

Love song 探して
能力とは個性である。
個性は自分自身を定め、規定し、世界との融合と対立、その最初の一段階だ。
能力には個人差がある。
足が速い、頭の回転が速い、左利き、etc...
俺の知り合いなどは召還術なる訳の分からないものを使える人間もいる。
そして俺には
俺にはちょっとやっかいな能力があった。
それは
『人に見られたくない瞬間に立ち会ってしまう』
というものだ。
しかし、俺はカメラマンだ。
この能力を最大限に生かせるしごとだ。
だから俺は町へ出る。
日々、スキャンダルを、事件を、陰謀を、アクションを求めて。
人のいるところに事件あり。
そして今日はカードゲームショップ。
俺は昔からゲームにはあまり興味はなかった。
カメラより面白いものなどこの世には無いからだ。
ファインダーを通した瞬間に世界は一変する。
世界が瞬間の連続で出来ているという事実に直面するのだ。
その興奮が忘れられず、俺はシャッターを切り続けている。
しかし、ひょんなことから知り合った女は俺に魔法を見せた。
それは目映いばかりの光を放つ。
俺は・・・虜になったのだ。
そしてその原点ともいえるゲーム『モンスターコレクション』
少しだけ興味を持った。
だから、一箱だけ。
そのコーナーには先客がいた。
セーラー服にコートという地味な格好だが、ここでは逆にそれが目立っていた。
俺は見た瞬間にピンと来た。
こいつは・・・
俺は無意識にカメラを構える。
そう、少女はサーチをしていたのだ。
サーチ・・・
一般にはそれほどの行為ではないがことカードゲーマーの間でそれは御法度だった。
サーチはレアを引かなくてはならない者の最後の砦だ。
しかし事が発覚し、中央機関に報告されればゲーマーの資格さえ失いかねない諸刃の剣。
素人にはお勧めできない。
それに通常サーチは3人で行うものだ。
トス、壁、真打ちである。
それをこの少女は一人で行っているのだ。
しかし、店員は誰一人気がついていない。
ただ、俺のシャッターの音が・・・
無法行為を見逃すわけにはいかない。
『きみ、サーチしてたでしょ・・・黙ってて欲しかったら・・・』
昨日読んだエロ小説を思い出した。
少女が「当たり」をもってレジへ、そしてそのまま店を出る。
『次』があるかもしれない。
俺は少女に続いた。
少女の後を一定の間隔で後をつける。
少女が曲がれば俺も曲がる。
その間もシャッターを切る。
フィルム交換など意識しないでもできる。
暗闇でもできるように特訓してある。
3本目のフィルムが尽きようとしたとき
「ストーカーです!!」
少女がこっちを見ている。
その隣の警察もこっちを見ている。
俺の手にはカメラが
少女を狙って
周りの人間も
俺を見て
・・・警察にはサーチの違法性は理解してもらえるだろうか。
それだけが心配だ。
第99話 完