−日記帳(N0.1603)2006年05月07日−
ジニ係数とローレンツ曲線
−日記帳(N0.1604)2006年05月08日−
小泉政権と格差の関係



ローレンツ曲線とジニ係数の関係
(『国際開発経済学をガッと読む』より引用)

ジニ係数を理解するにはローレンツ曲線を理解しておく必要が有ります。何故ならローレンツ曲線と45度直線に囲まれた部分(上図の空色の部分)の面積がジニ係数に相当するからです。このローレンツ曲線が下側に限りなく膨らんでいくと究極的にはこの囲まれた部分は下のX軸と右側のY軸に接し、面積も45度直線と下のX軸と右側のY軸に囲まれた正三角形になります。その場合の面積は 0.5 になりますが係数として用いる場合は最大値が1になるようにすると判りやすいので、改めてこの部分の面積を2倍した値をジニ係数としております。

ローレンツ曲線は英国の官庁統計家ローレンツ(M. D. Lorentz)が所得分布の不平等を計測するために考案されて統計値で、一見難しそうに思えますが意外にも判りやすい内容ですので、ある会社の従業員5人(A、B、C,D、E)の所得(年収)をモデルにして以下説明してみたと思います。更に判りやすくするために下表で図式化してみました。

ローレンツ曲線のモデル例による解説

ローレンツ曲線が描かれる背景の座標は縦軸に累積所得額、横軸に累積人数をとりますがともに 0 から1 の値をとるように各値をそれぞれの総計で割った値、つまり相対比率で表わします。このモデルでは、5人に対する所得配分総原資を 1,000万円とします。まず、この5人全員に等しく 200万円づつ配分された事例のCase1 を考えてみます。この場合は、 累積所得額相対比率(Y)=累積人数(X) 、つまりY= X となって ローレンツ曲線は45度直線になります。上の図表で 斜めに走る空色の直線で表わされます。この場合は囲まれた面積は 0 ですから ジニ係数=0 となり、完全平等となります。

次に、A、Bに100万円づつ、Cに200万円、D、Eに300万円づつ配分された事例のCase2 を考えてみます。各相対比率は小さい値から累積していきますので、まず最小所得の100万円は2人に配分されておりますので、累積人数 = 2 で累積所得 = 200 となり、これをそれぞれの総計で割って相対比率に換算すると X= 0.4 のとき Y= 0.2 となります。 次にCに配分された200万円で、累積人数 = 3 で累積所得 = 400 となり換算すると X= 0.6 のとき Y= 0.4 となります。

そしてD、Eに300万円づつ配分された計600万円で、累積人数 = 5 で累積所得 = 1,000 となり換算すると X= 1.0 のとき Y= 1.0 となります。この値を座標にプロットしていくと、上図の緑色の曲線でローレンツ曲線が得られます。そこで空色の直線とこの緑色のローレンツ曲線で囲まれた面積を幾何学的に計算すると 0.1 が得られますので、この場合、ジニ係数=0.2 となります。

この値は昨日、紹介したジニ係数の段階別評価基準によれば、「社会で一般にある通常の配分型で可も不可も無し」となり、現行のサラリーマン社会を物語っていると考えられます。何故なら、このモデル例は30代で300万円台、40代で600万円台、50代で900万円台の現行のサラリーマン社会にほぼ当てはまっているからです。以上の説明で、ローレンツ曲線とジニ係数との関係をご理解頂けたと思います。



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上表は、総務省の家計調査によって算出された直近の日本のジニ係数の年間推移です。単純にこの表から小泉政権が発足した2001年の前後3年間の平均ジニ係数を計算したところ次の結果を得ました。

                    勤労者所帯  全所帯
小泉政権前3年間(1998-2000)   0.243     0.296
    ↓                 ↓       ↓
小泉政権後3年間(2002-2004)   0.245     0.288

この表によれば、小泉政権以降、全所帯ではジニ係数は 0.08 減少して格差は縮小し、勤労者所帯 ではニ係数は 0.02 増大してして格差は僅かに拡大しております。勤労者所帯と全所帯のいずいれかを対象にするかで見解は分かれますが、いずれにしても、民主党が声を大にして小泉政権の改革によって格差が加速されていると大声を上げることを支持する資料とは到底考えられません。

内閣府は4月19日、厚生労働省の所得再分配調査や上表の元資料の総務省の家計調査などをもとに分析して、ジニ係数は上昇傾向だが、元来所得格差が大きい高年齢層世帯や、核家族化の進行で所得の少ない単身者世帯が増えたのが原因で、民主党の主張する格差拡大は見かけ上のものだ、とする見解を5ページの文書にまとめ、19日の月例経済報告の関係閣僚会議に提出しております。 私もこの内閣府の見解を支持したいと思います。


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