−日記帳(N0.447)2003年 2月10日− −日記帳(N0.448)2003年 2月11日−
北朝鮮の米国への対応 北、イラクへの日本の選択肢
ホワイトハウスに照準を合わせる北朝鮮のポスター
(吉田豊氏の日記から引用)
北朝鮮兵士に怯える米兵を描いた北朝鮮のポスター
(吉田豊氏の日記から引用)


昨日はイラクの米国に対する対応の疑問点を考えてみましたが、北朝鮮の米国に対する対応にも判らないことが多すぎます。現在の北朝鮮は一人の独裁者による暴力団一家みたいな存在で国の体裁をなしていないので 判らないことが多いのは当然かも知れません。従ってここでは取り敢えず北朝鮮を国とみなして考えてみたいと思います。

こんな国を日本の一部のマスコミや政党はその正体を見破れないどころか社民党に至っては拉致は日本政府のでっち上げと堂々と主張していたことを思うと、何か日本人には北朝鮮だけでなく、韓国や中国のように戦後賠償に応じた国々についてはその実態から目をそらす傾向が有るように思えてなりません。戦時中のこれらの国々に対する日本の所業からの遠慮がそうした傾向を助長しているように思うのは私だけでしょうか。

北朝鮮はソ連の崩壊によりロシアからの援助が途絶え、更に経済の不振、米の不作、GNPの10%にのぼる軍事費の負担に喘ぎ、頼みにしていた日本からの援助が拉致問題が暗礁に乗り上げたことから見込み薄になったところへ米国からの重油供給が核開発疑惑で中断されるに至って国家財政は破綻寸前いなっているのが北朝鮮の現状と考えられます。

従って、イラクが米国等からの攻撃を如何に回避するかが国としての最重要課題であるのに対し、韓国の場合は如何に日本、韓国、米国から援助を引き出すかが国としての最重要課題のはずです。ところが、北朝鮮は、拉致及び核開発継続の事実を公表して自国の立場をわざわざ不利にして自ら問題をこじらせて日米からの援助を白紙に戻すと言う愚行を犯しております。

イラクの場合は自国の全国土の約2/3の飛行を禁止された上経済封鎖を受け、かつ査察の義務まで負わされると言う犠牲を払っているのに対し、北朝鮮の場合は逆に94年の米朝枠組み合意によって無償で数千億円の200万KWの原発を建設してもらいかつその完工までに毎年50万トンもの重油を米国から無償供与されると言う美味しいプレゼントを受け取れば米国等からの攻撃から回避されるのですから雲泥の差です。

特に、北朝鮮は中国との国境地帯である平安北道新義州市に経済特区を作り香港などに資本参加を呼びかけていますが電力不足のために計画が頓挫していることからも判るように北朝鮮にとって、米、石油、電力は現在最も欲しいものですからこうしたプレゼントを敢えて拒むのには余程の特別な事情が有るものと思われます。

その事情とは、既存の各施設を自力で早急に稼働させたいことに尽きると考えられます。 つまり、原発を無償供与されるとIAEAの査察を受ける義務を負わされるのは困るからだと思われます。 査察の目的は核燃料の再処理の工程でプルトニウム239回収の有無にありますから、査察を拒む理由は明らかにプルトニウム239からプルトニウム爆弾を製造しようとする意図が有るからと思われます。

長崎型のプルトニウム爆弾にはプルトニウム239が5KG程度必要とされ、もし、3基の原子炉が運転されると年間に275Kgのプルトニウム239の回収が出来ると試算されることから60発前後の原爆の生産が可能となります。 つまり月産5発の割合で原爆製造が可能となります。そして、急いでいるのは米国がイラクに注力している間に何としても数発の爆弾を製造して優位に立とうとしているように思えます。

しかし、その程度の原爆保有をもって、北朝鮮の言うことを聞かないと、テポドンを飛ばすとか、米国が1発打ち込んできたら倍にして仕返ししてやるとか、世界を相手に第三次世界対戦を引き起こすことも辞さないなどと国営放送で声猛々しく吠えるのが私には全く理解出来ません。これ以上吠えると、当事国は米国だけでなく安保理にかけられて国連による制裁を受けかねないからです。

一昨日はイラク、昨日は北朝鮮の米国に対する対応について考えてみましたが、今日はそのような情勢の中で日本の採るべき方向について考えてみたいと思います。最近の北朝鮮の米国や日本・韓国に対する動向を観察していると、非核3原則を保持し、自衛権発動を必要最小限に制限している憲法第9条を遵守する日本は、北朝鮮が核攻撃を仕掛けてきてもこれを事前に察知して先取防衛することも出来ず、手をこまねいているいるうちにテポドンやノドンで東京や原発が核攻撃されて未曾有の被害に風聞被害が相乗して日本の政治・経済は壊滅的状態に追い込まれる恐れが現実的なものになってきたような気がしてなりません。

現在の日本は、このような有史以来の国難に遭遇した際に、自衛隊の専守防衛行動を違憲呼ばわりしたり、自衛隊が被害を最小限に食い止めるべく私有地を通過したり、使用したりするのは国防上の当然の行為と思われるのに問題視して有事法制を棚上げ状態にしたり、話せば判るとばかりに非現実的な非武装平和主義を唱えて自衛隊の活動に制約を加えたりすることが国会以外のマスメディア等でも取り上げられるほどのに平和ボケしております。

従って、北朝鮮の核攻撃に対する防衛は自衛隊主体ではなく、日米安保に委ねるしかないと思います。今後は憲法よりも日米安保での日米両国の義務と責任をより明確化していくことが必要と思われます。 1951年調印の日米安保(日米安全保障条約)は日本に基地提供等の義務を課しながら米側には義務がなく、1960年の安保改定では、日本が攻撃を受けた場合の米軍の支援義務は規定されたのに米軍に対する日本側の協力については不明確で、どちらかと言えば日本有利の片務性が目立つ不平等条約の様相を呈しております。

日本としては、比較的日本への影響の少ないイラク攻撃についてはこの日米安保での集団的自衛権の発動による日本側の義務を最小限に解釈して米国への協力姿勢を示し、影響が極めて大きい北朝鮮問題については米国側の義務を最大限に明確化することを基本方針とすべきと思います。

従って、イラク問題についてはフランス、ドイツ、ロシアのように米国に対して強い態度で攻撃を牽制することも、英国、スペインのように攻撃に賛成することも避けるべきで、現状の日本政府の国連決議を尊重することを前提に「着かず、離れず」の曖昧に見える姿勢でしばらく押し通せばいいと思います。そして国連決議により攻撃が開始された場合は積極的に、米国単独の場合はより消極的に日米安保の義務を果たせばいいと思います。

北朝鮮が仮に核爆弾の製造に成功してもこれを兵器として活用するには、核実験、ミサイル搭載・発射試験の三つの工程を経ねばなりませんが、いずれも現在の北朝鮮の置かれている環境下ではこれを極秘裏に実施することは不可能と思われます。

核実験すれば衛星や地震計で容易に探知されその時点で、国連や米国から違反行為として警告が発せられるはずです。ミサイルに搭載する様子は衛星で、発射実験すればレーダーで探知されてしまいます。これらの実験を経ずに実射することは、ミサイルが誤って自国内に落下する恐れも有りますので通常は有り得ないと思われますが、あのようなお国柄ですから有り得ることを前提に防衛システムを構築しておく必要が有ります。

北朝鮮はノドン(射程約1300キロ)、テポドン(射程約6000キロ)の中距離ミサイルを保有しております。これを日本領土に着弾する前に宇宙や空中で迎撃ミサイルで打ち落とすことを前提に、NTW(海上配備中間飛翔段階防衛システム)構想として現在、日米で共同技術研究が行われております。これは、防空戦闘用に開発されたイージス艦から発射する三段式のミサイル(SM−3)にLEAP(軽量大気圏外飛翔体)と呼ばれる体当たり装置を載せるもので昨年、ハワイのカウアイ島から標的のアリーズ・ミサイルを打ち上げ、これを、イージス艦レイク・エリー号から打ち上げた迎撃ミサイル(SM−3)に載せた迎撃体(LEAP)で迎え撃つというもので、最初の2回が高度約160km、3回目のものが高度約150kmで命中して成功しております。

日本が北朝鮮からの核攻撃に備える選択肢は日米安保に基づく米国の日本防衛義務に頼るしか有りません。 そのためには、米軍のイラク攻撃に対しても応分の支援をすることはやむを得ないと思われます。具体的には、まず上述のNTWを主体に日米韓共通のMD(ミサイル迎撃)システムに発展させて早急に構築するよう米国主導で条約を締結する必要があると思います。必要が有れば憲法改定、有事法制、日米安保の改訂等も行うべきと思います。

  
前 頁 へ 目 次 へ 次 頁 へ