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歌人としての大正天皇 北朝鮮のミサイル発射失敗

昨日、五木寛之氏の講演を聴講してきました。白髪混じりながらふさふさとした髪の毛を無造作にめくりあげた氏は、昭和7年生まれで9月には70才になる人とは思えない力強い声で、タイトルの「日本人のわすれもの」の「暗愁」について、いろいろと引用をまじえながらジワジワとその意味が自然と判るように浮き彫りさせていく手法は実に見事でした。

その中で、同氏は大正天皇の短歌を絶賛し、彼こそ歴代天皇の中で最高の歌人と評価したのが意外でしたので、調べてみるとそれを裏付ける資料が最近数多く発行されているが判りこれまた意外でした。例えば、昨年10月に発行された 「大正天皇御集おほみやびうた」(邑心文庫.2002.10月)について毎日新聞書評欄で丸谷才一氏が「大正天皇は御水尾院以来最高の帝王歌人で、もしこの才能を自在に発揮させたならば吉井勇、斎藤茂吉、北原白秋等を凌駕するほどの大歌人となったに相違ない」とまで言い切っているのが目を引きました。

そして、次の歌が大正天皇の代表作の一部とされております。

・誰が為に花は咲くらむみむ人はすまずなりぬる故郷の花
・乗る汽車の窓より見れば秋草の花盛りなり毛野の国はら
・あたたけき沼津の野辺を辿りつつ霞みの奥の富士を見るかな
・釣り舟もあまた浮かべり近江の海比叡の高峯の晴れわたる日は
・よさの海の霞みの奥になりにけりさみやかに見えし天の橋立
・這ひし跡さやかにみせて蝸牛いづこに今は影を潜める
・夕闇の空に乱れて飛ぶ蛍遠き花火を見るここちする

ただ残念なのは、当時宮中では恋歌を邪視する雰囲気が有ったようで、大正天皇の御作に、フィアンセだった九条節子様(後の貞明皇后)に贈われた次の1首しか恋歌が残っていないことです。

  今ここに君もありなば共々に捨はむものを松の下つゆ
ここで言う、松の下つゆとは、最近日本のトリュフとして話題を集めている幻のキノコの松露のことで、沼津の旧御用邸の近くで自生していたく黒松の松林で獲れたものと思われますが、果たして時の皇太子はこの松露の珍味のほどをご存じだったのでしょうか。好きなフィアンセの彼女と砂原で松露を一緒になって探し求めることへの憧れ、そしてそれが出来ないことへの哀愁が現れているように思います。五木寛之氏が敢えて大正天皇の御歌に触れたいきさつを聞き漏らしてしまいましたが、彼の言う「暗愁」がこうした御歌に漂っていると感じ取られたものと勝手に解釈しました。
韓国国防省によると、先月24日に北朝鮮によって発射された地対艦ミサイルは、中国製「シルクワーム」(HY−1)の改良型「KN01」で、北朝鮮沿岸約60キロ沖の東海(韓国では日本海の名称は不当と見なし、これを東海と呼称している)に落下したものの実験に失敗した可能性大としております。従って、続いて10日に発射した同型の地対艦ミサイルは、その失敗を修正するために試射されたとの軍事筋の見方も有るようです。

海上自衛隊のイージス艦「みょうこう」や哨戒機P3Cなどの情報によれば、2回目の発射地点は北朝鮮北東部沿岸の新城里(シンソンニ)付近で、発射地点から約110キロ離れた日本海(韓国側は東海)に着弾したと報告しております。

北朝鮮には各種のミサイルが配備されております。 最も脅威になるのは、大陸間弾道弾(ICBM)のテポドン2改良型で最大射程1万キロで全米が射程距離にはいります。次いで最大射程6000キロと言われる中距離弾道弾(IRBM)テポドン2で米・西海岸地域が射程距離にはいります。中射程弾道弾(MRBM)ノドンとテポドン1は最大射程1300キロ前後で全日本がほぼ射程距離に入ります。

今回、試射された地対艦ミサイルは以上の戦略ミサイルではなく、局地戦を目的とする戦術ミサイル短射程弾道弾(SRBM)で、石破茂防衛庁長官は射程が短いためわが国の平和と安全に重大な影響を与えるとは考えていない」と語っております。従ってこの程度のミサイルの発射には目くじらを立てて騒ぐ必要は全く有りませんが、テポドンやノドンの発射については重大な関心をもって見守るとともにその迎撃について積極的に対応策検討していくべきと思います。

もし、テポドンクラスのミサイルをを試射すれば、日本への脅威だけにとどまらず「米国への宣戦布告」と見なされる可能性が有りますので、そう安易に実行するとは考えられません。日本には攻撃型のこのような戦略ミサイルは有りませんので、北朝鮮からミサイル攻撃を受けてもパトリオットで迎撃するのが精一杯でミサイルで報復することは出来ませんし、航空機や軍艦で報復攻撃をすることも憲法の制約が有ってこれまた出来ません。 それに、その唯一の自衛手段のパトリオットも現状の射程距離では迎撃は出来ないとされておりますので事態は深刻そのものです。

武器を持ったテロリストに武器を持たずに防弾チョッキを装着しただけで立ち向かう警官のようなものです。こんな無防備に近い自衛策でもよしとする根拠は日米安保に基づく米軍による防衛と報復攻撃にあります。今回の「シルクワーム」程度で政府の無策を非難したかと思えば、今度は米国のイラク攻撃では日米安保を遵守する日本政府を非難する日本のメディアの不条理な報道にはあきれるばかりです。

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