|
1997年12月29日
ネルハ、雨の一日
朝食
次の日は9時頃ゆっくり起き、身支度を整えます。セレスは、長旅で疲れているのだから寝ていればいいのに、私が洗面をすればその近くへ、机の前でお化粧を始めればその側へと、とことこやってきて、私の足元にごろんと横たわります。
パラドールのレストランで朝食を取ることにしました。 部屋を出たら、まずドアの外側の取っ手に、髪の毛を束ねるゴムをしっかりかけます。これで、戻ってきた時、自分の部屋を確認するのです。 (フロントのある建物は確か右の方だな。)そんな曖昧な記憶ですが、セレスにドアを捜すように命令しながら歩を進めて行くと、泊まり客らしい人が声をかけて、フロントまで連れていってくれました。どうやら、セレスは別のドアを目指して歩いていたようなのです。
コンセルジェ(?)の案内で別棟のレストランへ。入り口までやってきたウェーターが、「テラスにしますか?」と訊ねます。(冬にテラス・・・!?)と一瞬驚きましたが、テラスで食べることにしました。
テラスは、思ったほどの寒さではありませんでした。
「ビュッフェスタイルなので、お好きな物をお持ちします」 ビュッフェスタイルがスペインでは始めての私。
「どんな物がありますか?」
「パンとか、ハムとか、フルーツとか・・・。」
「じゃぁ、それらをお願いします。」
パンは小ぶりの堅めの物だったので、もっとソフトなのをとお願いしました。フルーツは、ちょっと多めにと言ったら、食べきれないほど沢山持ってきてくれました。
テーブルの脇を大勢の英語・フランス語・ドイツ語などを話す人たちが通って行きます。その中に、おとなしく私の脇で臥せているセレスに感動して、英語で賞賛しているカップルがあったので、
「これは盲導犬なんですよ」と言うと、
「知ってますよ。私達はイギリスで、盲導犬育成のための募金活動を行っているんです。もう8頭寄贈しました。」とのこと。盲導犬がこうして活躍している姿を見てもらえてよかった、と思いました。
紅茶を運んでくれたウェートレスに、「ここは海に面しているんですよね?」と訊ねると、「そうですよ。音が聞こえるでしょう。」と言います。じっと耳を澄ませると、そういえばかすかに波音がするような気がしました。
雨の1日
その後フロントで、翌日のキャンセルがあるかどうかを確認しました。日本からは2泊しか予約していなかったのですが、もう1泊こちらに泊まろうと思ったのです。でも、残念ながら空きは無く、
「また、今日の夜か明日の朝、訊いて下さい」とのことでした。
それからセレスにトイレをさせるためにちょっと外へ出ます。外は、ちらちら雨が降り出していました。
セレスのトイレは、だいたい1日に4回行かなければなりません。ツーは、ビニール袋に取り、外の大きなごみ箱に捨てるか、トイレに流します。スペインでは、そんなに神経質にならなくてもよいと言われますが、習慣になっているので、取らないと私自身が落ち着かないのです。
ごみ箱を捜すのが一苦労です。たまたま近くにあればいいのですが、ホテルの近くにはないことが多いようです。ここネルハにいた時は、パラドールの従業員に捨ててもらっていました。
従業員の案内で部屋へ戻ると、掃除の途中でした。「掃除、続けて下さい」と、テラスの椅子に腰掛けて待ちます。雨に濡れた芝生の匂いがします。空気も澄んで爽やかです。掃除が終わって中に入ると、女性従業員がかわいいチョコレートの入った箱をくれました。とってもおいしいチョコレートでした。
雨の中を町に出る気もしないし、長旅の疲れもあるので、部屋でゆっくり過ごすことにします。
まず、一応、ネルハの3泊目の宿を確保しなければいけません。点字のガイドブックで調べて電話し、予約しました。
それから、スペインのあちこちに住む友達に電話をしました。8年前から4年連続で、スペイン盲人協会主催の集まりに参加したので、友達がスペイン各地にいるのです。
午後3時、遅めの昼食をレストランで取ります。その日のセットメニューをまず読んでもらい、好きな物がないと、カルタ(1品料理)から選びます。この時は、確かカルタから、にんにくのスープとえびのグリル、それに赤ワイン1杯をオーダーしました。
帰りにフロントから部屋まで送ってくれたコンセルジェがとても感じが良いので、
「ここからエレベーターで海岸に降りられると聞きましたが・・・。」と、パラドールを紹介したガイドブックに出ていた事を訊いてみました。
「そうです。レストランの先の方からエレベーターで降りられるんです。必要なら私に電話を下されば御案内します」と言ってくれました。雨も殆ど止んでいたので、少し休んだら行ってみることにしました。
ところが、部屋に戻ると昼食のワインのせいか強い眠気に襲われ、目が覚めたらもう8時を過ぎていました。それに、また雨が降りだしていたので、海岸に降りるのは断念しました。
夕食は、昨日ウェートレスが持ってきてくれたパンの残りで軽く済ませます。
寝る前にお風呂に入りました。まずシャワー室でシャワーを浴びます。そして、バスタブに入るのですが、これが、なんと、直径2メートルくらいもある円形なのです。深さは普通の洋式のバスタブ程度ですが、お湯に浸かると、ちょっと温泉気分になれました。セレスは、拡げた足ふきの上に横たわり、私が出るのを待っていました。
|