P THE MEN WHO HAVE ENDED
P終わっている男達
P第74回
院内感染


 僕は入院していた。

 ・・・あまり言いたい病名じゃあない、いつ直るかも判らない・・・

 今は1日1回、必ず同じ時間に来る痛みに耐えるのが仕事だ。

 他には何もない・・・つまり、暇なのだ。

 時間を持て余した僕は、かねてから手を出してみたかったことに手をつけることにした。

 ゲーム・・・そう、モンスターコレクションだ。


 始めてみて解ったことがある・・・そう、このゲームは一人では出来ないのだ。

 早速対戦相手を見つけることにする・・・これは難しい作業じゃなかった。

 同じ室内にちょうど同い年の少年が居たからだ。

 少年も僕と同じく暇を持て余していたので、二つ返事で僕の提案に快諾した。

 楽しかった・・・

 始めてのゲーム、僕らは1日の全てをモンコレに費やした。


 しかし、そんな楽しい日々も長くは続かなかった。

 そう、対戦相手が互いに一人しか居ないのだ。

 毎日毎日同じデック同士・・・つまり飽きたのだった。

 新しい風が必要だ、そう考えた僕らは3人目を探しに行った。




 3人目は少し年上の男だった。

 この男はまるでモンコレの全てを知っているようだった。

 (今思えば、勘違いだと解るのだけれど・・・)

 不思議なデック、見たこともないカード、魔訶不思議なコンボ・・・僕たちには神のように見えたのだ。

 この男はまた、『トレード』という言葉の意味も教えてくれた。

 我々は日夜トレードと言う名の饗宴に没頭した。



 しかしそれも数日だった・・・トレード相手が二人しか居ないのだ。

 毎日同じカードを回している・・・意味が・・・なかったのだ。

 我々はトレード相手を捜した。



 運命、そうきっと運命だ。

 そこには僕たちと全く同じ進化の過程を経た3人組が居たのだ。

 僕らは6人となり、ここにサークルの結成を宣言した。


 彼ら新しき3人組はまた、カードの入手経路を教えてくれた。

 そう、看護婦である。

 看護婦の中に仲介をする者が居たのだ。

 今まで金銭だった彼女らへの謝礼はアンコモンが取って代わった。

 そして彼女はまた、『オリカ』という物を教えてくれた。



 僕らはカードを賭け合い戦い、トレードをし、勧誘により人数を増やし、オリカを作り、日に日に肥大化していった。

 充実していた・・・





 ・・・何がいけなかったのだろうか・・・僕は今でもその質問に答えを出せずにいた・・・

 院長がテレビに出ていた。

 『誠に遺憾ながら、今回院内で大量に密造されていた偽造カードがもたらした社会的影響は・・・』


第74回 完P第75回

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