P THE MEN WHO HAVE ENDED
P終わっている男達
第95回
廻る世界


 久しぶりだ・・・

 ファイター達はこの空気が忘れられなくて、ここに戻ってくる。

 小さい大会でも脳の後ろを刺すような緊張感がたまらない。

 そして

 良く廻るデック・・・これが大切だ。

 どんなに良いデックを作っても廻らなければ意味がない。

 いや、逆か。

 廻るデックこそが良いデックなのだ。

 初手、ユニット、大型が1枚、中型1枚、小型が1枚で計3枚、地形が一枚、スペルが2枚。

 素晴らしいバランスだ。

 3ターンキル・・・ニヤリと心の中だけで笑う、もちろん表情は変えない。

 一流とはそういう物だ。

 そして即時で完成するコンボ。

 全てが上手くいっていた・・・


 「ジャーッジ!!」

 突然、対戦相手が手を挙げて叫んだ。

 本陣はもう墜ちるところだというのに、余計な水入りだ。

 「こ、この人積み込んでます!」

 !?

 なにを根拠にそんな事を!

 思わず口に出していた。

 弱い奴はすぐに人のせいにする。

 「さっきから凄い廻りが良いんです、廻りが良すぎます、廻りすぎです、で、デックを改めて下さい!」

 その言葉にジャッジはデックを手に取った。

 「確かに積み込んでますね」

 「そんな馬鹿な!冤罪だ」

 悪人に人権はない、といったところか。

 一度有罪と宣言された者は権利など何もなくなるのだ。

 私の控訴はあっさりと棄却された。

 「このゲームは反則負け、以後はスリーブを外し、常時一名のレフリーを配置しシャッフル、カットを監視、この結論に不服有る者は後日モンコレネットへ、以上」

 ・・・私は・・・


 積み込みなんて誰にも判断できるはずがないのに・・・

 大衆の目の中、2回戦が始まった。

 シャッフルもカットもレフリーがやってくれる。

 私にやることなんてもう無いのだ・・・

 無為だ・・・

 手札を引く。

 相変わらず完璧な手札だった。

 思わず、つぶやきが口から漏れた。

 「それでも、デックは廻っている・・・」


第95話 完第96回

P1UPP TOP