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日本の農業 V
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ルーラルを継ぐ者
日本の農業の推移と現状に付いては、折に触れ説明してきたつもりですがその中でも後継者の問題は
かなり深刻な状況の様です。 日本の農業就業人口の推移は、昭和30年代半ばには約1450万人の方
が農業に従事しておられたのですが、現在では380万人程にまで減少しております。 世帯数で見た場合
は人口数の減少ほどではありませんが、その代わりに高齢者だけの一世代農家で農業の後継者が見当
らない世帯は90万世帯を超えてしまい、将来の農業経営に暗い影を落としております。
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・農業就業人口
15歳以上の世帯員(同居家族)で、調査
期日前1年間に「農業だけに従事した者」と
「農業とその他の仕事に従事した者のうち
農業が主である者」の事をいう
(一言で言えば、15歳以上で一応農民で
ある人)
・基幹的農業従事者
農業就業人口のうち、調査期日前1年間の
普段の主な状態が「仕事に従事していた
者」(農業を営んでいた者)の事をいう
(一言で言えば、農業就業人口中一応毎日
農業に携わっている人)
上記のグラフは昭和35年から平成11年までの農業就業人口と基幹的農業従事者の推移を表しもの
で、説明不要なほど一目瞭然の状態なんですが、ちょっと下記のグラフをご覧頂けますか。


これは、農業就業人口を年齢別に仕分けして円グラフにしたものなんですが、僅か4年の間に55歳以上の
就業者の比率が4ポイント上昇し、45歳未満の比率が同じだけ減少している事が分かります。 この事実
は、日本で高齢化が全体的に進行している事を考えてもぞっとするような数字です。 もしこのまま推移し
ていけば、あと20年経過すると、男子生産年齢(15歳以上65歳以下)に該当する農業就業人口は多分
100万人を大きく割込んでいるのではないかと予想されます。 そうなったら、一体誰が現在の農業を守っ
ていくのでしょうか?
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次のグラフは、年間の農業労働従事日数の比率を年齢階層別にして男女別に示したものです。
ご覧のように、男女共に50歳以上の方々の
合計が、全体の農業労働に占める比率で
75%を超えております。 つまり、この表に
よって現在の農業は年齢が50歳以上の
方々によってその4分の3が行われている
事が分かります。
この表と、上記の円グラフを重ね合わせると
20年後の農業労働力の主体がどうなって
いるかを容易に想像できるのではないでしょ
うか? 若年の農業労働者の増加率が大幅
に変化しないと仮定すれば、円グラフには新
たに75歳以上の項目を追加しなければなら
なくなってしまう事になる筈です。 いくら日本
人の平均寿命が伸びているといっても、85歳
を過ぎて農業を営むというのは過酷な状況で
はないでしょうか。 しかも現在、高齢者が主な働き手になっている農家の多くは一世代農家で、後継ぎが
存在しない世帯がかなりの比率に上っております。 これらが、放棄地や改廃地の発生、更には過疎化の
大きな原因になっていることは間違いありません。
この問題を解決する為の一つの要素が都市からの就農希望者の出現ではないだろうかと私は思います。
そして、その小さな萌芽はまさに芽吹きの時期を迎えている様なのです。 国内状況の変化や国際情勢
の進展、更には産業が成熟期を迎えてきた事による人々の価値感の多様化、現在の農業や食糧問題等
がクローズアップされてきた事が就農への意識を大きく変えようとしているのです。 今こそ芽吹き始めた
小さな芽を大事に育てて行くべき時なのではないでしょうか。 ルーラルを継ぐ者は実はアーバンにもいる
のではないかと思う次第です。
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最後に、次のグラフをご覧頂けますでしょうか。
これは、各県の農業大学への入校者動向をグラフにし
たものです。 入学者総数には大きな変化は見られま
せんが、非農家出身の入校者の数が平成3年の348
名から平成11年には627名に増加しております。
又、女子の占める割合も年々僅かづつ増加して、平成
3年の246名から平成11年には386名に増加しておりま
す。 これらは、農業というものに対する若年層の認識
の変化を示すものといえるのではないでしょうか?
特筆すべきなのは、それまで農業とは関わりの薄かっ
たと思われる非農家出身の若者が新たに農業を志し
ている事でありましょう。

左のグラフは年毎の就農者数の推移をグラフにしたも
のですが、Uターン就農者や地元で定年やリストラに
よって離職し就農する方の増加などで新規に就農す
る人の数はここ数年増加を続けております。 それに
Iターンと称される就農先を自ら定めて新規に就農す
る方々の数も年々増加しており、最近では毎年数百
人の規模にまで増加してきていると言われています。
しかし、それでも尚、農業人口の減少には歯止めが掛
からず、平成10年には総農家戸数で約5万戸が減少
し、農業就業人口では約4万人の減少となっておりま
す。 政府や行政もその対策を立て実行に移しては
いるのですが、未だその効果は現れてはいません。
その原因の一つとして、農業地域の意識と都市から
の就農者の意識や、営農等についての考え方のギャップが大きい事が在るのではないかと思います。
どちらが正しいか等この際問題ではないでしょうに、と言いたくなるような事まで争ってお互いが損をして
いるような話をしばしば耳にします。 求められて移り、求めて受け入れたのならお互いを尊重しながら
妥協点を見出してもらいたいものだと祈っております。 何しろ、この国の”ルーラルを継ぐ者”はどちら
か一方の人々だけでは、決して生まれては来る事など有り得ないのですから…。
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もし、日本の農業を活性化させる為に就農者の数を増加させなければと考えるならば、農業地域に住む
人々の意識の覚醒だけでは不可能なのではないでしょうか? そもそも地域人口の絶対数が不足してお
ります。 その不足を補う為に都市からの就農希望者は重要な意味を持っているのではないでしょうか。
都市からの就農希望者が農業労働力として即戦力になるかどうかは疑問が残りますが、将来的には
間違いなく大きな戦力になるでしょうし、停滞している地域に新しい息吹を吹き込んでくれるのであれば、
様々な意味で貴重な存在になりうるのではないでしょうか。 それまでに経験してきたキャリアも異なり、
価値観も違う人間が仲間になるのですから多少の摩擦が起きない訳はありません。 しかし、それをクリ
アして新しい地域社会を築く事がその地域のすんでいた人にとっても大きな利益となり、その地域に移り
住んで来る人々にとっても有益な人生を送る事になるのではないかと信じております。 そして双方が
相俟って新しい社会が生まれた時に、真に”ルーラルを継ぐ者”が生まれるのだと私は確信しています。
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