

エスケープ
「マイケル、モンコレを辞めたって本当なの!?」
ニコラスは放課後、風邪での休みから久しぶりに学校に来たマイケルに言った。
「・・・ああ辞めたよ」
「何で!?もうすぐモンコレ3も出るっていうのに」
ニコラスは食い下がる。
「何でって・・・何でだろうな。それにニコラス、あれはスターターが在るからと言ってモンコレ3なんかじゃない、だたの拡張セットだ」
「ほら、やっぱりチェックしてたんじゃないか」
「い、いや、そんなことは俺には関係ない。」
「そんな人ごとみたいに言わないでよマイケル。君は僕たちのリーダーなんだよ?」
「情熱が、無くなっちまったのさ」
・・・なら
それなら
「マイケル、辞めたんなら極稀全部ちょうだい、もういらないんでしょ?」
その言葉にマイケルが初めて反応した。
「ニコラス・・・お前はファイターだろ?」
声のトーンが下がっていた。
「うん、だから極稀が必要なんだ、君と違ってファイターの僕にはね」
「ファイターは・・・ファイターっていうのは互いのカード、知力、運の全てを掛けて戦うものだ。そして得られる物・・・それが賭け札である本陣だ。」
「マ、マイケル・・・どうしたの?」
マイケルの怒りは収まらない。
「それをお前は『タダでくれ』だって?・・・お前も本当にファイターだと言うのなら俺から戦って獲れ」
「マイケル・・・それはリアルアンティって事?」
「そうだ、そしてデックは全て極稀で作れ。」
「極稀?」
「そうだ、極稀を奪おうという行為は、極稀を奪われる・・・そんな覚悟を背負った者だけの権利だ。」
「・・・解ったよ、マイケル」
そして次の日の放課後
戦いは始まる。
二人とも震えていた。
恐れではない、かつて無い喜びだった。
これほどの集中力は賭け札無しには得られない。
これほどの興奮は極稀を賭けた者にしか解らない。
そしてダイスは振られた。
「ま、マイケル・・・」
「・・・辞められなくなっちまったな、こんなに極稀が集まっちゃったらな」
奪われた者と奪った者。
しかし両者とも何故か表情は同じ、晴れやかだった。
第96話 完