| −日記帳(N0.1723)2006年08月25日− |
| 惑星物語(3) (冥王星を惑星から除外することが決定) |
| −日記帳(N0.1724)2006年08月26日− |
| 惑星物語(4) (冥王星発見と命名の裏話) |
![]() |
| 9惑星の時の惑星の大きさの比較図 (太陽から最も遠く、最も小さい冥王星が除外されました) |
太陽や夜空に輝く月や星は人類共通の世界遺産です。例えば、新しい星を発見した場合、「その星は私のものだ」と主張して勝手に名前を付けますと星の名前に統一性が無くなり後にフォローするのに支障を来たします。そこで、天体は人類共通の世界遺産であるとの基本原則にたって天体の呼称や天文現象に世界共通のルールを敷く必要が有ると考え、1919年に国際天文学連合(IAU)が設立されました。2005年現在、会員として9,040人の天文学者などの個人会員と63の国家会員が所属しております。ここには天文学の分野ごとに分けられた12の分科会が有り、各分科会の下部にはさらに細かい研究領域毎に37の委員会が有り、更に委員会の下部には個別の研究テーマに関連した90のワーキンググループが有り、3年に1回総会が開かれ、その総会が現在プラハで開催されており今日閉会することになっております。 その第3分科会でこれまで惑星の定義について討議が行われてきました。特に、太陽から最も離れかつ最も小さい惑星である冥王星については、その後冥王星より大きいことが確実視されている小惑星2003UB313 の発見、冥王星の半分ぐらいの大きさの小惑星セレスの発見などが相次いだことから惑星とすることが疑問視される事態になりました。そこで、現在プラハで行なわれている国際天文学連合総会で昨日、24日に惑星に関する議案を投票で採決することになりました。主な議案は次の3案に集約されました。 (1) 従来どおり冥王星を含めて9惑星とする (2) 新たに3個の小惑星を追加して12惑星とする (3) 冥王星を除外して8惑星とする その結果、圧倒的多数で(3)案が採決されました。その理由は、太陽系惑星の定義を、@太陽を周回する A自らの重力で球状となる B軌道周辺で圧倒的に支配的な天体 としたことから、冥王星はBの条件を満たさないことに有りました。つまり、冥王星はより大きい海王星と軌道が一部重なるうえ冥王星の軌道周辺には二重惑星と見られるカロンや冥王星より大きい小惑星2003UB313が存在するためBの条件が満たされないという単純明快な理由ですので(3)案が採決されたのは当然の成り行きと考えられます。(1)(2)案もBの条件を満たしませんので廃案になるのは当然の帰結です。 この結果、「水金地火木土天海」の八つが新たに惑星として認められることになりました。 但し、いきなり小惑星に格下げでは気の毒と思われたのか、惑星と小惑星の間に位置づけられる「矮惑星」という新しい分類を作り、冥王星とともに今回、惑星候補に上がった小惑星の「セレス」と「2003UB313」をこの分類に入れました。従って新しい分類の「矮(わい)惑星」は次のようになります。 |
![]() |
| 冥王星(左)とその衛星カロン(右) (1978年7月アメリカ海軍天文台によって撮影) |
アメリカの天文学者パーシバル・ローエル(1855〜1916)は、7、8番目の天王星、海王星の動きから9番目の惑星の存在を予想し「その惑星は海王星の外側に在るはずで、太陽からの距離43〜44天文単位で、公転周期は280〜290年、重さは地球の7倍、「ふたご座」または「いぬ座」の中に12等星の明るさで見えるはずだ」と予言し熱心に探索しましたが願い叶わぬまま世を去りました。 そこで彼の友人のクライド・トンボー(1906〜1996)がその意思を引き継いで、ついに1930年に発見し、Pluto と命名しました。Plutoはギリシャ語の冥界(死者の世界)の王を意味する「ハ−デス」と言われていたことから、作家の大仏次郎の兄で星の民俗学者の野尻抱影がこの年の「科学画報」10月号で「Plutoを和訳すれば、冥王星か幽王星であろう」と述べたことから「冥王星」が日本で正式に採用されました。 戦後「トンボ・星」と題する随筆の中で野尻抱影は「・・・・・話はトンボを離れるが、太陽系の最も外をめぐる冥王星(プルートー)は、一九三〇年に米国ローエル天文台の学者、トンボウ氏が発見したもので、この名はすぐトンボを連想させて、誰でも一度で覚えてしまった。戦后、私が義宮さんに星の話を申上げた時に、プルートーのこととなると、すぐ「トンボウという人が……」といわれた。殿下もやはりトンボから覚えられたに違いないと、今でも思い出して微笑することがある。」と書いておりますので冥王星の名付け親が氏であることは間違いないようです。 この星はまさに、太陽から最も遠い39.4AU(AUは天文単位で太陽と地球の距離1.5億q)の彼方に在り、247.8年という長い時間をかけて太陽のまわりを公転しています。この39.4AUという距離は、時速200kmの新幹線で地球から冥王星に向かっても3,288年もかかることから判るように途方もなく遠いところに冥王星があることが判ります。それでも、星座の世界でよく使われる1光年は63,07239.4AUですから39.4AUは0.0006光年に過ぎません。 冥王星は、太陽からの距離が39.4AU(彼の予言は43〜44AU)、公転周期は248年(彼の予言は280〜290年)、重さは地球の 0.39倍(彼の予言は地球の7倍)で、重さ以外はほぼパーシバルの予言どおりでしたが、彼の9番目の惑星との前宣伝に惑わされたのか、発見した時点でさしたる検討もしないまま9番目の惑星として位置付けしてしまったのが、今日の海王星除名騒動に繋がったように思います。言い換えれば、冥王星は惑星への昇格試験を受けた際にその名前が既に知られていたことから無試験で合格してしまったようなものです。昇格後、昇格に値しないことが判ったのですが、降格させるのに手続きが必要なため76年もかかってしまったのが実態だと思います。いきなり、小惑星に降格ではなく、矮惑星という新しいポストに収まっただけでもラッキーと考えるべきでしょう。 |
| 名称 | 分類 | D(AU) | 画像 | r | P | p | e |
| 冥王星 | 冥王星族 | 39.4 | 1,153 | 249 | 6.30 | 0.249 | |
| 2003UB313 | 散乱ディスク天体 | 96.7 | 1,200 | 557 | ? | 0.442 | |
| ケレス | 小惑星 | 2.8 | 941 | 4.60 | 0.38 | 0.080 |
| 前 頁 へ | 目 次 へ | 次 頁 へ |