P THE MEN WHO HAVE ENDED
P終わっている男達
P第92回
怪獣怖い



 今日も峰岸が勝った・・・

 会長に勝てる人間は居ないのだろうか。

 「会長」

 僕は呼びかけた。

 「ん?なんだい」

 「会長はなにか苦手なユニットとか居ないんですか?」

 すると峰岸は急にキョロキョロとあたりを見回して、そしてメガネを親指と人差し指で摘んで上げて・・・その上外して胸ポケットから出した布でせわしなく拭きだした。

 そしてやっとメガネをかけ直し、背を縮こまらせてそっと手を当て耳元で囁いた。

 「大会が近いから大きな声じゃ言えないが・・・」

 僕はもう確信していた。

 この会長にも弱みがあったのだ、僕はやっとこの人間離れした会長に親近感を覚えた。

 「ここだけの話・・・僕は実は大砂蟲がこの上なく怖いんだ」

 大砂?

 あんなタダのでかいだけのユニットをこの男が怖がる?

 想像できなかった。

 「あの8レベル10/10のデカさ、本陣にこいつだけ居たらあと2レベルで何が出てくるかと思うと・・・う〜想像しただけで震えが来るよ」

 これは、良いことを聞いた。

 僕はさっそく、会の全員にこのことを知らせることにした。

 来週の会長選、大砂で勝負しようと。

 一度この男が負けるのを見てみたいのだ。

 峰岸は・・・まだ震えていた。


 会長選、またの名を会長戦。

 このテーブルトーク研究会における最大のイベントの一つだ。

 会長たるもの、最強でなければならない。

 それを示す物がこの会長戦だ。

 会長の称号を持つ者は8割の勝率を示す必要がある。

 相手は会員全員だ・・・といっても7人しか居ないが。

 つまり2敗したら会長職を降りることになる。

 代わりは、立候補形式ののち立候補者全員で総当たり戦を行うことになっている。

 そしてレギュレーションはA・・・


 会長が真ん中に座りその周りに机を7つ用意する。

 そう、多面打ちだ。

 タダでさえ勝率をキープするのが難しいモンコレでしかも多面打ち。

 これでこその栄誉在る会長の称号だ。

 そして時は進み・・・満ちた。

 全員が会長に本陣前まで攻め込まれていた、そのターンだ。

 「大砂蟲、本陣に召還だ」

 俺が叫ぶ。

 その瞬間。

 「大砂蟲召還」「大砂蟲」「大砂」「蟲」「蟲」「蟲」

 全員が大砂蟲を召還した。

 会長は・・・震えていた。

 そして、俺達は勝ちを確信した。

 「うわ〜大砂蟲だ、こ、怖いこんなもの目の前に置いて置いたら気が狂ってしまいそうだ早くどかさねば〜」

 そういうと峰岸はスターライト・エクスプロージョンを端から撃っていった、ドカン

 「怖い怖い」 ドカン、ドカン

 「あ〜怖い怖い」 ドカン、ドカン

 「うわ〜怖い怖い」 ドカン、ドカン

 あとには峰岸のユニットに落とされた本陣が7つ・・・

 「会長・・・会長が本当に怖い物って何なんですか?」

 「ここいらで儀式が怖い。」


第92話 完
第93回

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