


歌姫真話
僕は学校でテーブルトーク研究会に所属していた。
そこでは昔こそテーブルトークをやっていたらしいのだが、今ではモンコレ部のような物だった。
僕は、その部活で最弱の名をほしいままにしていた。
だから・・・
僕は伝説に・・・、伝説を頼ってみようと思った。
歌姫伝説・・・
その名はカードゲーマーの間では有名な話だった。
泉に住むという歌姫様は、25枚のレアと引き替えに何でも望みを叶えてくれるという・・・
噂では泉の場所は謎だった・・・
しかし僕は伝説の泉の場所には見当がついていたのだ。
知り合いから聞いた不思議な泉。
きっとこの場所こそが、姫様が住む・・・
僕は、レアカード25枚を泉に投げ入れながら叫んだ。
「歌姫様、25枚のレアを差し上げます、だからこれから僕の・・・いや、明日だけでもいいんです、6を、僕に6を出す力を下さい!!」
その瞬間、泉に閃光が走った。
・・・その願い、叶えてしんぜよう・・・
そんな声が直接脳に響いた・・・気がした。
目が覚めた。
良い天気だ。
僕はすぐにペンケースから6面ダイスを取り出した。
ころころ・・・
でた、6だ。
もう一回・・・6。
僕はうれしくなって何度もダイスを振り続けた。
ふと気がついて10面ダイスを出してみる。
ころころ・・・
やっぱり6が出た。
20面・・・100面・・・完璧に6が出る。
姫様は叶えてくれたのだ、僕の望みを。
これで、今日で最弱の名を返上するんだ。
僕は意気込んで、デックをバッグの中にしまった。
「おお〜、嬉しいねぇ今日は久々に全員いるじゃあないか」
声と共に現れたのは、このテーブルトーク研究会の会長、峰岸だった。
この研究会には8人の部員がいたが、みんな出たり休んだりだった。
だからこの部屋に全員が揃うことはほとんどない。
大体の日が3〜4人だ。
全員を見たのは、僕がこの研究会に入ったその日以来初めての事だった。
しかし、峰岸だってその先頭を切って休んでいるのだから、そんなことを言える立場ではない。
「よし、人数もいることだし」
峰岸は言葉を続けた。
なぜだか悪寒が走った。
「今日は原点に返ってガープスやるぞ。キャラクター作ってあるから背景考えてね」
そう言うと峰岸はバッグからファイルを取り出した。
そのファイルには半年間練ったシナリオが在るはずだ。
もともとここにいる人間はRPG好きで集まったのだ、皆、、峰岸の宣告に嬉々として従った。
マズい・・・このままでは本当にマズい・・・僕は思わず言った。
「そ、ソードワールドにはなりませんか?」
「なんない」
第85回 完