スペインの旅 ’97夏

 

(この、旅のスケッチは、「セレスの珍道中」というタイトルで、ニフティーサーブのヨーロッパフォーラム、13番会議室「イベリアを渡る風」に’97年9月にアップしたものを加筆修正したものです。)

画像:ルーゴの教会の前
ルーゴの教会の前で



ちょっとグルメ


今回の旅行の話題を、ちょっとだけアップします。  
最初は、やっぱりこれ、食べ物の話題です。

今回の旅行では、いつもはあまりこだわらない、名物料理にトライし、ちょっとグルメしちゃいました。
○子豚の丸焼き(cochinillo) 
セゴビアで食べたのが、子豚の丸焼き。肉が非常に柔らかく、臭みも思ったほどではなく、おいしくいただきました。でもこれって、乳飲み子なんですよね。考えると、残酷!でもやはり、おいしかったです! レストランの雰囲気も大変良かったです。


○生蛎 
ガリシアのリアス・バハスの町、カンバードスで、バルのウェーターの勧めで食べてみました。レモンをたっぷりかけて食べたその味は、日本の生蛎と同じ。懐かしい味でした。


○アホ・ブランコ 
この名前を聞いた時、一体どんな料理が出てくるのか想像がつきませんでしたが、なんと、にんにくの冷たいスープに、薄切りのメロンが入っている!これは帰国したらニフティの会議室の話題に、と思ったのですが、帰ったらもう話題になっていて、びっくり。いや、がっくり。私はメリダでいただきました。にんにくと一緒にスープに溶けていたのはアーモンド?ぴりっと辛くすっぱみのあるスープに、メロンの甘さが、絶妙の取り合わせで、くせになりそう!

○ガスパチョ 
グラナダの友人の家でお昼をごちそうになった時に出てきたのがこれ。実は、ガスパチョを本場のアンダルシアで食べるのも、一般家庭で食べるのも初めて。 この家では、マグカップで、お水代わりといった感じでした。トマトもピーマンもみなジューサーに一緒にかけて、氷も入れて、大きな鍋にたっぷり。お変わりも自由でした。 

と、今回はグルメな旅でしたが、よく思い出すのは、バルでビール片手につまんだシシトウ・きのこ・コロッケ等々。これらもやはりスペインの味でした。      



3年ぶりのグラナダ
 

ゴメレス坂を登ると、なつかしさで胸がいっぱいになりました。そう、グラナダは3年前、2週間ほど滞在し、ここからアルハンブラ宮殿へ続く道は 私と相棒(盲導犬)の毎日の散歩コースだったのです。 あの時期は、クルスの祭りの最中で、町はセビジャーナス一色でしたが、今回は、普段の顔のグラナダでした。

夕方、その時ホームステイしていた家の辺りへ行ってみました。不覚にも今回住所のメモを持ってきていなかったのですが、相棒はもしかしたらその場所を覚えているかもしれません。
 プラサ・ヌエバから、細い路地に入ります。確か近くにカナリアを飼っている家があったけど、今日は啼いていないかしら・・・?何本かの路地をくねくねと回ってみますが、あの時歩いた道とはちょっと違うみたいです。
 「何かお探しですか?」小さな男の子を連れたセニョールが声をかけてくれました。訳を話すと、その辺の通りの名前を次々と言ってくれますが、なじみの名前はありません。
 「判りやすいところへ戻って、もう1度歩いてみませんか?私達は時間があるから、一緒に探しましょう。」と、親切に言ってくれましたが、私の記憶も曖昧になっているし、そこまでしていただくのも気が引けたので、広い通りに出た所で、お別れしました。

次の日、当時通った語学学校を探しましたが、移転したとのことで、懐かしい先生方にお会いすることはできませんでした。
 でも、バルのウェーターやお土産やさんのご主人から、「前にここにいたでしょう。よく見かけましたよ。」などと言われて、ふるさとに帰ってきたような気がしました。

前回行き損なったアルハンブラ宮殿は、お昼前に行ってみると、また大変な列で、今回も入れずじまいでしたが、また行く口実ができました。
      


何もなかったタラベラ
 

陶器の町として有名、という事で、立ち寄ったタラベラ・デラ・レイナ。ところが、街は閑散とし、焼け付くような日差しがじりじりと照りつけ、噴水のあるプラサの近く
に、バルが1軒開いていただけ。レストランさえ見つからないのです。
 まあ、バカンスシーズンの、しかも、3時近くとなると、無理もないかもしれませんが・・・。美しい絵皿を日本へのお土産に、という夢は、もろくも崩れ去りました。
 しかたなく、バルでちょっと休んだ後、街を一回りして、ここを後にしたのでした。 でも、落ち着いた町のたたずまい、気に入りました。

この町を訪れた事のある方、いらっしゃったら、普段の街の様子を教えて下さい。




遊覧船でフィエスタ!


最後の宿泊地は、ガリシアの、サンティアゴからバスで1時間半、ポンテベドラからなら20分というリアスバッハスの町、カンバードスでした。
 古い貴族の館を改造したというパラドール。部屋の窓からは塩の香りを含んだ海風が入ってきますが、パラドールは公園のこんもりとした森の中にあり、部屋から海は見えません。


画像:カンバードスのパラドールにて
パラドールの従業員と記念撮影

 
で、私は海を体感したくて、遊覧船が出ているという近くのO grobeという町へ出かけました。
 バス停のすぐ前のレストランで昼食を取り、さあ、出発です。
 スペインで遊覧船に乗るのは、バルセロナの港めぐりに続き2度目。私と相棒だけで乗せてくれるか、ちょっと心配でしたが、そんな心配は全く無用でした。
 港近くで通りすがりの人に、船にはどこで乗れるのか訊ねたら、その人は、側にいた遊覧船の船員に私を引き渡してくれました。
 そして、その若い船員は、まるで私の不安を見抜いたかのように、
 「乗るときも降りるときも一緒にいるから、なんにも心配いらないよ。その犬も全然問題ないからね。」と、私が何も聞かないうちに、言ってくれました。
 チケットは、1500ペセタ。すぐ側のキヨスコに売っています。
 2階のデッキに上がり、岸にいた人にカメラをわたして写真を撮って貰ったり、隣り合った人と言葉を交わしているうちに、出発。スピーカーからは、アバネラのような歌が流れ、リゾート気分たっぷりです。

画像:遊覧船にて
遊覧船の上で


この船は、リアを上流まで登り、また港まで下ってくるというもの。で、途中、ムール貝の養殖をしているらしく、軽い冗談を交えての説明がありました。(残念ながら、私のスペイン語力では、30パーセント位しか解りませんでしたが・・・。)
 波音がかすかに聞こえ、船はたまにちょっとだけ揺れながら、爽やかな風の中、リアを滑って行きます。
 1時間の遊覧も終盤にさしかかった頃、「さあ、これからムール貝でフィエスタです」と放送が流れ、デッキは沸き返りました。
 間もなく、1回の船室でゆでたての貝がテーブルに運ばれ、飲物も用意されました。
 そして、大きさ別に盛られたムール貝をつまみに、リベイロの白ワインに、みな一時酔いしれたのでした。 
     


迫力で勝負!
 

今回の旅では、相棒(盲導犬)が、レストランやバル、乗り物などで拒否される、という場面は殆どなく、ほっとしていたのですが、最後の最後に、ついに捕まってしまいました。

O Graveからの帰りのバスに乗り込んだ時、運転手が我が相棒に気付き、突然大声で怒鳴り始めたのです。
 「犬は駄目だ!犬はバスに乗る事はできないんだ!」
 「でも、これは犬といっても盲導犬です。盲導犬は乗る事ができるんですよ」
 私が応えると、先に乗っていたお客さんも、後ろで列んでいた人たちも、口々に、「そうだよ、盲導犬はかまわないんだよ」と、加勢してくれます。
 それでも、その運転手は、駄目だ、警察に怒られる、等々、言い続けています。 
そのうちに周りのお客さん達が静かになってしまいました。みな、どうなるのかと、気をもんでいるのでしょう。早くなんとかしなければ・・・。気持ちが焦ります。   
私は単語力が足りなくて、言いたい事が充分言えないけれど、知ってる言葉をずらずら連ねて、声高に応戦しました。
 「だって、ここまでだってバスできたのよ。飛行機も電車も、そう、船だって乗れるんだからね!!スペインでは、法律で認められているのよ!」
 ちょっとまずい事は、バス料金が225ペセタなのに、5千ペセタ紙幣しか持ってなかったという事です。そうでなければ、料金を置いて、さっさと乗り込んでしまったのですが・・・。

こんなやりとりが5分ほど続いたでしょうか。ついに、運転手は私の差し出していた5千ペセタ紙幣を取り、釣り銭をごそごそとかき集めだしました。
 やったぁ!!私はおつりを貰うと、相棒を押し込むようにして、前から2列目の座席に座りました。
 すると、また、運転手が怒鳴ります。
 「駄目だよ。1番後ろの席に座って下さい。警察に怒られるんだから!」
 この運転手、よほど、警察が恐いようです。
 でも、座っちゃったら私の勝ち!「大丈夫。なんの問題もないから」と、そのまま行きました。

この運転手、私がバスを降りる時には、穏やかな人に戻っていました。

それにしても、運転手さん、あれこれ怒鳴りながらも、ちゃんと敬語(usted)を使っていたのには、頭が下がりました。
画像:ルーゴの城壁
ルーゴの城壁の上を歩く
(後ろにずっと伸びている道は全て城壁の上です)


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