
◇ アシスタント・ドッグについて ◇
01年7月講演要約に、01年12月加筆修正

| ◇アイメイト セレスとともに◇ |
| ●自己紹介 みなさんこんにちは。アイメイトのセレスと暮らして10年になります。セレスとはローマ神話の女神の名前だそうです。セレスは雌で、11歳半になります。アイメイトとは、アイメイト協会を卒業した盲導犬のことを言います。訓練所によって非常に中身が違うので問題も出てきて、アイメイト協会は「アイメイト」というブランド名をつけたようです。 |
| ●盲導犬を使おうと思った動機 学生時代丘陵地に住んでいた時は自転車が少なくて気楽に歩けたのに、東京に帰ってきたら、歩道は狭いし自転車は多く走っているしあちこちに駐輪しているしで、歩きにくくてストレスがたまっていました。そのうえ、自宅へ帰ることになったんですが、ここが駅から遠くてバスのアクセスも悪くて、自宅から通勤するには盲導犬を使わなくちゃぁと思ったんです。 それと、その頃スペインに魅了されて、スペインを自由に旅行したいという夢を持つようになり、盲導犬をもらう決心をしました。 |
| ●盲導犬の仕事 盲導犬の仕事は、まず、障害物を避けながら道の左側を誘導し、曲がり角や段差のある所で止まって、ユーザーの指示に従うこと。ユーザーは頭の中に地図を描き、英語で「ライト」・「レフト」・「ストレート」などと指示します。道順がわからず地図が描けないときは、人に聞きます。 それから、目に入る範囲で、指示した所へ行くこと。例えば、駅の構内で「改札」と命令したら改札口を捜して、そこへ誘導します。「エレベーター」・「電話」・「信号」・「バス停」等も捜します。 そして、ユーザーが用事をしている時、その脇で静かに待つこと。例えば会合やコンサートの時にユーザーの脇で静かにしているとか、乗り物等でじっと座席の下で寝ている、飲食店でテーブルの下で待っている、バス停などでユーザーの脇に座って待っているなども、大事な仕事です。ですから、「ハーネスを着けている時は、触ったり呼びかけたりしないでください」って言いますが、これは、歩いている時だけではなく静かに待っている時も同じです。 白杖の頃と比べて、かなり歩きやすくなりました。障害物は、杖にぶつかってから避けていたけど、今はセレスが見て避けてくれるし、駅のホームも、点字ブロックがあっても、混雑していたり障害物があったりするから、まっすぐ思うように歩ける訳じゃ無いので、杖の頃は落ちそうで恐かったですけど。盲導犬は見て歩いているのでかなり安心です。 |
| ●アイメイト候補犬がアイメイトになるまで 盲導犬はメスの方がオスより多いです。やはり母性本能があるので、雄より細やかで優しいみたいです。 生後2ヶ月は、繁殖奉仕者の家で母犬と過ごし、そのあと一般家庭で1年大事に育てられて、子どもや家庭の雰囲気に慣れます。セレスはその後3ヶ月間アイメイト協会で訓練を受け、避妊手術をして、その後私との共同合宿訓練を4週間受けました。 そこで私は盲導犬の扱いを覚えました。こちらの指示通りに上手くできたらうんとほめ、ちゃんとやらなかったらきちんと叱る、これがその人についてくるコツだそうです。 |
| ●若葉マークの頃 アイメイト協会を卒業して家に連れて帰ってきた翌日、英会話学校にいくと、2時間のレッスンの間セレスがおとなしく待っていられず困ってしまいました。合宿訓練の間はいつも私の気持ちがセレスに集中していたのに、セレスにとっては初めて私に相手にしてもらえなかった訳です。で、あの手この手で、私の気を引こうとしたんですね。いろいろな声色で泣いたり、咳やしゃっくりをしたり、靴の飾りを取ったり、膝の上に上ってブラウスのボタンを取ろうとしたり・・・。私が叱る度に手を替え品を替えやっていました。 私は大ショックで、アイメイト協会に相談しました。次のレッスンの時指導員が来て、そういう時のしかり方のこつを教えてくださり、2ヶ月くらいで静かに待っていられるようになりました。最初からテレビに出て来るような立派な盲導犬という訳ではなくて、共に成長していくつもりで育てていかないとならないんですね。 |
| ●日課 トイレは時間を決めて1日4〜5回、させたい場所で私の立っている回りを回らせながら「ワンツー、ワンツー」と声をかけるとします。また、最近集合住宅に越したので、外でさせられない時は、ベランダで、スーパーのお弁当用のビニール袋をベルトでおなかに固定して、袋の中にさせています。 食事は1日1回、ドライのドックフードを帰宅後あたえています。 職場では、だいたい机の下で寝ていますが、私が移動する時は、セレスも一緒です。 家にいるときはいつもハーネスははずしているんだけど、いつも私の後をついて歩いています。 清潔面では月1回シャンプーをし、ブラシはマメにかけています。洋服を着せているのは、第1にセレスが汚れないようにするためで、第2に飲食店やスーパーで、回りの人に不快感を与えないためです。家に帰ると脱がせて毎日洗濯しています。 健康には注意しています。盲導犬が病気になると外出できない、ということもありますし。都内在住のユーザーは、獣医師会から診療券をいただいています。フィラリアの薬や予防接種程度はこれで間に合います。 |
| ●外出 飲食店やスーパーなどは盲導犬が結構入れるようになってきました。ファミレスやデパートもO.K.です。もし「犬は入れないんですが」と声をかけられたら、店長を呼んでもらい、きちんと話をします。食品衛生上、飲食店には動物は入れてはいけないようですが、厚生省から、盲導犬の入店は認めるよう通達が出ているんです。 医療機関も、認めてくれる所が増えています。国立の病院に対しては、厚生省からやはり通達が出ています。 コンサートホールも問題ありません。ただ、ときどき係員が知らなくて、トラブることがありますね。 ホテル等も、盲導犬を受け入れている所も増えてきていますが、日本旅館は嫌がる所が多いですね。敷物や脱毛を掃除する道具は持って行くし、部屋でもおとなしくしているんですけどね。 海外旅行については、スペインによくセレスと行きますが、飛行機では客室に一緒にいられるし、ホテルや飲食店、公共交通機関等も、殆ど問題なく旅行できます。 |
| ●リタイアー セレスももうすぐ12歳ということもあり、腰が痛くてつらそうな時もあるので、そろそろ将来のことを考えなければならない時期にきています。今私は一人暮らしなので、リタイアーしたら、留守の多い私は飼うことができませんし、他の盲導犬を飼う場合、リタイアー犬も一緒に飼うことは、お互いに焼き餅を焼きますからできません。アイメイト協会では、リタイアー犬を一般の家に預かってもらっています。でも、ずっと体の一部のように一緒に生きてきたので、簡単に手放せないですし・・・、考えるとつらいですね。 |
| ●法的根拠 盲導犬の法的根拠は白杖と同じように道路交通法で規定されています。 また、今年4月1日より社会福祉法が改正、施行され、盲導犬訓練施設が、第2種社会事業に位置づけられました。けれど、欧米や韓国のように、権利として何処にでもいける、という法律が無い日本は、まだまだ遅れています。 |
| ●盲導犬のストレス よく「盲導犬はストレスが多いから長生きできないだろう」という人がいますが、役に立って褒められているのは犬の性格として嬉しいことで、24時間主人と一緒にいられるのは幸せだと思います。ですからストレスは他人が言うようにはないと思います。 |
| ●住宅事情 最近、パラサイトを卒業して集合住宅に引っ越しました。そこは最初から小動物はO.K.で、盲導犬も認めてくれていますが、飼うのがなかなか難しい所が多いようです。住宅のバリアフリーというのか、どういう環境でも飼えるようになれば良いと思います。 |
◇アシスタントドッグについて◇ |
| ●アシスタント・ドッグ 盲導犬・聴導犬・介助犬をアシスタントドックと言っています。 |
| ●聴導犬 聴導犬は聴覚障害者に音を知らせその場所につれていきます。目覚し時計、笛ふきケトル、ドアのチャイム、ファックス、赤ちゃんの泣き声、非常ベル、車のクラクション等など、病院・銀行で名前を呼ばれた時にもおしえてくれます。犬種は何でもいいようです。 |
| ●介助犬 介助犬は肢体障害者の手足となって働きます。買物、ドアを開ける、電気をつける、ベッドへの移動のときに足を持ち上げるなど、障害に応じた介助をします。介助犬の犬種はラブラドールが多いです。 |
| ●アシスタントドッグとの関わり方 アシスタントドッグは障害を持っている人の自助具・道具として見てほしいと思います。アシスタントドッグを同伴することは障害を持っている人の権利なんだと、その辺をわかって頂けると社会的に生き易くなります。 そして、アシスタント・ドッグを見掛けても、触ったり、アイコンタクトをとったり、口笛を吹くなどはしないで、暖かく無視してほしいんです。またレストランなどでオーナーが入店を断る理由に、「他のお客様にご迷惑になるので」などということがあります。そんな時客として出会ったら、「全然かまいませんよ」と一言助け舟を出してもらうと助かります。 |
| ●盲導犬・ユーザーのサポート法 サポーターがユーザーの右後から声をかけ、盲導犬への命令はユーザーがします。 また狭い所ではユーザーがサポーターの左肘に右手をかけ、半歩後ろを歩き、盲導犬はリードで引いて行きます。 |
◇一問一答は次の通りです。◇ |
| Q・セカンド・ドッグシンドロームとは? A・特に2頭目って難しいらしいんです。けじめをきちんと着けないと、前の犬は良かった、となってしまうんです。これをセカンド・ドッグシンドロームなんて言っています |
| Q・介助犬法案とは? A・正式には「良質な障害者補助軒の育成・利用円滑化法案」というそうです。田中真紀子衆議院議員を中心とする介助犬を推進する議員の会が、法政化に向けて動いているようです。今は、聴導犬・介助犬は、何の法的根拠も無いんです。アシスタント・ドッグを、どこでも同伴できるように法律が整備されて行けば良いと思います。 |
| Q・盲導犬の起源と使用状況は? A・目の不自由な人が自分の犬に誘導させて歩いたのが紀元だと思います。「盲導犬」として訓練するようになったのは多分ヨーロッパが最初だと思います。日本では、第2時世界大戦後、戦傷者に、ドイツで訓練された犬を連れてきたという経過があります。 盲導犬に対する見方は、日本は「かわいい」、スペインは「ちゃんと仕事をしていますか」と、文化・意識の違いを感じます。マスメディアは、犬にスポットを当てるのではなく、盲導犬を持っているユーザーがどれだけ生活が向上してきたかをもっと紹介して欲しいです。 地方自治体は、盲導犬給付事業として予算を取っていますが、自治体によってその頭数が異なります。需要と供給のバランスが良ければ良いのですが、例えば2年に1頭分の予算しか取っていない自治体で1年に二人の希望者があれば、何年も待たされる訳です。 盲導犬の使用についての調査結果を見たことがありますが、住宅事情とか世話が大変などの理由で、実際の希望となると少ないということです。中途失明者が盲導犬を使用することが多いですが、盲学校でのインフォメーションは少ないです。最近は卒業生で盲導犬を持っている人から情報が入っているようですが・・・。 中途失明者の更生施設ではもっぱら白杖訓練中心ですが、盲導犬という選択肢も取り入れて良いと思います。もっと盲導犬のPRを視覚障害者に対してやって良いのではないかと思います。 |
| Q・犬の食事は1日1回の他に何かあげていますか。 A・ドッグフードだけです。お水は飲ませますが。ドッグフードは体重のコントロールもできるし、それによって心臓に負担がかからず長生きできるので、良いと思います。可愛いからついと食べ物をあげるのは犬にとって幸せではありません。 |
| Q・リタイアの目安は? A・アイメイト協会としては決まりとしてはやっていませんが、相談すればチェックしてもらえます。訓練所によっては10歳になったら引き上げる所もありますし、何歳かになったらチェックを入れる、という所もあるようです。足腰が弱ってバスの乗り降りが辛いとか、白内障が進んできたとかいうのが目安になると思います。 |
| Q・点字ブロックをどのように使っていますか。 A・駅のホームの端は怖いので自分で確認して、セレスはその外側を歩かせています。一般道路では曲がり角とかにあれば判断の材料にすることもあります。盲導犬の場合は点字ブロックをたどって歩くことは普通ありません。長いのが誘導ブロック、ブツブツが警告ブロックですが、時々張り方が間違っていたり、ブロックの形状自体統一されていませんので、足で判らない物もあります。 盲導犬がいても道を間違ったりすることもありますので、ユーザーが立ち止まって迷っている様子でしたら声をかけて下さると助かります。「何かお手伝いすることがありますか」と、ちょっと気になったら聞いてみて下さい。 |