Progression@2002 -Part1- 
'02.07.07(Sun)16:00〜 アメリカ村BIGCAT

さて、今回の大阪行きの主目的“Progression@2002”

これは7月7日と21日に分かれて、総勢10組ものプログレバンドが参加するイベントです。
これだけ多くのバンドが出演するイベントは、東京でもそうそう無く、無理矢理気味ながら参加した次第。

特に再始動した“Magdalena”に、結成当時のオリジナルメンバーで参加の“Fromage”がラインナップされているとあっては観にいかない訳にはまいりませんて。

事前のチェックでは、天候があまり良くないという予報が出ていましたが、昨日、USJで少しパラつかれた程度でピーカンの観光日和。というか暑すぎ…

会場の“BIG CAT”は初めてなので、余裕を持って3時過ぎに到着。
アメリカ村という、東京で言うなら原宿のような街のファッションビルに、こんなホールが有ることを知らなかったので、ちょっと驚きました。
学生時代には関西に住んでいましたが、その頃のライブではキタの“バーボンハウス”や“キャンディホール”に行くことが多く、今回の“BIGCAT”は不案内。ちょっと不安もありながら入り口まで行ってみると、どこかで見覚えのある人が…。
旧くからの知人のYushoさんでした。Yushoさんのバンド仲間の方々とも落ち合い、初めて会ったとは思えないほど和やかに(さすがプログレマニア同士ですね/笑)談笑しつつ、開場待ち。

中へ入ると、キャパシティ的には“心斎橋MUSE HALL”や“Quatro(渋谷)”と似通ったホール。
マイナーなプログレとは言え、一度に5バンドも出演するとなると、これくらいの「ハコ」も必要でしょうか。
さて入場後は、Yushoさんのお仲間の方々とともに最前列真中に陣取り、プログレマニアの結界を形成します(笑)

まず7日は、いわゆる「ハードプログレ」(*1)と呼ばれるジャンルのバンドが出演。
新旧とりまぜつつのラインナップは
、“Fromage” “MargeLitch” “Magdalena” “Gerard” “Scheherazade”。
ご存知無い方には“???”でしょうが、プログレマニアにとっては涎モノのそうそうたる豪華な面々。
*1:現在、一般的に「プログレッシブ・ハード」と呼び習わされる“DreamTheater”に代表されるような
HR/HMではなく、「ドラマチックなハードロック」とでも言うべき音楽です。テクニカルであるよりも
メロディ重視である事も、「プログレシッブハード」とは異なる点と言えるのではないでしょうか。




Fromage(フロマージュ)
[メンバー]
■中嶋一晃 / Gu
jeff(奥田正一) / Vo
■真下正樹 / Bs
■谷口裕一 / Dr
サポート

北村佳彦 / Key
[セットリスト]
1.オープニング〜 マジカルモーニング
2.光の余韻
3.悪魔のワルツ
4.夜笑う
5.沈黙の扉
6.大都会
まず、その筋では伝説の“Fromage”。かなり筋金入りのプログレファンでも、このメンバーでのライブを観たことのある人は、そうそう居ないでしょう。今回は、なんと24年振りのステージ(!)との事。
80年代半ばの活動しか存じあげていなかったのですが、これが「ほぼ」オリジナルメンバーなんだそうです。

Keyのみサポートメンバーと紹介されていましたが、北村氏は2ndアルバム「オフェーリア」をリリースした頃のメンバーだったかと記憶しているので、「初期オリジナルメンバーではない。」という意味なんでしょう。

その80年代の“Fromage”に見られた、ボーカルの東沢学氏の創る歌詞に拠った、繊細でリリカルな雰囲気とは異なり、このオリジナルメンバーでのバージョンは、とにかく70年代ロックの色が濃い、渋めのハードプログレ。
と言うか、「ハードプログレ前夜」のプロトタイプ的な趣きのスタイルです。
全体の雰囲気を喩えるなら、「マキOZ meets ジェネシス」のようなイメージでした。

演奏されたのは“Pegeant〜浪漫座”へと引き継がれて行く、“夜笑う”のオリジナルバージョン等々。
浪漫座座長の中嶋一晃氏(以下“座長”と記させて頂きます)のギターも、「いつもより多く廻っております」な風情。ライトハンドまで飛び出し、実に楽しげに演奏されていました。

それぞれが別のバンドで活動されていらっしゃるので、パーマネントな活動は難しいかと思いますが、いずれまた、何かのイベントの折りには演奏して欲しいですね。



1.マジカルモーニング
ジェネシス風のキーボードから、オープニングのインストナンバー“マジカルモーニング”がスタート。
ドライブ感のある前半部分と、いつもの浪漫座での演奏とは異なるトーンで座長のギターがリードする中盤、そしてジャジーな後半部へと流れるように演奏され、最後はサンタナのようなギターフレーズで締め。

2.光の余韻
引き続いて「パープルヘイズ」のようなギターから“光の余韻”へ。
ここで登場したJeff氏の声は、現在の「ハードプログレといえばハイトーン」と言ったイメージとは異なり、枯れた渋い歌声。
歌詞も含め“マキOZ”を彷彿とさせる「ハードなロック」が展開。
3.悪魔のワルツ
一晃節のギターが悲鳴のような音をあげ、jeff氏のビブラートボイスとオルガントーンのキーボードが、情感たっぷりに絡んで行きます。
中間部では谷口氏のドラムをベースに、座長の曲ではお馴染みのワルツのパートが挿入されます。そしてボーカルパート、再びワルツで締め。

MCのとおり、既に20年以上前に作られた楽曲ですから、オリジナリティ云々を取り沙汰するのは野暮な事ながら、70年代の若い才能が溢れた曲であることを、ひしひしと感じます。
4.夜笑う
座長の所属した歴代のバンドで、綿連と演奏されてきた「夜笑う」のオリジナルバージョン。中間のインストパートでは、キーボードのサウンドもさることながら、ベースラインもなかなか美しいアクセントとなっていました。

“Pagenat”での永井博子氏の端正なスタイルとは異なる、Jeff氏のロック的な唱法に加えて、アレンジ違いの所為もあってか、“Pageant”版での「異形の者の冷たい孤独と寂寥感」とは異なり、「異端者の熱い懊悩」を感じさせる仕上がりです。

この曲の後、いつもより言葉少なめに座長のMC。
5.沈黙の扉
これからハードプログレとなっていくであろう、プロトタイプの手触りを強く感じさせるナンバーです。

この曲に限らず、全体に“Pageant”とは違う色彩を感じさせるイメージであるのは、サポートメンバーの北村氏のキーボードワークに拠る処が大きいのか、あるいは曲の持つ時代性が感じられるからでしょうか…。

6.大都会
“Scherazade”の「悪魔が泳ぐ夢の国へ」にも似て、これもまた70年代の雰囲気に溢れた佳曲。



MargeLitch(マージュリッチ) →公式サイトはこちら

[メンバー]
■横山嘉照 / Gu
■世良純子 / Vo
■yuhki / Key
■森田タカシ / Bs
■長倉哲郎 / Dr
[セットリスト]
1.彗星の翼
2.フェイス
3.魔物の森パートU
4.明日への約束
5.マスカレード・ゲーム
「継続した活動」という意味では、日本のハードプログレの中では最長でしょうか。
どちらかと言えば、テクニカルなヘビィメタルに近い(という意味では、もっとも現代的な)バンド。

ここは歌詞と「妹ちゃんキャラ(<何?)」のMCに、もうひと捻りがあればファン層も広がると思うんですが。
まぁそれも個性というべき範疇のことかもしれません。
またライブでもハードな音創りに拘るあまりか、良いメロディがありながらも、それを上手く伝えきれていない点にもどかしさも感じます。CD同様に「引く」所があっても良いのではないでしょうか。

それでも遣りたいことに筋が通っているという点では、いつでも安心して聴けますし、いずれにしても覚え易いメロディは強力な武器だと言えます。

1.彗星の翼
のっけから「変拍子ヘビィメタル」が雪崩れるようにスタート。
ドリームシアターをよりヘビィにしつつ、ジャパメタ成分を含有させるとこのようなサウンドになるかも?
まだボーカルが温まりきっていない様子で、ハイトーンの連続に少々苦しげな感じを受けました。
序盤からテクニカルかつオーバーレブ気味に飛ばすのも、微笑ましい位に「らしい」ですね。そして、キーボードはハードプログレの期待に違わず、レトロな音を提供します。
また、“MargeLitch”のステージでは、横山氏のコーラスも魅力の一つではないでしょうか?
2.フェイス
「様式美系」として、比較的ストレートなナンバー。
ドラムとの一体感はもう一息ながら、ベースがなかなかテクニカルに聞かせてくれます。
先任のベーシスト神保氏は、聞き応えのあるヘビィなベースプレイを見せていましたが、森田氏もハードな曲の中で、しっかりと役割を果たしていたように聴こえました。

3.魔物の森Part2
続いて、イングヴェイのような早弾きギターでスタート。
アルバム収録バージョンより一層ハードになっているのは、ライブ向けのアレンジという事なのでしょう。ただセットリストの進行で見ると、少し平板な印象になってしまったのは残念。
アルバムバージョンのアレンジで、ライブ全体での緩急を付けた方が良いかとも思いますが、最初から最後まで突っ走るのも、いかにも彼ららしいとも言えますね。(<どっちやねん)

4.明日への約束
全体の構成はバラードの組立てながら、演奏はあくまでもハードに。
北欧メタルも想起させる、(ありていに言ってしまうと“ストラトヴァリウス”とかの辺り)ドラマチックなナンバー。
フレーズが印象的なイントロ部でも、また中間のソロでもキーボードの見せ場は多いです。
終盤はソロを取るギターとキーボードのバックで、手数の多いドラムとベースが活躍してアクセントを付けながらエンディングへ。

5.マスカレード・ゲーム
ギターソロとキーボードが間を繋いで、ラストはドライブ感溢れる、極めてMargeLitchらしいナンバー「マスカレードゲーム」へ。
歌パートの後は、ギターとキーボードのバトル大会。
後の“Gerard”しかり、ハードプログレの世界ではショルダーキーボードがしっかり生き残って、活躍を見せています。


Magdalena(マグダレーナ) →公式サイトはありません
[メンバー]
■藤井 卓 / Gu
山内稚佳 / Vo
■ちえぞう / Key
■浜田勝徳 / Ba
■泉谷 賢 / Dr
[セットリスト]
1.ラナン・シィ
2.心の情景
3.みずうみの彼方
4.イムメンゼー
自分的ヘッドライナーの“Magdalena”。こちらも9年振りのステージだそうで。
この“Magdalena”、当時は相当ハマりました。いや、もう、恥ずかしながら白状してしまいますが…バンドが解散してからは、再結成の夢を観たほどです。1stアルバムのLP(その頃は、ちょうどCDへの過渡期だったんです)も、何度聴いたことか…

音楽性としては、クラシカルなメロディとハードな音で演奏されるもの。
イングヴェイを、もっとメロディアスにクラシカルしたような。と説明すればなんとなくお判りいただけるでしょうか?あるいは、バッハやモーツァルトがロックを演っているとでも言うような…
複雑なコードと曲構成で作られながらも、親しみ易いメロディと一貫したイメージを流れに乗せているため、散漫な印象が全く有りません。
ハードプログレでは、メロディだけ良くても逆にハードなだけでも魅力が無く、双方のバランスがキモだと思うのですが、今回のメンバーラインナップでは、リズム隊が強力になったことで、曲の良さがより引立っていました。

再結成当初の情報とはキーボードの方が変わったようですが、今回のちえぞう氏(女性です)は、知る人ぞ知る“テルズシンフォニア”にも在籍していたとの事で、さすがの安定感。
藤井氏の作られるメロディの美しさを、より一層際立たせています。





1.ラナン・シィ
お約束のバロック音楽のSEで、期待がいやがおうにも高まります。

そしてこの曲は、もちろん外せないでしょう。「ラナン・シィ」です。
“Magdalena”のライブに、この名曲を期待しないファンが居るでしょうか?
広い声域も要求され、この曲の出来如何でその日のライブの印象が決定付けられると言ってしまっても、過言では無いかも。
今日は、もう、イントロ部分で感慨無量。涙が出そうです。

冒頭からお馴染みの、バロック的クラシック的な「Magdalenaならではのロック」が、パノラマのように広がります。

“Magdalena”の曲を聴くと様々なイメージが浮かんで来る方も多いのでは?
プログレの世界では、“夢幻”のようにイタリア方面のイメージを彷彿とさせるバンドが多いのですが、“Magdalena”のそれは、自分にはドイツや北ヨーロッパの静謐な風景として浮かんできます。
その中でも「ラナン・シィ」は、もっとも絵になる一曲だと言えるのではないでしょうか。
テンペラ画のような、上品さを兼ね備えたカラフルささえ感じます。

事前に伺っていたとおり、新しいボーカリストの方も非常にパワフル。
自分と同じように、この“新生Magdalena”の第一歩を、ハラハラと見守っていたファンも多かったのではないかと思うのですが、心配は全く無用でした。
「ラナン・シィ」のエンディングに至って、すっかり新生マグダレーナを歓迎する気持ちになっていました。

思えば北田氏がボーカルだった2期(デモテープ「Reconstrucrion」のみリリース)の活動では、バンド側もファンも徳久時代のイメージから抜け切れなかった為、短命に終わったように思えます。この新生Magdalenaに関していえば、その部分でも、十二分に吹っ切れているように感じました。
逆に徳久氏のシアトリカルなパフォーマンスに馴染めなかった人にとっては、より親しみ易くなったと言えるでしょう。

(今回のセットリストの中で、この曲だけは再発CDなどで聴くことができます。)


2.心の情景
以前のライブでは、オープニングのインストナンバーでしたが、歌詞も付いてリニュアル。
この曲には結構たたみ掛ける部分もあり、ドラマーの泉谷氏の腕に唸らされました。ベースの浜田氏は言うまでもなく、緩急自在の凄腕ベーシストですから、美しい旋律とのコントラストも、より鮮明になったように感じます。

冒頭、ピアノの短いフレーズが繰り返される中、キーボードとギターが緩やかに絡みつつ、序々にハードな展開へ。
藤井氏のクラシカルなギターワークがたっぷり堪能できる中間部を経て、終盤の歌パートでは、めずらしくメンバーによるコーラスがあります。
そして再び導入部のテーマが繰返され、最後の最後にギターの1ストロークで締められます。

マグダレーナの曲は、特にエンディングの「締め」の部分が気持ち良く、あるいは余韻を残し、あるいはシャープに、自在にキメてくれます。
ロックでもありがちなのが、スタジオ盤ではフェードアウトのエンディングの曲を、がさつに終えてしまうパターンなのですが、藤井氏は最後の一音まで気を配って作曲し、かつ演奏されている事が伺えます。
3.みずうみの彼方
カノン風のキーボードによるイントロから、ピアノと歌で静かに始まり、中期“NOVELA”をイメージさせるロックバラードへ。
「NOVELA的」とはいえ、平山氏のいわゆるマーラー的なパースペクティブのあるオーケストレーションの手法に対し、藤井氏の作る曲は或る意味、室内樂的なアンサンブルが重要視されているように感じます。

またロックのバラードでは、ディストーションの掛かったギターでコードを弾くバッキングが多いのに対し、藤井氏はあくまでもメロディを主体に弾かれる事が多いですね。

さてここで、メンバー紹介を含めて長めのMC。
藤井氏のMCも、人柄を忍ばせる穏やかな独特の語り口は変わらないまま、以前のように見ている方が緊張するような危なっかしさも無く、ずいぶんと普段の調子にこなれて来たようです。(ボーカルの方のお名前は“飛んで”しまったようですが^ ^ ))

4.イムメンゼー
最後は、2期の頃(注☆)に作られた20分を越える大曲。
(注☆:ここでは仮に、徳久氏時代を1期、北田氏時代を2期としています)
ドイツの作家 T.シュトルムの作品にテーマを得て作られた組曲です。
徳久時代の大曲といえば「ワルツ〜前兆」の組曲ですが、この「イムメンゼー」は、より明るい曲想も含み、新生Magdalenaをイメージ付けるには、最適な選曲だったのではないでしょうか?

ゆったりと穏やかなリズムで、主人公の幼い頃への回想が歌われ、ワルツのリズムへ移ってからはベースも気持ち良く、メロディアスにボーカルと絡みつつ進行。
舞うようなストリングスのキーボードとリズムの中に、原作のストーリー同様に、序々に翳りが現れて来ます。
そして前半は、北欧の風景を思わせる清冽なギターのメロディで幕を閉じます。


ここで、打ち込みのフレーズが出てこないというアクシデント。
以前のライブから想像すると、ここにはグロッケンのような音のフレーズが短く挿入されていたかと思います。
ステージ上の緊張が伝わったのか、会場もシンと静まりかえっていましたが、ちえぞう氏のピアノが後半部のイントロをフォローし、観客も再びマグダレーナワールドへ。

ギターのバロック的フレーズから一転して、「いかにも」な緊迫感のあるハードロックサウンドへ。
ストーリーの進行に合わせるかのように目まぐるしく場面が展開し、“Gerard”もかくやのキーボードサウンドにイングヴェイ的なソロ、更にユニゾンのフレーズから、パイプオルガン風のキーボードが荘厳に奏でられて、ラストスパート。

歌モノの心象風景を描写するパートから、キーボードとリズム隊による力強いバッキングの中、ギターが明るくクラシカルなメロディを描き出します。

この曲の中間部も以外にも、若干の機材トラブルやミスも有ったように見受けられましたが、酷いアクシデントも無く、無事に終了。
↑自分の耳が都合の悪い処にはフィルターをかけて、聴いていない事にしたのかもしれません…(笑)

新生Magdalenaは、たった4曲(とはいえMCも含み40分強)の演奏でしたが、無事にステージを終えました。
先に書いたように、バンドとしても個々のパートとしても、以前のイメージとは変化しながらも、Magdalenaならではの名曲の数々を堪能させて頂きました。
もう、お腹いっぱいです。次は東京でも見られるのでしょうか…


Gerard(ジェラルド) →公式サイトはこちら
[メンバー]
■永川敏郎 / Key
■長谷川 淳 / Ba
■後藤マスヒロ / Dr 
[セットリスト]
1.CHAOS
2.TRIO
3.Pain In The Bubble
4.Sighs of The Water
5.Revenge
6.21st Century Schizoid Man
継続しているといえば、この“Gerard”も長いですよね。
Key/B/Drでの3ピースのバンドながら、リズム隊が最強です。リズムパート以外での活躍もあるという部分では、先の“Magdalena”とは対象的です。
“Magdalena”のリズム隊は担当部分でガッチリ演っていますが、こちらは3ピースゆえにリズムパートの枠を越えて、メロディ的な色付け部分も担っています。もちろん、どちらが上という事ではなく、それぞれのバンドの編成の違いや方向性の違いですから…。
また永川氏のキーボードもパーカッシブで、非常に小気味よく聞こえます。

1.CHAOS
ベース/ドラム/キーボードが威嚇するように唸りをあげ、オープニング。
すかさずアクセントの強いドラムを中心に、まさに「混沌」をイメージしたかのような3人のバトルが始まります。
混沌とは言いながらもフリージャズのようなスタイルではなく、計算された一体感があるところは、1つの胴体に頭を3ツ生やした獰猛なケルベロスのようです。

とにかく個々のパートの音がギッチリと詰まっていて、他の音の立入る隙間が有りません。ベースはまるでドラムのような手数で、タガが外れたように弾きまくります。

2.TRIO
ベースが太くメロディアスにプレイされた後は、キーボードの見せ場。
“DreamTheater”よりワイルドに、テクニカルなトリオでのキーボードロック。

「Trio」は、旧くから演奏されているナンバーですが、このメンツになってからは非常にタイトに、より一体感が強調されるようになりました。特にドラムが様々な表情を見せながらテクニカルに叩かれ、ベースが全体をキープする役目を負っているようです。

ここで永川氏のMC。
決してカッコ良いとは言えないタイプのMCですが、お客を引き込み楽しませる上手さはサスガです。
3.Pain In The Bubble
ドラムロールへギターのようなベースが絡み、キーボードを主体にフリーキーな変拍子で、イタリアンプログレ的なナンバーが演奏されます。
レスリーを使ったオルガンサウンドは、一時期のキースエマーソンもかくやの激しさです。

4.Sighs of The Water
最新アルバム「Sighs Of The Water」から、ノイジーなエフェクトのボーカルが入るナンバー。ベースが再びメロディ楽器としての表情を見せ、活躍します。

茶々丸(藤村)氏が在籍していた頃のようにGの入る4人編成なら、また違う仕上がりになるかと思われますが、ヘビィなリズムは「キング・クリムゾン」的でもあります。
オルガンもますます冴え渡り、鋭い音をたてて切り込んで来るようです

5.Revenge
見せるといえば、この「Revenge」を置いて外は無いでしょう。
常連にとってはお馴染みの「2段重ねショルダーキーボード(画像参照)」を担いで、ステージ上でBassと絡みます。こんなオリジナルおバカ楽器(<誉めてます)も、永川氏のキーボードプレイにかかると、カッコ良く見えるから不思議ですねぇ。

6.21st Century Schizoid Man
こちらもライブではお馴染みとなった、「21st Century Schizoid Man」
ここでも後藤氏のボーカル(というか「ボイス」ですね)が披露され、本家クリムゾンとはまた違った、スピード感のあるナンバーとしてアレンジされています。

元曲をご存知の方はお分かりになるでしょうが、途中の「溜め」も見事に決めながら演奏終了。


Scheherazade(シェラザード) →公式サイトはこちら
[メンバー]
■大久保寿太郎(Ba)
■五十嵐“Angie”久勝(Vo)
■平山照継(Gu)
■永川敏郎(Key)
■堀江睦男(Dr)

[セットリスト]
1.人形賛歌

2.怒りの矢を放て
3.Ever For Ever
4.Fall In Love
5.伝説の扉
6.ラプソディ
7.燃ゆる光
8.涙の中へ
9.明日の影
オリジナルの活動は70年代ながら、94年に再結成された伝説のプログレバンドですが、フロマージュ同様、パーマネントな活動ではないようです。
ここは、メンバーを見ても判るとおり、存在感が圧倒的です。
殆どのメンバーがリーダーバンドを持って活躍しており、演奏もパフォーマンスも群を抜いて安定しています。

詳細なレポは、もっと愛のあるサイト(例えば、コチラ)に譲り、ここでは省略させていただきます。

簡単な感想を少しだけ…

セットリストを見ても判るように、ファンにとってこのバンドは“Scheherazade”でありながらも、“再現NOVELA”の役目も期待されています。

70年代のオリジナル“Sheherazade”、90年代からの“再結成Sheherazade”、それから“再現NOVELA”…。

ファンの期待に違わず、様々な表情を見せてくれるのですが、その一方で進行形の“Sheherazade”を見たいと思うのは、ワガママな願いなのでしょうか。