


13部隊
私は本部に呼ばれていた。
理由は解っている。
私の担当していた支部が全滅したのだ。
確かに部下は無能揃いで、上司の言うことも聞こうとしない、連帯感などかけらもない連中だった。
いや、言い訳はしない。
部下をまとめ上げるのが私の仕事で、それをできなかったのもまた私だ。
しかし・・・どう罰せられるのか、それが解らない。
何故なら私は今まで一度も仕事をしくじったことなど無いのだから。
恐れはある、否定はしないが・・・ひどくぼんやりとした感覚だ。
目の前には本部の幹部がいる。
3人だ・・・久しぶりに見る顔だ。
私の仕事がうまくいっていれば二度と合わないはずだった顔だ。
だが、その両脇を固めるように男達が計7人が立っていた。
見覚えがあるような気がするのだが・・・思い出せない。
「君に贈り物を用意した。」
幹部の1人がそう切り出した。
?失敗した人間に贈られる物とは・・・拷問具か・・・
しかし思いも寄らない物が運ばれてきた。
パック?
そう、それはモンコレのブースターパックだった。
「さあ」
開けろ促しているようだ。
奇妙だ・・・大量にパックはあるのに全部パックのままだ、BOXごと持ってきてくれればいいものを。
ブースターは各種揃っていた。
基本セット、魔導師、空中庭園、黄金樹、そして太陽王・・・
わたしは手近なパックを一つ手に取って、それを開けた。
私はどのセットでも瞬時にレアを見ることができる。
「リフォーメーション」
使いにくい儀式スペルだ。
しかし一体なんなのだろうこの待遇は、解らない・・・
続いて2パック目を開ける。
「斬鉄剣」
使い道の極めて少ない装備品・・・
3パック目・・・
「ビ、ビッグフット・・・」
カスレアだ・・・カスを引いてしまった。とんでもない物を。
幹部に、周りを固めている男達に目を遣ると・・・口元だけが笑っていた。
私は・・・開けた
「う・・・運命の車輪」
半分うめき声になってしまった。
この引きは酷い・・・さっきから100%でクラブを引いてはいるが、これでは・・・
そして思い出した、横に立っている男の内の1人の顔を。
「じゅ、十三部隊!」
「やっと気が付いたか・・・そう、ここにあるパックは全てこの13部隊が選んできたものだ。」
13部隊・・・総統に良いレアを引いていただくために存在する部隊だ。
この男達は神に見放された引きで、カスレアだけを完璧に引き当てると言う噂だ。
するとここにあるパックは全て・・・
あ、開けられない。
カスレアと判っているパックを開けるのは・・・
人がパックを開けるのは、そこに期待があるからだ。
次こそは良いレアを引けるという期待があって初めてパックを買えるのだ。
しかし、ここには無い。
期待などと言った甘い幻想は全てうち砕かれた。
あるのは絶望だけだ。
これが、拷問でなくて何なのだ。
目の前には開けても良いと言われたパックの山がある。
しかしこれらは全てカスレアだ。
しかし・・・しかし・・・
ふふ・・・開けても良いと判っているパックを目の前にして、それを開けないで居られる人間はいるかな?
いや、いはしない。
私は・・・開けた、全てを!
「ゴールデントリプルホーン」
「ラストエンペラー」
「聖杯のパラディン」
「アビス」
「ホークウィンド」
「アバドン」
「デーモンタックス」
「眠れる森の美女」
ああ、俺は今100%の確立でレアを引いている・・・幸せだ・・・
第68回 完