見て、聞いて W

北海道新規就農説明会 in 池袋

 27〜28日の両日、池袋のワールドマートインポートビル4階で(社)北海道農業担い手育成センター
の主催による「北海道新規就農説明会」が開催されました。 初日、開催直後の会場に伺って見ました。
果たして、私のような中高年者を受け入れてくれるようなシステムはあったのでしょうか?

 説明会の会場となったワールドマートインポートビル
は、池袋に集まる若者がショッピングやデートなどでよく
利用するサンシャインビルに隣接しております。 ガング
ロやアーパーねェちゃんに混じって地下道を進み、怪し
げな呼びこみやキャッチセールスの多国籍軍を潜り抜
け辿り着いた会場は、案外森閑としておりました。
 従来の就農説明会とちょっと違っていたのは、通常の
就農ガイダンスよりは若い人が目立った事でしょうか。
それに、就農ガイダンスでは滅多にお目に掛からない
妙齢の女性の姿も目にしました。 やはり、北海道とい
うブランドの持つ力なんでしょうか、それとも何か理由が
あるんでしょうか? 
 説明会場では、受付で来場者カードを受け取って記入
を済ませると先ずは担い手センターの方が待つ総合相
談に進みます、次に関心のある市町村のテーブルへ進み個別の相談に乗ってもらう事が出来るようになっていました。 更に、これは北海道ならではの事だと思いますが、”農場リース事業”の相談や説明なども
受ける事が出来るようになっていました。
 先ず私は、案内にしたがって総合相談のテーブル足を向けました。 対応していただいたのは、(社)北
海道農業担い手育成センターの首都圏センターに勤務しておられる堀田幸一氏でした。 優しさと温かさ
を感じる熟年の紳士で、私のぶしつけな質問にも丁寧に答えていただきました。(感謝!)
 最初に、相談先参考資料に載っている年齢の事について質問してみました。 その資料に載っている
16の市町村の内、12の市町村が46歳以上の就農相談には乗らない事になっていたからです。(相談
リストの年齢欄46歳以上の項目にチェックがありません。) すると、就農相談は原則として40歳以下を
対象にした物
で、それ以上の方の就農は事実上難しいのではないかとの答えが返ってきました。 理由
はやはり農業を始めるには中年以上では too late だと言う事になるのでしょうか? そして、ここで行わ
れているのは、産業としての大規模農業を志向する人々の為の就農説明会なんだという事を改めて強く
感じざるを得ませんでした。 ちょっと、場違いな所に来てしまったのかな? それが第一印象でした。

 そこで、ちょっとだけ質問の方向を変えて、本などには余り載っていないことなどを中心に質問してみま
した。 最初に、北海道へ就農した方の失敗例を聞いてみた所、やはり過半数の方は成功したとは言え
ないようです。 それでも、少しづつ就農成功事例は増加している様なんですが、何せ北海道への就農は
他の地域への就農と比べるとイニシャルコストが掛かりすぎる様ですし、気候的な特性から地域にあった
農業のやり方を習得するにも長い時間を必要とする様です。 北海道の1戸当りの平均耕地面積は他の
地域の約10倍にもなる大規模農業です。 その為、徹底した機械化とコスト意識を十分に持った農業が
求められます
。 更に、ちまちまとした土地に暮らしている我々とは地域という感覚がそもそも違っている
様です。 一つの町や村がすっぽりと入ってしまうほどの広さを耕作している人も珍しくありません。 近い
とか遠いとか言う感覚のズレは都市住民を唖然とさせてしまいます。 頭で理解できる事と感覚的に悟る
事のズレを壮大なスケールで示してくれる所が北海道なのかもしれません。

 次に、この頃送られてくるメールや取材で気になっていた事を聞いてみました。 就農関係事業を装った
詐欺事件の横行
です。 やはり、北海道でもある様です。 その一つが都市住民が北海道で起こしている
事件らしいのですが、”原野商法二番煎じ詐欺”とでも言う物です。 とても、農地にはならないような荒地
にそれらしいデコレーションを施して住宅付きの農場として売り出すという手口です。 原野商法に引っか
かったお馬鹿さんが次のお間抜けさんに被害を移そうとする例もあるんだそうです。 又、農業法人への
農業研修制度を悪用した例もあるようです。 これは他の地域でも裁判沙汰になっているのでご存知の方
もあるかもしれませんが、就農支援資金や特別貸付を研修者に受けさせそれを搾取するという手口です。
農業や就農支援制度が都市住民にとって必ずしも開かれた物になっていない事を利用して、受け入れ先
となっている農家(を営んでいる様に見せかけている物も多い)や農業法人の人に「私に任せなさい」と言
われて借金だけ背負わされてしまったり、本人に渡るはずの支援金を取られてしまったりしているのです。
詐欺に引っかかる人にも責任はあるでしょうが、農業やその地域の持つ閉鎖的な側面が改善されなけれ
ば今後も都市からの就農希望者をターゲットにした詐欺は横行する可能性があります。 ようやく芽生えて
来た、日本人の新しいライフスタイルへの流れをぶち壊しにしてしまう事になるかもしれません。 もう一つ
詐欺とまで言えないのかもしれませんが、低賃金労働者として就農希望者をこき使うような所もあるとの事
です。 いくら機械化されていると言っても、人手に頼る作業は幾らもある訳でそれらを就農希望者を上手
く使って安く揚げようと考えているような不届きな輩も中には居るようです。 最初優しく、後は冷淡、農法
などは一切教えず、やたら心構えなんかを強調するような連中には注意が必要かもしれませんね。 そん
な所で研修なんか受けても、一切なんの役にも立ちはしないと言う事を肝に銘じておいてください。
 
 左の笑顔の素敵な方は、前出の堀田宏一氏です。
堀田氏は有楽町にある(社)北海道農業担い手育成
センターの首都圏センターで就農コーディネーターと
して皆さんの相談窓口となっておられる方です。
上記のような困った詐欺や面倒に巻き込まれない為
にも、北海道への農業体験や農業研修などを希望す
る際には是非一度足を運んで相談してみる事をお薦
めします
。 農業や就農支援に関する知識が豊富で
あるのは勿論ですが、現地の情報や制度にも精通し
ておられるので、頼りになる事は間違いありません。
 独自で、就農への道を探る事を私は否定しませんし
むしろ応援したいと思っています。
 しかしすぐに農地
が持てると思っている人が居たり、農業に対する強い
憧れを抱く方が次々とカモにされたりする現状では、
公的なシステムを上手に利用して、正確で客観的な情報収集をする事を強くお薦めしない訳には行きません。 公的に行われているサービスに時々文句を言う方がおいでになるようですが、確かに不思議な事をやっているなぁ、と思わせるような事もない訳ではありませんが、これは文句を言う側にも責任があるのではないでしょうか。 そもそも公的な支援などは必用最低限度のものでしかない事を理解しておくべきです。 収益を追及する営利事業体ではないのですから
不足分は自分で何とかする努力をするべきでしょう。 その上で何ともならないのであれば、でっかい声で
発言
しましょう。 そして、堂々と要求しましょう、この国ではそうする権利があるのですから…。
しかし、なんですよ、私に言わせれば就農に関する公的なサポートはやり過ぎではないかとないかと思う
位に手厚い物
ですよ。 事前の説明をよく聞いて、契約関係を完璧にしておけばかなりの部分で就農への
サポートを総合的に受けられる様に出来ているはずです。 むしろ、それに甘えていたり、妙に遠慮したり
してトラブルを自ら引き起こしている就農希望者もいるではないかと思うのですが、どう思われますか?
但し、殆どの就農サポートは多くの地域で40歳未満とか、35歳以下などの年齢的な条件がついている
のが一般的なのです。 ここ北海道新規就農説明会もまた例外ではありませんでした。

 相談項目の中に46歳以上の就農相談があり、多種類に渡る農業可能品目を挙げて、研修施設なども
完備していると表示されていたある町の就農相談デスクに行って見たのですが、得るところはありません
でした。 46歳以上の就農相談はしていないのが現状の様です。(そんなら、何故、対象年齢に46歳以
上を入れてるんでしょうねェ) 焦点の合ってない会話が続き、実際の説明では 10a 当り30万円以上する
耕地が17ha 程必要であり、機械の購入や、種苗の代金、家畜の購入費、それらの飼育に関する費用等
を含めて新規就農には初期投資だけで1億円以上は楽に掛かると仰いました。(ゲッ、ホンマかいな)
予備調査などせずに行ったので、黙って聞いて帰ってきましたがよ〜く考えてみたらヤンワリと(さっさと)
帰れと言われている様なもんですよね。 機械はリースのシステムがあるし、農場を丸ごとリースして就農
促進を図ろう何ぞとパンフレットには説明してあるのに、そんな事はおくびにも出さずに、貴方には北海道
への就農は無理なんだよ、と判らせようようとする彼らの意図が透けて見える様で少々うんざりしました。
そう言えば、私が47歳と言った時の彼らの表情の変化も、あ〜ぁってな感じでしたなぁ。 

 最後に北海道ならではの新規就農形式を幾つかご紹介しておきましょう。
1 リース方式
  北海道農業開発公社から農場(施設付)を一時(5年以内)借り入れした後、買いつける方式。
 これだったら、初期投資に過大な負担は掛かりませんね。 しかし、5年以内に1億円(?)を用意するか
 それとも借金して購入する訳ですから、最終的にかなり大きなリスクを取る事に変わりはありません。
2 リレー方式
  離農を予定している農家と一定期間農業を共にし、その後その跡地を引き継ぐ方式。
 その農家の方が、どの様な方で、一体、幾ら位でその跡地を引き継げるのかは一切記述がありません。
3 パートナー方式
  既存の農家と共同して経営する方式や農業生産法人に構成員として経営参加する方式。
 単に表現の仕方の違いなんでしょうが要するに就職するという事のようです。 パートナーなんて言うと
 チョット格好よく聞こえますが、実態をよくわきまえて判断する必要がありそうです。
4 グリーンパートナー方式
  これ、何だと思います? 実は結婚して農業を始めようって事なんです。 花嫁が一般的なんだそうです
 が、花婿サンもいるそうです。 そう言えば、確か北海道のどこかの町村では花嫁を紹介してくれた人に
 かなり高額の礼金を支払うと言うシステムがあったと記憶しておりますが… 深刻なんですね。
5 養子型参入方式
  読んで字の如く、後継者のいない農家との養子縁組で農家に参入する方式。
 リレー方式と似ていますが、法律上の親子になる訳ですから資金的な負担はありません。 北海道でも
 後継者難は顕著な様ですが、莫大な資金を投下した農場を本土の中山間地のような放棄地にするわけ
 にも行かないんでしょうね。 でも、小糠三合なんとやらと申しますが如何なもんでしょう?
6 経営移転方式
  かつて主流を占めていたと言われる北海道への就農形式。
 道外の農民が北海道へ開拓参入してきた時代の話だそうです。 今でもいるのかなぁ、そんな人。
 
 ざっと、こんなもんです。 ここで一つお断りしておきますが、上記の就農形式には年齢制限などどこにも
記されておりません。 しかし、賢明な読者の方々ならお分かりいただけると思いますが、明らかに若い人
向けの方式であり、オジサンやオバサンは”お呼びでない”事をよ〜くご理解頂きたいものだと思います。
くれぐれも、「自分はまだ若い。」何ぞと妙な誤解をなさらない様にしてくださいね。 お願いしますよ。 

 この就農説明会へは北海道からメールを頂いた方の紹介で訪ねてみました。 はっきり言ってしまえば、
中高年が就農できるような環境では無いように思いました。 勿論、例外的な町村なども探せば必ずある
とは思いますが、一般的には若くて、農業で一旗上げたい人向けの環境なのではないでしょうか? 就農
へのサポートも若人を念頭において作られている様です。 逆説的に言えば、就農を志す若者にとっては
かなり手厚い支援を受ける事が出来るとも言える訳です。 そう言えば、昔、札幌農学校の先生が言って
ましたよね、Boys be unbelievable ! って。 ン、ボーイズ ビー アンビシャスでしたっけ。
 
 北海道への就農相談は(社)北海道農業担い手育成センターへどうぞ!!
  URL: http://www.ninaite.or.jp/ 

前回へ ホームへ