農家の収入U

 前回、農業白書をもとにした農家の収入と傾向を大まかに示してみました。
今回は、どうすれば農業収入を増加させられるかについて皆さんと一緒に考えて
みたいと思います。
 農地からのリターンは工業生産品などと違い明らかに一定の限界があります。 
農産物の大量生産や、無限反復生産は不可能です。 大規模農業と言う言葉
をよく耳にしますが、これは少ない労働力で最大のリターンを得るという欧米式
の農業の事です。 農地がたっぷりとあって、人口密度の低い地域なら日本でも
不可能ではないでしょうが、そんな所ありますか? それに、生産性が高いと言う
話もよく聞きますが、これは農民一人当りの収入で示した場合の事で、単位面積
当りの収穫の話では在りません。 日本で大規模農業が隆盛を見せれば多分、
農産物の収穫量は減ってしまうでしょう。 日本の農地は他に類を見ないほど手
がかけれられ、整備されております。 そこから生まれる大地の恵みを我々は受
け取っているわけです。
 技術革新や、農機具などの改良に助けられ農業人口の減少や高齢化にも関
わらずこの国の農業はそれなりのパフォーマンスを示しています。 でも現状から
伺える将来への展望は決して明るいとは言えないようです。 農業人口を増大さ
せ高齢化等により生まれる過疎化や耕地の改廃を防止するには農業と言う産業
を魅力的な物として認知させ、都市からの人の流れをつくるしかありません。
 農業を魅力的な物にする為に、先ず農業収入を上げる方法を考えて見ましょう。

 現在農業を営まれている方へ〜

農家の収入アップ大作戦 その1
・作付け面積を拡大しよう 土地からのリターンに限界がある以上、ベースになる耕地の増大は
間違い無く、収入の増加につながる筈です。
・作物の商品性を探ろう 何が一番儲かるかはその時々によって異なりますが、傾向と対策、
それに豊富な経験が重なれば、予測する事は出来るはずです。
・作業の効率化を図ろう コスト意識を持った農業を展開しましょう。 無理や無駄は破綻を招
き、競争力を失った産業は滅びるしかありません。
・消費者との関係を深めよう お得意様との関係強化はビジネスの常道です。 リサーチがリターン
へと繋がり、直販へのルートが開発されるかもしれません。
・生産品の質と量を上げよう 質と量は反比例する訳ではありません。 少ししか採れない貴重品
なんて意味のない贅沢品ではありませんか。
・付加価値をつけよう 付加価値なんて言うとすぐブランド作物を想像するようですが、内容
のない物にブランドなんて生まれはしません。
簡単に付加価値をつける方法は、加工する事です。
・チャレンジ精神を持とう このままで良い、そう思ったときから退行現象は始まります。
常に次のステージを目指し、新たなチャレンジを模索しましょう。

 以上、例としてあげた事に異論のある農家の方も多いと思います。 異論があって当たり前だと思います。
作付け面積を拡大?作物の商品性?効率化?何言ってんだい。 遠の昔からやっとるわい!!
でも、ようく考えてください。 全国でみた作付け面積は減少を続け、生産者自らが作物の商品性を考える
事も無く、効率化を図るつもりで買った農機のローンに追われてはいませんか?
顧客の事を考えた事がありますか? 顧客とは買い上げ業者や組合の事ではありません。 最終消費者
である都市住民の事です。 その顧客のニーズにどれだけ応えてきましたか? ひょっとして、農業に無関
心で無責任な人間の事なんて知った事かとお考えではありませんか? 自分達には農協と言う実に面倒
見の良い組合があって、問題が起きても対処方法を教えてくれたり情報提供をしてくれるからいいやと思
っているのではありませんか?
 現状は大きく展開しようとしております。 農業も産業として自立しなければならなくなってきたのです。
国からの援助や補助は今後増えていく事を期待するのは難しくなってきております。 何も農業だけでなく
あらゆる分野で国からの支援は減る傾向にあります。 簡単な事で、金が無くなってきてるからです。 
政治家についてコメントをする立場にありませんが、ウルグアイラウンドやその他の国際会議での様を見
てると、この国が政治家の能力に関係無く発展してきた事がよくわかります。 グローバル経済の中でこの
国の農業をどの様に運営していくかは、当事者である農家の方が考えなくてはならない事なのです。 
かつて、無類の競争力を誇って、世界に君臨してきたきたこの国の花形産業の経営者の様にです。
 私が都市住民の立場で取材させて頂いた方々の中には、先進的な考えや危機感を持っておられた方も
おいでになられました。 しかし、明らかに少数派でした。 農業は厳しい厳しいと言いながら、多くの方が
何処かで言訳や諦念を表しておられた様に思います。 
早朝や日暮れに畑仕事をする老人の姿には何やら胸の打たれる思いがしますが、何故こんな事になるの
だろう、と思うと少々腹立たしい気持ちになります。 腹の立つ原因を追求したいとは思いません。 そんな
事より、これからどうすれば良いのかを皆さんと一緒に考えていきたいと思っております

 これから就農を目指す都市住民の方へ〜

 農家の収入は、その殆どが耕地から生まれます。 その耕地を利用して自分なら何が出来るのか、ある
いは何をやってみたいのかをよく考えてみてください。 その際に、上記の事柄も農家の方が抱えている
問題の一つとしてよく考えてみて頂きたいのです。 都市からの就農者として何が出来るかを考える事は
自分が農民になった時にどの様な形で地域社会に貢献できるかを知るヒントになると思うからです。
資質や経験の大きく異なる都市住民が農業を営むのは確かに大変な事かもしれません。 しかし其処に
はその苦労を補って尚余りあるほどの希望があるのではありませんか? その希望を実現させる為には
自分に何が出来て、何が出来ないのかをよくわきまえて地域社会の中で必要な人物になる事です。 
そうすれば都市からの就農はかなうでしょうし、大金持ちには成れないかもしれないけれど幸せな暮らしを
送る事は出来ると私は思います。 更に、都市からの就農希望者の方に望まれる資質として、都市生活で
養ったキャリアや、人脈が在ります。 これらは農村部において欠けていると思われる部分であり、これか
らの農業を運営していくには大事な要素となる筈です。 手に職を持った人ばかりが就農希望者として
歓迎されるような時代では無いのです、その地域の為に自分に何が出来て、どう役に立つのかを前向き
に考えるべき
だと思います。
 農業の基本的な技術や知識の習得は確かに収入を得る上でベースとなる要素ですが、これらは就農し
てから、地元の方にじっくりと仕込んでもらった方が良いのかもしれません。 頭でっかちなマニュアル型
人間
は、どうもあまり好かれないようなんですよ。 それに農業のやり方って思っていたより多種多様で、
その地域毎に独特のパターンをもっていることも多いんですよね。 まぁ、私の知る限り農家の方々は
何処か陽気で人懐っこく、面倒見のよい方が多く農業指導なんかは喜んでやってくれる筈ですよ。
 最後に、農村に住むと言う事はトラディショナルな農民になるのとは少し違うと言う事を理解してください。
農村にはやらなくてはならない共通の仕事があり、絶対やってはならないという厳しいルールもあります。
その決り事さえちゃんと守れば、むしろ新しい生活をエンジョイする事を考えた方が上手く行くのではない
でしょうか。 又、農村でベンチャービジネスを立ち上げるなんて言うのも、ちょっと粋な事じゃないかと私
は思っているんですけどね。 いずれにしても、農村はあなたの人生の終わりの場所ではなくて、もう一花
咲かせるところだという気概が一番大切
だと言うことでしょう。
 
 就農を成功させるには多くのそして様々なハードルがあります。 それらを効率よく片付けて、残りの
人生を充実したものにする為に、皆さんのご助力を宜しくお願いいたします。            8/1 '00

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