


泉ー源泉記
「あっ・・・」
高見瞬たち4人は、いつかの泉に来ていた。
モンコレハイキングだ。
しかし今回の目的は対戦ではない。
そう、目的は泉そのものだった。
「ここだな、瞬?」
リーダー格の男、二階堂静寂が声を掛ける。
「ああ、ここだ」
目の前にある物はまぎれもなくただの泉だった・・・
「そう簡単には信じられないがな・・・」
そう言っていた高橋純一だが、やはり気になるのか真っ先に泉を覗いている。
「じゃあ早速入れるぞ・・・」
純一は一枚のカードを手にした。
そしてそれを泉の中に投げ込んだのだ。
「あ〜それは1000年前、若い女が溺れた呪い的泉、以来その泉に落ちたものみな、若い娘の姿なってしまうね!」
突然、後ろからそんな叫びが飛んできた。
「誰か落ちたね?」
「・・・い、いや、大丈夫だ誰も落ちてない。」
静寂がやっとの事で応えた。
その言葉に安心したのか男はもう一言だけ注意して去っていった。
「・・・なんだったんだ?今の」
「ここは金のトレカがもらえる所じゃなかったのか?なあ、瞬?」
「・・・どうやら道を間違えたらしい、ほらこの前はなかった木だ。」
・・・4人は黙ってしまった。
投げ込んだカードがコモンだったのが何よりの救いだ。
しかし、そうしてボウっとしていると、突然泉が光った。
光は一瞬だった、そしてその後には・・・
カードが一枚浮いていた。
純一がそれを回収する。
「あれ?これ・・・シャドウストーカーを入れたはずだったのに・・・」
純一が持っているのはピクシーだった。
「あっ・・・若い娘に・・・」
瞬が声を上げた。
「若い娘になったんだ・・・」
何を馬鹿な・・・誰もがそう思った、しかしそこにあるのはまぎれもなくピクシーだった。
『なら他の物も入れてみよう』
そうなるのは当然の流れだった、誰も攻められはしないだろう。
しかし止めておけば良かったのだ、さっさと帰れば良かったのだ、カードなどに気がつかなければ良かったのだ。
待っている結末にも気づかずに次々にカードを泉に投げ込む男達・・・
オーク錬金術師団はオーガシャーマンになった
インキュバスはサキュバスになった
エルフ火山観測隊はタイガーリリーになった
ケンタウロス風使い隊はフェアリーになった
太陽を睨む天使は雨に踊る天使になった
バードマン攻撃隊長は北風のハーピィになった
キングオブデストロイヤーは死人使いネビロスになった
髑髏の魔術師は愛の女神イシュタルになった
髑髏の騎士は血まみれ修道女になった
こんな結果が出たのだ止めとけば良かった。
いい加減にしとけば良かったのだ・・・
・・そう、それだけはやってはいけなかったのだ・・・
「じゃあ入れるぞ・・・オーガパワーズラザーズ!!」
純一の手がカードを離す。
ひらひらと泉に落ちるカード、そして光・・・
あたりには男達4人の叫び声だけが響いていた。
第77回 完