P THE MEN WHO HAVE ENDED
P終わっている男達
P第85回
歌姫真話


 僕は学校でテーブルトーク研究会に所属していた。

 そこでは昔こそテーブルトークをやっていたらしいのだが、今ではモンコレ部のような物だった。

 僕は、その部活で最弱の名をほしいままにしていた。

 だから・・・

 僕は伝説に・・・、伝説を頼ってみようと思った。


 歌姫伝説・・・


 その名はカードゲーマーの間では有名な話だった。

 泉に住むという歌姫様は、25枚のレアと引き替えに何でも望みを叶えてくれるという・・・

 噂では泉の場所は謎だった・・・

 しかし僕は伝説の泉の場所には見当がついていたのだ。

 知り合いから聞いた不思議な泉。

 きっとこの場所こそが、姫様が住む・・・

 僕は、レアカード25枚を泉に投げ入れながら叫んだ。

 「歌姫様、25枚のレアを差し上げます、だからこれから僕の・・・いや、明日だけでもいいんです、6を、僕に6を出す力を下さい!!」

 その瞬間、泉に閃光が走った。

 ・・・その願い、叶えてしんぜよう・・・

 そんな声が直接脳に響いた・・・気がした。


 目が覚めた。

 良い天気だ。

 僕はすぐにペンケースから6面ダイスを取り出した。

 ころころ・・・

 でた、6だ。

 もう一回・・・6。

 僕はうれしくなって何度もダイスを振り続けた。

 ふと気がついて10面ダイスを出してみる。

 ころころ・・・

 やっぱり6が出た。

 20面・・・100面・・・完璧に6が出る。

 姫様は叶えてくれたのだ、僕の望みを。

 これで、今日で最弱の名を返上するんだ。

 僕は意気込んで、デックをバッグの中にしまった。


 「おお〜、嬉しいねぇ今日は久々に全員いるじゃあないか」

 声と共に現れたのは、このテーブルトーク研究会の会長、峰岸だった。

 この研究会には8人の部員がいたが、みんな出たり休んだりだった。

 だからこの部屋に全員が揃うことはほとんどない。

 大体の日が3〜4人だ。

 全員を見たのは、僕がこの研究会に入ったその日以来初めての事だった。

 しかし、峰岸だってその先頭を切って休んでいるのだから、そんなことを言える立場ではない。

 「よし、人数もいることだし」

 峰岸は言葉を続けた。

 なぜだか悪寒が走った。

 「今日は原点に返ってガープスやるぞ。キャラクター作ってあるから背景考えてね」

 そう言うと峰岸はバッグからファイルを取り出した。

 そのファイルには半年間練ったシナリオが在るはずだ。

 もともとここにいる人間はRPG好きで集まったのだ、皆、、峰岸の宣告に嬉々として従った。

 マズい・・・このままでは本当にマズい・・・僕は思わず言った。

 「そ、ソードワールドにはなりませんか?」

 「なんない」


第85回 完
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