| 覆下(被覆)栽培の茶 投稿者:東京都支部長 今井久雄
投稿日:2004/08/09(Mon) 19:06 No.244 |
|
|
7日(土)・8日(日)の研修会に参加された皆様お疲れさまでした。 インストラクション講師には、茶の淹れ方理論の実験でした。 関係者の皆様ありがとうございました。
7日の質疑応答の宿題のそれまでの補足説明。
Q:覆下茶は遮光しているのになぜ水色は緑が濃いのか? A:茶の生育(光合成)には3万ルックスで十分なので、遮光によって葉緑素の 分解が抑えられるので、半遮光から強遮光の環境で葉の緑色は一層引き立つ。
(日中の一番明るい照度は150,000ルクスで月明かりは0.2ルクス)
参照:独立行政法人
農業・生物系特定産業技術研究機構 野菜茶業研究所HP http://www.naro.affrc.go.jp/ 緑茶事典(クロロフィル・光合成) |
|
参照:その2 ワイニー -
2004/08/14(Sat) 01:41 No.246 |
|
|
|
Re:
覆下(被覆)栽培の茶 ビギナー -
2004/08/14(Sat) 10:43 No.247 |
|
|
|
覆下栽培のツリーに参加させて頂きます。
単純に覆下茶園のお茶は、緑があざやかなのだと思っていましたが、 紹介されているサイトを巡回すれば、納得の行く答えがありました。 早速、お気に入りにキープいたしました。
遮光→光合成不足→クロロフィル増産→分解前に摘採・加工 簡単に言うと、植物の防衛反応だったのですね。 このように掲示板を利用すると大変役に立ちます。 ありがとうございました。 |
|
訂正します ワイニー -
2004/08/16(Mon) 23:09 No.248 |
|
|
|
ところで、かき回すようで申し訳ありません。問いを読み返してハット しました! >Q:覆下茶は遮光しているのになぜ水色は緑が濃いのか?
この問いに対して、前回の私のカキコ(No.246)は妥当でありません。 “思い込み”ですね。 「覆下茶の生葉は、なぜ緑が濃いのか」の答えであって、「水色は緑が 濃い」の答えではないのです。
元々、問い自体にも問題があります。 高級玉露の「白水」などがそうですが、「覆下茶は…水色は緑が濃い」 とは言えないのです。また、条件によっては水色が赤みに出ることすら あります。 クロロフィルが多いことは、「水色は緑が濃い」ことの必要条件にはな りますが、蒸し度・揉み方・火入れ・抽出方法など他にも多くの要因が 影響します。
提案ですが、この問いに対する答えとして @必ずしも覆下茶の水色が緑色でないことの指摘 A覆下茶の生葉にクロロフィルが増える理由の説明 B浸出液が緑色に出る場合の条件や理由の説明 こんな3段階で答えたらどうでしょうか?
研修会に参加できなかったので、書込みの内容だけで判断しています。 見当違いでしたらごめんなさい。 |
|
Re:
覆下(被覆)栽培の茶 桑原秀樹 -
2004/08/20(Fri) 21:48 No.250 |
|
|
|
はじめまして。研修会講師の桑原です。 今井支部長より、「掲示板に参加せよ。」とのメールをいただきましたので、少し書かせていただきます。
結論を言いますと、まだ解答は出ていません。
その前に、 今井支部長の書かれた質問は、研修会の質疑応答で出された質問と内容が違います。 「覆下茶は遮光しているのになぜ水色は緑が濃いのか?」というような変な質問はありませんでした。
私が宿題にさせていただいた彼女の質問は、 一つは、昼休み時間中の私の玉露荒茶、てん茶荒茶、抹茶の解説の中で、「手摘み、手摘み+一茶刈り、一茶刈り、二茶刈り、粉砕と抹茶を並べたとき、一番緑の濃いのは、一茶刈りの上物で、手摘みの抹茶はそれに比べて挽き色が白っぽい。」と解説したこと、 もう一つは、 彼女の質問の直前に、私の「日本茶講座」の「ミル芽、タケ芽、ウド芽」についての質問がありました。その「ウド芽」について私は、「出品てん茶の栽培では、人によっては発芽前から茶園に覆いをかけます。(3月20日すぎ)そうすると、一度も日の目を見ないで、葉緑素の出来ない黄色い茶の葉が出来ます。これを「ウド芽」といいます。「ウド芽」の出来るてん茶は非常に上等です。」と解説しました。
この二つをうけての質問で、「覆下栽培ならば、葉緑素が増えて(減らないで)緑が濃くなるのではないですか?」という質問でした。
一茶刈りは主にカンレイ紗の直がけですし、遮光率も70%から 85%です。手摘みは主にカンレイ紗の二重棚で、遮光率は90%から98%くらいあります。「遮光が強ければ強いほど、葉緑素が減らない。」というのが正しければ、手摘みのほうが緑が濃くならなければおかしいのです。しかし、経験的に手摘みの抹茶より一茶刈りの上物のほうが緑が濃いのは知っていますし、現物を見ていただいてもそうなのです。今日まで、手摘みと一茶刈りの葉緑素の含有量のデータを見たことがなかったので、その場での即答をさけて、宿題にさせていただきました。
今日、京都研修会の会場準備の帰り道、京都茶研によって、煎茶とかぶせと手摘み(二重棚)てん茶とハサミてん茶の葉緑素の含有量の比較データを探していただきましたが、見つかりませんでした。こんな研究は誰もしていないようです。
以上、中間報告です。ながくなってすみません。
|
|
遅くなりました ワイニー -
2004/08/24(Tue) 00:09 No.251 |
|
|
|
桑原副理事長、研修会講師ご苦労様です。 また、掲示板への解説と中間報告ありがとうございました。 今井東京支部長にも感謝しております。
私、ワイニーこと大山泰成(01-0047)です。 以下長文になりますが、お許しください。
桑原様の書込みのおかげで大変勉強になりました。 お書きいただいた講義の一端を見ただけでも 「ウド芽」など「宇治茶」の伝統に触れる、大変興味深い内容です。 講義を拝聴できなかったこと大変残念に思っています。
東日本ブロックの案内ハガキに 「…茶業者の方については、できるだけご遠慮下さい。」の 一文があり、後日ホームページ上で訂正されたものの、 既に予定が入っていました。
ところで、この宿題の件、私も興味があります。 と言っても、全くの文系人間ですが…
実際のところ実験結果が全てで、私、素人の推測は無意味ですが、 「被覆=クロロフィルの増加」のような単純なものでは無いようです。
下記文献C 『茶樹の光合成,ならびに物質生産に関する研究』 「3.4生育時期および葉位と光合成能力との関係」 「3.4.2実験結果および考察」 「1)一番茶枝条」p.67-68より引用 「開業(ママ・葉)直後の茶葉は見かけの光合成は行なわず、開葉後5日を 経過したぐらいから光合成速度が暗呼吸速度を上まわるようになり、その後 光合成速度は逐次向上するが、茶芽を放任した場合開葉後45日頃には下位 葉の能力は再び低下する…」
下記文献D 『生育ならびにしゃ光による各種成分の代謝機能の変化』 「4.要約」、(1)、p.41より引用 「…玉露園ではしゃ光8日目から生育がかなり抑えられ、クロロフィル含量 はしゃ光8日目でほぼ最高値に達した。玉露園の茶芽のクロロフィル含量は その後減少したが、しゃ光を中止すると再び増加した。」
関連のありそうな文献を集めてみました。お役に立てれば幸いです。
「農林水産研究成果ライブラリー」より http://rms1.agsearch.agropedia.affrc.go.jp/contents/JASI/index.html
『茶業試験場研究報告』 http://rms1.agsearch.agropedia.affrc.go.jp/contents/library/jnr/tyahoukoku.htm
@茶樹の生育に及ぼす光質の影響に関する研究 山中 仰・土井芳憲・酒井愼介 茶業試験場研究報告 15号
p. 1-49
(1979-9)
A茶芽の形態形成と,その物理,化学的制御に関する研究 山中 仰 茶業試験場研究報告 16号
1〜190
(1980-9)
B春季の新芽生育に伴うチャ越冬葉の光合成低下 青木 智 茶業試験場研究報告 21号
33〜58
(1986-12)
C茶樹の光合成,ならびに物質生産に関する研究 酒井愼介 茶業試験場研究報告 22号(最終号)
19〜273 (1987-3)
『茶業技術研究』 http://rms1.agsearch.agropedia.affrc.go.jp/contents/library/jnr/tyakenkyu.htm
D生育ならびにしゃ光による各種成分の代謝機能の変化 西條了康・竹尾忠一 茶業技術研究
54号 p. 37-43
(1978-7)
E茶葉ディスクおよび単離細胞における光合成酸素阻害に対する温度、 炭酸ガス濃度および光強度の影響 青木 智 茶業技術研究
56号 p. 6-9 (1979-7)
F暗黒下で誘導された茶葉の衰退現象 青木 智 茶業技術研究
59号 p.1〜5 (1980-12)
G茶葉の生育に伴う光合成機能の変化 青木 智 茶業技術研究
59号 p.6〜9
(1980-12)
H暗黒下におかれた茶葉ディスクにおける不可逆的な衰退現象の 6‐ベンジルアデニンによる抑制 青木 智 茶業技術研究
60号 p.4〜6 (1981-7)
I被覆による茶葉光合成機能の変化 青木 智 茶業技術研究
62号 p.8〜13
(1982-7)
|
|
Re:
覆下(被覆)栽培の茶 桑原秀樹 -
2004/08/29(Sun) 20:38 No.252 |
|
|
|
中間報告、その2 桑原秀樹です。 京都府立茶業研究所の上辻栽培課長様より「被覆と葉緑素含量について」のリポートをいただきました。一部、ご報告します。
昭和43年 自然仕立て やぶきた 露天 0.55 カンレイ紗(遮光率48%) 0.65 カンレイ紗(遮光率68%) 0.78 カンレイ紗(遮光率82%) 0.95 カンレイ紗(遮光率98%) 0.80
平成15年 自然仕立て さみどり 本ず(遮光率99%) 0.89 カンレイ紗2段(遮光率95%) 0.94
平成16年 ハサミ仕立て ごこう 露天 0.68 カンレイ紗トンネル(遮光率85%)1.17
以上のことから :遮光率が高くなるほど、葉緑素含量は増える。 :本ずと化学繊維2段では、遮光率は本ずの方が高いが葉緑素含量は少ない。 :直掛けのデータが見つかりませんでしたが、それに近いトンネルの数値から考えて、 露天<直掛け<棚2段<本ずの順にはならないと考えられます。 :露天<遮光率の低い化学繊維被覆<本ず<遮光率の高い化学繊維被覆 のような順になると 推測されますが、棚式と直掛けの差は検討が必要です。 :葉緑素含量では、本ずよりも化学繊維被覆の方が多くなりますが、それがそのまま製茶品質の 色沢と関係がつながらないようです。
以上の報告をいただきました。棚式ハサミ刈り、直掛けハサミ刈り、2茶てん茶、4茶てん茶についての
データはないようです。 また、葉緑素含量と抹茶の色沢についての比較データもないようです。 私の感じていることと、少し違うようです。 自分で調べなければならないという事ですね。 |
|
Re:
覆下(被覆)栽培の茶 ワイニー -
2004/09/03(Fri) 08:22 No.253 |
|
|
|
桑原様、ありがとうございます。 次の2点について、大変勉強になりました。
@「被覆栽培と茶葉の外観の関係」 Aインストラクションの際の「質問の受け方」 (質問を受ける姿勢、フィードバックをきちんと行なう)
@の質問と解答にばかり興味が向きがちですが、 私としては、特にAについてこそ、桑原様の率先垂範で、 日本茶インストラクターの心構えとして学ばなければならない点だと感じました。
しかしながら、やはり@の方に興味が行きますが、 宇治茶の伝統の一端に触れ、その経験に基づく恐らくは膨大な蓄積が、 「本簀」、「ウド芽」等をちゃんと評価し、生産家の努力を評価できるシステム として機能しているんだな、それが伝統の「凄さ」なんだなと思いました。 今後、茶の研究機関の研究対象の一つに、「真似の出来ない努力と凄さ」を 科学的に評価し、裏付けるものをやってもらいたいなと思います。
私事で恐縮ですが、近々「第51回全国茶審査技術競技大会」が東京であります。 この歴史のある大会で、子供の頃から、憧れとともに目標にさせていただいている 多くの偉大な先輩方がいらっしゃいます。 その中でも宇治には「森田氏」「小山氏」を始め特別な先輩がいらっしゃいます。 今回の件で、宇治茶の伝統の凄さに触れ、先輩方との追いつけない差をあらためて 実感したような気がします。
ところで、確認ですが、 「京都府立茶業研究所、上辻栽培課長様の「被覆と葉緑素含量について」のリポート」中の 「0.55」、「0.65」などの数値の単位は何でしょうか?よろしくお願いします。
|
| Re: 覆下(被覆)栽培の茶 桑原秀樹 - 2004/09/06(Mon) 20:54 No.254 | |
|
|
大山様、こんばんは。 「0.55」の単位は、乾物重%です。
8月28日は八女の「ふくれん」で、9月4日は鹿児島の「ちゃぴおん」で講習会を行ってきました。全国各地でがんばっておられる多くのインストラクターとお会いして、非常に感銘を受け、心強く思うとともに、理事としての責任も痛感しました。出来たら、また来年もやりたいと思っています。
私の青年団時代、目標としたのは「宇治のはるさん」と「小倉のもとはるさん」でした。やはり頭抜けた存在でした。すごかったです。一緒に争えただけでも、幸せでした。 青年団時代が終わって、今から10年前、私を「悪の道」(インスト)に引きずり込んだのも、「はるさん」でした。「はるさん」の「手伝うて」の一言で、今日まで来てしまいました。ある意味感謝しています。
@は「被覆栽培と茶葉の外観の関係」プラス「抹茶の色沢の関係」でもあります。
|
| Re: 覆下(被覆)栽培の茶 東京都支部長 今井久雄 - 2004/09/07(Tue) 09:55 No.255 | |
|
|
[覆下(被覆)栽培の茶]のツリーに参加下さった皆様ありがとうございました。 とりあえず、この話題はこの辺で終了させて頂きます。 この一連の書き込みは、東京都支部HPの「茶飴の箱」に資料としてページ作成いたしました。 これからも、掲示板を有効利用して頂きたいと思っています。 |
|