


生と死と・・・
〜魔法少女ロクモンルミー第三話〜
「さぁ、ロクモンルミーの出番だよ!」
土曜の昼下がり、いつもの如く突然にそれはやって来た。
ラブスターが2階の窓から飛び込んでくる。
どっかでまたモンスターでも見つけたに違いない。
「2丁目の安達さん家で!」
ルミーはいつもの『制服』に着替えて部屋を飛び出る。
バタン ガンッ
扉に何か当たったらしい。
「うう・・・痛ぇ・・・」
「お兄ちゃん・・・」
そこには頭を抱えた榊原遥人がうずくまっていた。
「瑠美・・・お前なぁ・・・」
そこまで言って瑠美を見上げた遙人は瑠美の格好に気づいた。
遙人は瑠美を上から下までジロジロ見回す。
ッポン、と一つ手を打った。
「ん?・・・そうか、お前もついに目覚めたか、なかなかいいな。」
スカートの端をつまんで『作品』の出来を確かめつつ、遙人は左の唇だけを上げてニヤリと笑った。
メガネが光る。
「ルミー・・・なんかバカにされてない?」
「あ、あれは本気の目だよ・・・」
ルミーは横のネズミに囁いた。
この兄は冗談は言わないのだ。
今までだって全て・・・冗談だと思っていたのに・・・
過去の忌まわしき思い出ばかりが瑠美の脳によみがえった。
「ん?」
不意に遙人が気づいた。
「お前それ、モンコレじゃないか、そうかそうか、ついにお前も始めたか。」
「えっ・・・これは、ちが・・・」
「よし、なら俺と勝負だな」
遙人は上着の内ポケットからデックを取り出した。
その時だ・・・
遙人のデックの一番上のカードが光って見えた。
魔力を持つカードだ・・・
ルミーは思わず怒鳴った。
「お、お兄ちゃん、勝負してあげるから私が勝ったらそのカードちょうだい!」
「ん・・・ゴモリーか? お前本当に目覚めたようだな、こんなカードを欲しがるなんてな」
再びメガネが光る。
「まあいいぜ、俺に勝ったらな」
「よし勝負よ」
そう言って、瑠美は持っているカードを前に出す、セットだ。
瑠美の手持ちのカードは・・・全部で5枚だ。
それを見て遙人の表情が変わる。
「ば、バカヤロー!!テメェ5枚でデックが組めるか!!ちょっと待ってろ」
そう怒鳴ると遙人は部屋に戻っていった。
そして段ボールを持って階段を駆け下りて来た。
「この余ってるコモンやるからとっとと50枚にしろ」
よく解ってない瑠美は適当に45枚引いてデックに組み込んだ。
「よし、いいな。デックオンだ!!」
コロコロ・・・
「よし、俺が先攻だな。まず、ラヴァドレイク召還だ」
その瞬間を待っていた。
ルミーが叫ぶ。
「それに対抗して『えあばーすとぉ!』」
「バカヤロー、召還に対抗なんてでき・・・」
遙人は最後まで言葉を続けられなかった・・・
廊下に一陣の風が吹き去って、遙人はズタボロになっていた。
すでに意識はない。
遙人の持って来たコモンカードにもう一枚、魔力を込めたカードがあったようだ。
「・・・これは・・・勝ったのかな」
ネズミが呟く。
「プレイヤーの死は、召還術師の死よ。」
ルミーが宣告を下した。
ミーが遙人に近づいてみる。
遙人は・・・息はあるようだ・・・気絶しているらしい。
「ふっ・・・戦いって非情なものね・・・実の兄まで・・・」
そう言ってルミーは遙人の本陣・・・「ゴモリー」を抜き取った。
「さぁ、変なとこで時間喰っちゃった、早く行こ!」
「・・・うん。」
ロクモンルミーの戦いは続く
第87話 完