| −日記帳(N0.1244)2005年05月07日− | −日記帳(N0.1245)2005年05月08日− |
| 靖国問題を考える |
北朝鮮での核実験の必要性 |
中国、韓国は日本との過去の歴史について日本側が誤った解釈をして教科書等にそれを反映させているとして日本に抗議するという、いわゆる歴史問題が最近大きくクローズアップされ、それが引き金になって中国では反日デモ、韓国では竹島の領有権を巡る反日運動が激化しました。最近はやや沈静化したものの、一向に解決の目途はついておりません。 多くの私も含めて日本人にとって、この歴史問題は判り辛く、何が誤りでそれをどう正せと言っているのかがさっぱり判らないのが実情ではないかと思います。中国、韓国は被害国としての立場、日本は加害国の立場になりますのでその論点が異なるのは止むを得ないとしても、村山首相を筆頭に歴代の首相が何らかの形で謝罪しているのに 、時が経ち何か問題が起こると再び謝罪してないと抗議してくるのですから判りようがありません。 ここで、よくよく考えてみると、中国、韓国がこのように日本バッシングをするのは、時の政権が国民の不満をそらす手段として利用している点で共通していることが読めてきます。中国は政権そのものは一党独裁の国ですから揺るぎないのですが、13億の人民の大半を占める農村部の貧民層の不満をかわすのが一番の政治課題となっており、韓国は与野党の勢力が拮抗しているため政権は常に不安定であることから日本バッシングすることで国民の共感を呼び起こし支持率を高めようとしております。 その材料が、靖国問題、島の領有権問題、教科書問題、歴史問題でこれまた共通しております。このうち靖国問題は、最近になって中国側は特に重大視して大きな外交問題にまで発展しておりますので、今日は中国と靖国問題の関係について考えてみたいと思います。 中国に関する靖国問題の発端は、1972年9月の田中、周両首脳会談での周首相の「怨みに報いるに徳を以ってす」という寛容な精神の基づく次の言葉にあることは、4月11日の日記で触れました。 「戦争は日本国内の一部の軍国主義者によって発動されたものであり、大多数の日本国民も戦争の犠牲者である」 中国政府は、中国国民が対日戦後賠償を放棄したことに対する不満を、この一部の軍国主義者(=A級戦犯)を永久に戦争犯罪者と位置付けることでかわしてきました。従って、1978年にA級戦犯を、中国側が戦争犠牲者としている一般の戦没者と合祀したことで、周首相の言葉に対する背信行為として非難しましたが、合祀されてから昭和天皇が参拝を取りやめたことで、取り敢えず中国側は鉾を収めておりました。ところが、小泉首相になって、A級戦犯も一般戦没者も分け隔てなく「国のために命を奉げられた方々」と正式に位置づけたことから再び靖国問題が大きくクローズアップされるようになりました。 当時、社会党の堤テルヨ参議院議員の尽力もあって昭和30年にかけて成立した「遺族援護法」により、A級戦犯も含め戦争裁判で刑死、獄死した人々の遺族にも、遺族年金や弔慰金が支給されるようになり、更に死刑を免れたA級戦犯は昭和31年に、BC級戦犯は昭和33年までに赦免されて釈放され、A級戦犯のうち重光外相と賀屋蔵相のように復権して内閣の要職を務めております。このように現在では法的には国内でも国際的にも戦犯の意味はなくなっておりますので、小泉首相の靖国参拝は何ら問題はないはずです。 しかし、中国側は日本の「死ねば何人も神として祀られる」との考え方に対し「罪人は死んでも罪人である」との考え方から、軍国主義者=A級戦犯 は永久に存続するとして、小泉首相の靖国参拝を周首相の言葉に対する背徳行為として猛反発して今日に至っており、両者の溝が埋まる兆しは全く見えてきません。 従って、靖国問題を当面の日中外交の重大な障害にしないためには、小泉首相が靖国参拝を取り敢えず中止するしかないと考えられます。ただ、中国の圧力によって中止するというシナリオは絶対に許されません。では、どうするか。それには、次の二つの選択肢が有りますので、小泉首相はそのどちらかを選択すればいいと思います。 1.国内での靖国参拝反対の声を配慮して中止 2.中国側の価値観の相違に基づく誤解を解くまで中断 1.は、野党に首相の靖国反対動議を出してもらい、懸案の重要法案可決の代償として首相が不本意ながらこの動議を受けて参拝を中止するというシナリオです。ここは、与野党が阿吽の呼吸で「やらせ」が露見しないように真に迫った演技をすればいいのです。中国側は自分たちの圧力によるものでないことに不満を示すでしょうが、とにかく「首相参拝」が回避されますので振り上げたこぶしを取り敢えずは下ろすしかないと思います。 2.は、死者に対する価値観の違いを根気よく説明して中国側の理解を求めていくのとです。中国側が理解する姿勢を示さなくても、時間稼ぎができます。そのうち小泉首相の任期が切れて仕切りなおしになることで取り敢えず、当面の猛反発をかわすことはできると思います。外交には、このような曖昧な時間稼ぎも時には必要でしょう。 |
最近、北朝鮮が核実験をするのではとの情報が飛び交っております。北朝鮮が仮に原爆のような核爆弾を保有できたとしても、それを核兵器として戦略的に使用出来るようにするには、核実験によって爆発をコントロールできることを確認し、その情報に基づいて核爆弾を投下対象国の上空まで運ぶため手段を確立せねばなりません。現在の北朝鮮にはそのいずれもが未確認、未確立です。従って、北朝鮮はまず核実験を成功させることで核保有国であることを世界に認知させ、今後の米国との交渉を有利に押し進めようとしているように思われます。 原爆にはウラン型とプルトニウム型の2種類が有ります。ウラン型は天然に産するウラン鉱石を原料にする方法であり、プルトニウム型は原発で発生する使用済核燃料からプルトニウムを原料にする方法です。当初、北朝鮮では実用的に稼動している原発が1基も無いことからウラン型を考えていたようですが、自国では実用化可能な純度のウラン鉱石を採取できないこと、その濃縮に高性能遠心分離機が必要なことなどから断念し、プルトニウム型を指向するようになりました。そのため、北朝鮮はロシアなどの援助で次の3原発と3関連施設を建設しました。 1.0.5万Kw実験用原子炉(寧辺) 2.5万Kw原発(寧辺) 3.20万Kw原発(泰川) 4.使用済み核燃料棒の貯蔵プール(寧辺) 5.核燃料棒製造工場(寧辺) 6.放射科学研究所(寧辺) この3基が1年間稼動すれば275Kgのプルトニウムが得られ、広島級の原爆を作るのに約50Kg程度が必要ですので、 60発程度の原爆が作れますがロスなどにより実際は1/5の10発程度と考えらております。因みに日本の原発は97年で4,100万Kwですので、北朝鮮の約200倍ですから1年間に2,000発の原爆製造が計算上では可能となります。しかし、北朝鮮はプルトニウムが発生しやすい黒鉛炉を全て採用しているのに対して日本はプルトニウムが発生しにくい軽水炉を採用しておりますので、その数分の一程度と見込まれております。このあたりにも、北朝鮮が当初から原爆製造を目論んでいたことが覗えます。 プルトニウム型原爆の場合は、次の理由で核実験が絶対に必要です。 原爆の原理は臨界量以下の核原料を壁を隔てた容器に分割して格納しておき爆薬の起爆によって容器の壁を壊わして核原料が接触混合し合って臨界量以上にすることで連鎖反応を起こさせて核爆発を誘導することに有ります。しかし、ここで問題になるのはプルトニウムが「爆発しやす過ぎる」ことで、プルトニウムは臨界に達すると直ちに爆発を起こすのですがその際、まだ核分裂していない他のプルトニウムをバラバラに飛散させて連鎖反応を停止させてしまうため、「未熟核爆発」と言う現象を起こし、ウラン型の場合のように臨界量以下のウラン235を二つに小分けして爆薬の力で合体させることで一気に爆発させることが出来ません。 米国はこの問題を爆縮式(239プルトニウムの周囲に火薬を均一に配置しその爆発力で圧縮する方式)を採用することで解決したのですが、このメカニズムが予想通りに作動するか否かはどうしても実際の爆弾で試験する必要があり、1945年7月16日、史上初めての「トリニティ」と名付けられたプルトニウム型原爆がニューメキシコ州の砂漠で実験され爆縮式が予想以上に効果的であることを確認しております。果たして、北朝鮮にこの爆縮式のメカニズムを応用するだけの技術力が有るか否かは極めて疑問です。 以上の理由で、実物の爆弾で、爆縮装置が有効であるか否かを実験して検証する必要が有りますが、北朝鮮は隣国の韓国、中国、ロシアなどに放射能を撒き散らさずに済むほどの広大な実験場はありませんので、地下で行うしかなく、その場合は日本周辺に張り巡らされた地震観測システムで容易に感知され、その爆発の規模なども知られてしまいます。また、その周辺を隔離しますので事前に偵察衛星でも探知されてしまいます。このように、全世界の監視のもとで行う核実験はそれ相応のリスクを犯すことになりますので容易ではありません。 <参考資料> ・2005年02月12日「北朝鮮の核保有の可能性」 ・講座集 第8章「北朝鮮の原爆保有と原爆の製造の歴史・原理 」 |
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