| −日記帳(N0.980)2004年08月11日− |
| 関電美浜原発の事故に思うこと(1) |
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| 事故の有った加圧水型原発の構造モデル図 |
関電・美浜原発にはいろいろな思い出が有ります。原発関連の仕事に少し関係していたことから、ここには建設当初から出入りしたことが有るのと、この近くに何回か釣りに行ったことが有るからです。特に、納入資材に要求される原子力仕様の厳しい基準に当惑した記憶が有りますので、今回の事故で発覚した関電側の甘い管理基準には驚くばかりです。 8月 9日午後3時28分頃、福井県美浜町の関西電力美浜原子力発電所3号機(加圧水型軽水炉、出力82.6万kw)で、タービン建屋内で2次冷却水系統の配管が破裂して高温の蒸気が噴き出し、14日から始まる定期検査の準備作業中の下請けの木内計測(大阪市天王寺区)の若狭支社美浜営業所の技術員)の 作業員11人が死傷(4人死亡、2人重体、5人重軽傷)すると言う日本の原発史上最初の死亡事故が発生しました。 日本の原発は全て減速剤に水を使う軽水炉で、加圧水型と沸騰水型がありますが、事故を起こした3号機は、原子炉で水(1次冷却水:上図のピンク色)を熱し、蒸気発生器で放射能を帯びない蒸気(2次冷却水:上図の青色)を作ってタービンを回す加圧水型のため、破裂した配管系から放射能漏れを起こす危険はありません。逆に言えば、放射能漏れを起こす危険が無いと言う認識が、今回の事故を招いたように思います。 言い方を変えるならば、今回の事故は火力、原発に共通の冷却水回路で発生しており、原発に特有の事故ではありません。それ故に恐ろしい気がします。その原因が明日の日記で触れますが配管内の高温水蒸気の乱流による配管内面の摩滅と言うごくありふれた現象によるものですのでこれからも再発する恐れが充分有り得ると考えられるからです。 水流が岩をも削り取る凄さは、米国のグランドキャニオンを観光した時に思い知りました。コロラド川の流れが永年に渡って周囲の岩を削り取ってあのような景観になったわけです。原子力でも火力でも、発電する場合は回転翼(タービン)に蒸気を吹き付けて翼を回転させるのですが、その場合蒸気の圧力が高いほど発電量が大ききなりますので、発電には100気圧以上、200度以上の高温・高圧水蒸気が使われますが、事故を起こした配管は発電をし終えた後ですので温度、圧力ともに下がっておりますが、それでも10気圧、142度ですからこの蒸気が体に触れたら大変な火傷になるのは当然のことです。 |
| −日記帳(N0.981)2004年08月12日− |
| 関電美浜原発の事故に思うこと(2) |
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| 事故で破断した配管の想像図 |
配管の中を流れている流体の速さは、上図に示すように孔径を配管内径より小さくした「オリフィス板」をフランジに挟み込み、その前後にマノメーター(圧力計)を取り付けて、その差圧を測定することで測定します。この差圧とその前後を流れる流体の速さの間には、ベルヌイの定理によってある関係が成立しますので、その差圧から流体の速さを算出することが出来ます。 よくビルとビルに挟まれた通路や地下鉄の出入り口の通路などで急に風が強くなるのは、このベルヌイの定理による、「ビル風」と呼ばれる現象によるものです。広いところから狭いところに流れると流れが速くなる現象で、飛行機が落ちないで飛べるのもこの現象によります。空気が飛行機の翼の膨らみの部分を通過すると同じ原理で流速が速まり空気の圧力が低下して軽くなり浮力が生ずることから落ちないで飛ぶことが出来るわけです。 事故が起こった配管では、上図に示すように、内径54cmをオリフィス板で34cmに絞って、その前後の差圧を測定しておますが、ここで問題なのは、流体が絞られたオリフィス孔を通過する時に下流側で上図に示しますように乱流が生じ、カルマンの渦のような現象が起こって配管の内面を浸食・摩滅させ、流体によっては減肉に至ることが知られているからです。 低温、低圧の流体なら例え、乱流が生じても減肉にすることはまずありませんが、流体は142度、10気圧の高温、高圧の熱水ですから、減肉することはこの業界では常識で、寿命を見込んだ定期点検が行われております。関電の内規でも、事故を起こした2次系配管は10年ごとに4分の1ずつ肉厚を点検し、40年で全て取り替えることになっておりました。そして、破裂部分は76年に運転開始して以来28年間一度も点検されていないことから、関電は内規違反を犯していたことになります。破裂部分の配管の肉厚は、当初の10mm有ったのが0.6mmしかなかったと報告されておりますので、凄まじい減肉現象が起こったことが判りました。 もし配管から洩れると、142度、10気圧の高温、高圧の熱水は一瞬にして高温の水蒸気になって周囲に飛散しますから、もしそこに作業員がいたら大変な事態になることは容易に予想されたはずで、この点からも関電の責任は重大と思います。関電だけでなく、全電力会社で徹底的に再点検を実施して再発防止に取り組んでもらいたいものです。 |
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