ママの家はアイメイト協会からバスで40分と大変近い所にあり、お母さんとの二人暮らしです。
私のハウス(日常的にいる場所)は結局ママの部屋の隅に落ち着きました。 ママは初め、私がまだ幼く悪戯ばかりするので、家の中でもチェーンで繋いでいましたが、1年ほど経つと、落ち着いてきたという事で、チェーンを外し、自由にさせてくれるようになりました。
では私の日課をご紹介しましょう。
朝6時15分、起床。目覚ましが鳴ってもママが起きない時には、尻尾で畳を叩いたりママの枕元で胴震いをしたりして起こします。ママが髪を梳いたりお化粧したりしている時は、ハウスからじっとママの動きを見つめています。ママの朝食がすむと庭で「ワンツー」をし、7時半、いよいよ出勤です。
ママが「健康のために」と最近一念発起したので、お天気の良い時は、駅までの1.5キロを歩きます。それから電車で都心に向かいます。だいたいママは座れるので、私は暖房で熱くない時はママの椅子の下に横たわりますが、足と頭と尻尾は通路に出てしまいます。電車はしだいに混んできて、かなり危ないんだけど、周囲の人達が私をかばってくれるので、私はいつも安心して寝ています。
8時50分、職場に到着。ホッとして、尻尾をびゅんびゅんです。 ママがデスクで仕事をしているときは、私はデスクの下で待ち、ママがパソコンの部屋で仕事をしている時は、その部屋の隅で寝ています。 ママがお弁当を食べた後、「ワンツー」に行きます。
5時15分、終業。嬉しくて思い切り尻尾を振って、駅まで駆け足です。 帰宅は6時40分頃。「ワンツー」をして、ブラシをかけてもらいます。
7時、食餌。私の一番楽しみな時間です。ドライのドッグフード260gにお水をたっぷり入れてくれます。食餌はこの時1回だけで、ほかには食べ物は一切口にしてはいけないのです。
ママが茶の間でお母さんと夕飯を食べる時は、私もママのそばに寄り添い、二人が私の話をすると嬉しくて目をパチクリ、耳をピクピクさせてじっと聞いています。
その後お部屋に戻って、ママはパソコンをやったりお友達と電話で話したりします。私は、しばらくはおとなしくしているんだけど、ほんとはママに遊んでもらいたいので、最初、自分の肘を大きな音をたててなめて、ママの気を引きます。以前は尻尾をぐしょぐしょになめて、振り回していたんだから、少しは成長したでしょう?それでもママが知らんぷりしていると、ごみ箱からごみをくわえてきてハウスに並べます。ここまで行くとさすがのママも、手を休めて私をしかりにきてくれます。
そして11時ごろ「ワンツー」をし、消灯です。本当はママの布団に入って寝たいんだけど、大きすぎるから駄目なんですって。仕方ないから私の「ハウス」で眠ります。時々寝言を言ってママを起こしてしまうこともあるそうです。
お休みの日やアフターファイブには時々お出掛けします。
初めてのお出掛けは英会話のレッスンでした。プライベート・レッスンなのでママはアメリカ人の男の先生と向かい合って座り、私を左脇にダウンさせると私のことなど全くおかまいなく、何やらずっとおしゃべりしていました。私は、協会での共同訓練ではいつでもママを独り占めできたので、ママにちょっとでもいいから振り向いてほしくて、何とか気をひこうと靴を噛んだり、じゃれたり、咳やシャックリをしたり、鳴いたり、膝によじ上ってブラウスのボタンを噛ったりと手を変え品を変え自己ピーアールに相つとめたのですが、ママはただ「ノー」と叱るばかり、とうとう2時間パフォーマンスを演じ続けてレッスンは終りました。
ママはこんな私にかなりのショックを受け、アイメイト協会に相談しました。そして次のレッスンの時先生が駆け付け「上手な叱り方」を手ほどきしたので、その後はママの足下でおとなしく待つことにしました。
アフターファイブには、よくママのお友達と会食します。この時はレストランのテーブルの下で、おいしそうなにおいを浴びながら食事が済むまでじっと待っています。
また年末には忘年会にも行きます。座敷での宴会では、目の前に御馳走が並ぶのでちょっとつらいけど、ママの隣で静かに寝ています。
ママがコーラスをやっているので、土曜日には学校の教室で練習があります。この時だけは、学校の方針で私は中に入れないので、すごく寂しいけど廊下で待っています。でも年に何度かあるコンサートでは、私もママと一緒にステージに上がれます。
もちろん通院やデパート、コンサートなどにも出掛けます。
ママは私と歩くようになってからお出掛けが前にも増して好きになりました。以前は怖くて足が竦んだ駅のホームもスムーズに歩けるようになったし、歩道のない道も私が電柱や路上駐車の自転車をよけるので安心だからです。特に、以前は便数の少ないバスを待つしかなかった駅と家との間の道を、鼻の匂いや野鳥の声に包まれて軽やかに歩く時、自由に歩けることの素晴らしさを痛感するのだそうです。