんなモノに8000円は遣りすぎじゃないか?」

 「・・・今『こんなモノ』とか言ったか?」

 普段はおとなしい男がこの時ばかりは頭にきたようだ。

 「い、いや、すまん・・・そう言う意味で言ったんじゃないんだ」

 私はすぐに謝罪した。

 「そうか、それならいいが・・」

 「うん、でも、たかがカードに8000円とはなぁ・・・」

 「た・・・たかが??おい、それくらいにしとけよ『バルゴ・ザ・グレイブディッガー』、いくら俺でもこれ以上は・・・」

 「どうして・・・何故お前がその名を知っている!?」

 その名は、オーストラリアを荒らしていたときの通り名だ。

 緊張が走った。

 この男どこまで知っているのだ・・・私の過去を。

 「我々の組織を甘く見るなよ、これ以上の暴言は我等の組織、全員を敵にすることになるぞ」

 ヤツは・・・脅してきた・・・この俺を。

 俺の正体を知っていて脅すのだ、その組織の力は強大な物だろう。

 いや、ブラフか?

 判断が付かない・・・どうすればいい・・・

 「お前に挽回のチャンスをやろう。」

 いきなり条件を出してきた、最後通告というワケか・・・

 そしてヤツはジャケットから一枚のカードを出した。

 「これを持ってひとこと言え」

 「こ、これは・・・」

 カード・・・さっきの物と似ているが、絵が違う。

 スノードロップ?

 「その言葉が我々が求めている物だったなら、今までのことは不問にしといてやる」

 「その言葉とは・・・」

 「お前程の男なら解るだろう?さあ!」

 のどが渇く・・・

 いっそのこと無視するか・・・コイツの背後の組織を敵に・・・

 いや、ダメだ。俺1人では太刀打ちできないに違いない。

 では・・・あの言葉とは何だ・・・

 いや、答えは既に私の中にあった。

 私は・・・命を懸けて・・・その絵を見た瞬間に心に浮かんだ『言葉』をそのまま発した。

 「萌え〜」


第66回 完
P第67回

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