7月15日を中心に、祖先や死者の霊を家に迎えて供養する仏教行事。お盆とも略し、精霊会(しょうりょうえ)、魂祭(みたままつり)などともいう。東北の一部や北関東、中国、四国、九州地方は旧暦で、東京周辺や東北の一部は新暦で、北海道と新潟、群馬、埼玉、千葉各県以西は新暦の月遅れ(八月盆)で行う地域が多い。
盆は正月と共に日本では最も普及した行事で、各地にさまざまな習俗がある。一般的な例をあげると、7日(七日盆)には墓掃除、井戸替や大掃除などをし、13日夕方までに精霊(しょうりょう)を迎えてまつる盆棚を作り、仏壇から位牌を移して供花や供物、キュウリやナスに芋殻(おがら)の足を付けた馬や牛などを作り供えほおずきをあしらう。精霊がキュウリの馬に乗って急いで帰ってくるのを迎え、お盆が過ぎるとナスの牛に乗ってゆっくり彼岸に帰るのを送る。ほおずきは、鬼灯と書いて精霊が帰ってくる時の道明かりのちょうちんとなる。
また棚の材料や供花などを売る盆市がたち、麻の皮をはいだ茎で作った芋殻も売られる。
棚は仏壇近くに設けるが、前年の盆以降の死者の新仏は縁側などに設える、無縁仏は戸外に設ける所もある。13日の夕方は家の前で迎え火をたいて精霊を迎えて奉り、提灯や灯籠もともされる。精霊を送る15日の夕方から16日にかけては送り火をたき、川や海辺では小さな灯籠を流して霊を送る。なかでも京都の大文字山の送り火や長崎の灯籠流しがよく知られている。盆には盆踊があり、16日は薮入りで、奉公人は暇をもらって実家に帰った。
6月と12月の晦日(みそか)には、天下万民の罪や穢れを祓う大祓(おおはらえ)が恒例である。人々は心身を清めて盆や正月を迎えたが、古くは12月の晦日の夜にも魂祭が行われており、現在も正月に墓参りする土地がある。冬から春への正月、夏から秋への7月は、1年を2分する季節の大きな節目であり、仏教伝来以前からあった祖先の魂祭のうち、7月が仏教の盂蘭盆に習合したともみられる。さらに、正月の左義長(さぎちょう)と盆の迎え火・送り火、七日正月と七日盆、14、15日の小正月と盆の14、15日、などの対応に、盆と正月の類似性を指摘する説もある。