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| 私は関西人だけど、子供の頃は神戸に住んでいて、買い物などは神戸の三ノ宮で事足りたので、滅多に大阪まで行くことはなかった。通天閣や新世界に初めていったのも今から五年前のこと。その時の印象も強烈だった。今回、11年前に学会で知り合ったYさんとともに、学会会場を抜け出して、大阪の新世界に。JR天王寺駅から通天閣を目指して歩き出す。天王寺動物園沿いに、おそらく不法占拠しているものと思われる、屋台のような小屋がたくさんあり、店の外ではまだ15時だというのに、初老の男女が酒を飲みながら大音量のカラオケで歌っている。歌うのは勿論演歌。通行人のほとんどが酔っ払ったおっさんと若いカップルという、なんとも不思議なとりあわせ。通天閣へは入場料の600円を払って、エレベーターで上る。エレベーターのオペレーターである少し小柄のニーチャンに、ジャンジャン横町はどこかと尋ねたところ、「ああ、ここからはあんまり見えへんわ。もうちょっと上ってからがええなあ、あっ、行き過ぎよった」と言いながら、エレベーターを止めるならまだしも、ハンドルを回して(上下の操作はハンドルで行う旧式のもの)わざわざエレベーターを下げてくれる。こんなサービスをしてくれるのは、世界は広しといえど、ここだけだろう。さすがは人情の町大阪。展望台ではYさんに写真をとってもらう。そして、いよいよジャンジャン横町に。僅か50メートルほどの通りに、deepな店が軒を列ねる。飲食店がほとんどだが、ある店の前でおっさんたちがたむろして、熱心に店の中を見入っている。将棋クラブだ。さすがは伝説の棋士、坂田三吉を育てた町。外にいるおっさんは、実はギャラリーなのである。店の人に駄目もとで写真を撮らせてもらうよう頼むと、「ええよ、でも中におる人を刺激せんといてな」と意外にあっさりと許可してもらう。その他に「娯楽場」もあるが、ゲームセンターなどと書かないところが、大いに好感が持てる。飲食店は串揚げ屋、寿司や、うどん屋などが軒を列ねる。「素うどん160円」「タコ焼き10個200円」スゴすぎる。串揚げ屋は4、5軒あるが、そのなかでも一番ディープそうな店に入る。店には女性客が2人のみ、店のオヤジは焼酎を飲みながら串を揚げている。とにかく安い。生ビールを飲みながら、揚げ立ての串揚げをつまむ。うまい!!特に学会をさぼって飲む酒は最高!!オヤジの腕は確かなようだが、とにかく冗談がキツイ。「ウマイ言うなよ、ウマイ言うたら3倍払わすぞ、ほんでマズイいうたら6倍や」おいおい。キスの串揚げを注文したら、「どっちのキスや?」「えっ?」「そこにおる客のネーチャンのどっちのキスがええねん?」ですって。もちろんタレへの2度つけは厳禁。そんなことしたら、本当に店からたたき出されるかもしれない。お代は2人でたった2300円。店を出る時写真を撮らせてほしいと頼んだら、例のオヤジは「アカン、ワエなあ今、指名手配中やねん」と本気で顔を隠す。もう一人の店員のオヤジは、「ワエは仮出所中やさかいかまへんで」とニコニコして写真にうつる。ほんま冗談きっついわ。私は関西人だけど、こんな大阪らしい大阪、つまり安くてうまくて、人情味あふれる大阪を見たことがない。古き良き時代の大阪が、ここには確かに存在している。でも、もう絶滅寸前かもしれない。みんな歳をとり過ぎているからだ。だから今こそ、「大阪新世界を世界遺産に!」。もちろん、ここに住んでるおっさんやおばはんあっての世界遺産である。 | ||
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