私が夢に関心を持ちはじめたのは、ちょうど中学生になったあたりからだったような気がする。夢の内容は、怖いもの・美しいもの・不思議なものとさまざまだが、その頃、空を自由に飛べることを自覚するようになり、それが嬉しくて夜は早ばやと眠りにつくことが多かった。
夢のはじまりはパターンが決っていた。家族みんなが寝静まった頃、私は一人起きだし、庭側の窓を開ける。庭を囲んでいる高さ2mほどの古い板塀の上へ飛びうつり、周囲の様子を見まわすのだが、その風景は普段見なれた風景そのままなので特に不安はない。「今夜はどちらの方角へ飛んで行こう?!」
と思いめぐらし、屋根の上を順々に飛び移りながら、行く先々で見知らぬ人たちと出会っては冒険気分を味わっていた。
空を飛びはじめたころ、せいぜい地上1.5メートルくらいの高さまでしか浮いていられなかった。そのため、何かに追い駆けられている時など、やっとこさ空中に浮かびあがれても地上から手を伸ばしてくる者に足を捕まれそうになる。だからなのか、その後、何度も空を飛ぶための練習の夢が続いて(そんな気がする)、なんとか電信柱や二階建ての家の屋根まで浮かんでいられるようになった。空を自由自在に飛べるほど上達してからは、今までの見なれた町よりも遠くまで行けるようになって、見たことのない風景も見られるようになった。ときには、夢の続きを見ようと思って眠りにつくと望みどおりの夢が見れたりすることもあったし、同じ場所の夢を何度も見るということもあった。
そういえば、夢の中で、自分は夢の中にいるのだと自覚することもあったのだが、一度わけがわからなくなったことがあった。
何かに追われて恐怖で目を覚ましたはずなのに、実はまだ夢の中なのだ。慌てて自分自身に
「 現実に戻らなければ!」 と言いきかせて目をさましたつもりが、そこは、まだ夢の中だった。内心半泣き状態で、「このまま現実に戻れなかったらどうしよう!」
と焦りまくった。今にして思うと、目を覚ました場所が寝床の中だったってことが混乱を招いた原因のように感じる。いずれ、しばらく現実だと思って行動はしていても、なんとなく部屋の明るさが違うのを感じて夢だと自覚した。よくは覚えていないが、眩暈(めまい)のようなものを感じ意識がなくなったあと、現実の世界で目を覚ましたような気がする。夢の中では自分が意識的に見たものはハッキリしているけれど、意識を向けていない周囲はぼやけて薄暗く何もないように感じられた。
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