

ラグナロク
「寂しくなっちゃったね・・・」
放課後の部室でニコラスが呟いた。
「そうだな・・・」
マイケルがそれに答える。
部室には今は二人しか居ない。
8人居た部員も、いまでは4人だ。
その内2人は入院中だった。
「・・・モンコレでもやるか」
重苦しい雰囲気を吹き飛ばすようにマイケルが言った。
そして戦いが一つ終わった。
「いまいち盛り上がらないね」
「飽きちまったのかな・・・俺達も」
外は相変わらずの雨模様だ。
こんな日は気分まで沈んでしまう。
「そうだ」
思い雰囲気に耐えられないマイケルはわざと声を張り上げて言った。
「ルールを制限してみよう」
「制限?なんで?」
マイケルはかねてから考えていた一つのアイデアを出した。
「日本にはハイクとかタンカって言うのがあるだろ?」
「うん」
マイケルもニコラスも日本通だ。
二人とも、いつか日本に渡る日の事を良く夢見ていた。
「あれはわざと語句に制限を付けることによって芸術の域まで成長したんだ」
「で?」
飲み込みの悪いニコラスにマイケルは『とっておき』の表情で話した。
「だから、制限を掛けることによってデックを芸術の域に持っていこうっていうわけだ」
「うん、面白そうだね、最近普通のモンコレじゃ物足りなくなってたしね」
「言うなれば限定モンコレ・・・運否天賦じゃあ勝てないぞ」
「それでどんな制限を付けるの?」
「そうだなぁ・・・最初は、そう短歌に敬意を表して『短歌ルール』だ」
そして戦いが一つ終わった・・・
「ねぇマイケル・・・」
「・・・なんだ・・・」
「5・7・5・7・7レベル限定って言ったってこの5個の数字じゃあ5レベルと7レベルしかないよ・・・」
「・・・そうだな・・・ダメかこれは・・・」
二人とも疲れ切っていた。
デック作りは体力を消耗する・・・
それも余計な制限が付けばなおさらだ。
「じゃあユニットオンリーデックっていうのは?」
「ちょっと弱そうだな、どうにかならないか」
「じゃあ手札上限を+1すれば?」
「そんなテキストあったな、そういえば」
「ダメか」
「そうだ、コレだ!!」
そういってニコラスが取り出したのは一冊の雑誌だった。
「『キーカード一枚制限』デックだ」
・・・そして戦いが終わった
二人とも、もうグッタリとしていた。
立ち上がる気力さえも無い。
「ねぇ・・・」
「・・・なんだ?」
「・・・両方とも本陣だったっていうのは、このルールどこか欠陥があるんじゃないの?」
「・・・俺も今、そう思っていたところだ・・・」
こうして日が暮れるのだ。
第94話 完