−日記帳(N0.1772)2006年10月12日−
北朝鮮の核実験の信憑性(1)
−日記帳(N0.1773)2006年10月13日−
北朝鮮の核実験の信憑性(2)


北朝鮮当局は、10月9日に核実験を実施したことを発表して以来、核実験であったことを立証するために実験の規模、実験区域での放射線量等に関して画像や数値に基づいた発表を一切行なっておりません。機密保持のために公表しないのか、公表したくても相応する資料が無いからなのか不明ですが、米英を中心に実験失敗説が浮上している中、このまま沈黙を続けると実験失敗説を黙認することになり、国連を中心とする制裁処置だけは失敗の有無に無関係に強まっていくばかりで北朝鮮が当初意図した核保有を背景とする「脅しの外交」そのものがぐらついてくるように思われてなりません。

当初、私はTNT、ダイナマイト等の通常火薬を大量に地下に運び入れて爆発させる、いわゆる仮装核実験も想定されると考えておりましたが、その後いろいろと調べてみましたところ、大量の火薬を広範囲に装着して瞬時に爆発させることは有り得ますが、地下のような狭い場所に封じ込めた状態で全量を瞬時に爆発させることはまず不可能であること、少なくとも1,000トン以上の通常爆薬を地下に輸送すれば衛星写真で察知されることから現実には有り得ないことが判りました。従って、北朝鮮が核実験を試みたことは否定できない事実と思われます。

今回の北朝鮮による核実験の規模は、各国の研究機関や専門家らの分析によれば、0.5〜1キロトンでほぼ一致し、広島原爆の30分の1〜15分の1程度で核爆発としては極めて小規模であったことになります。従って、意図的に小規模にしたのか、それとも失敗して小規模になったかのいずれかになります。もし前者だったら実験は大成功、後者だったら実験は大失敗となりますので、その識別が重要ですがこれまでの情報ではそのいずれとも断定出来ないようです。ただ、前者は米国が苦労して漸く1960年代に完成したと言われ、高度の技術を要することから後者の確率が高く、私も後者の失敗説を採ります。その理由については明日の日記で触れてみたいと思います。


よく知られておりますように、原爆にはウラン型とプルトニウム型の2種類が有ります。東海村の臨界事故は、濃縮ウランが臨界量に達すれば連鎖反応が持続して容易に核分裂を起こし、条件如何では核爆発に至る可能性を示唆しました。言い換えればウラン型では、混ぜれば臨界量以上になる濃縮ウランを別々にしておいて、単純に混ぜるという操作だけで起爆させることが出来ますので事前の核実験も不要との意見すら有ります。しかし、プルトニウム型ではプルトニウム239を計算上では臨界量になるように混ぜても連鎖反応は持続せず核爆発には至りません。

プルトニウム型では、混ぜて臨界量にするのではなくプルトニウム239を圧縮することで臨界量にして連鎖反応を持続させる方式を採用します。そのために、球体の中心にプルトニウム239の塊り(コアピット)を置き、球面上に装着した爆薬を同時に爆発させてその衝撃波をコアピットに集中させる必要が有ります。そのためには外側から順次、衝撃波の伝達速度が中心にいくほど速くなるなるように爆薬を装着していく必要が有ります。この方式は爆発によって圧縮させることから、「爆縮」と言われ、球面に装着された火薬は衝撃波を中心に向かって焦点を結ぶことから「爆縮レンズ」とも言われております。

このようにマイクロ秒単位で衝撃波が中心のコアピットに集中させる必要が有るには、全方位から圧縮しないと爆発は中途半端に終ってしまう恐れが有るからです。その理由は、臨界量に達したプルトニウム239は直ちに核分裂を起こしますがその時に発生するプルトニウム240が勝手に核分裂して小爆発を起こして、せっかく合体して連鎖反応をし始めようとしたプルトニウム239をバラバラにして、臨界量以下にして連鎖反応を停止させてしまうからです。これを未熟核爆発と言っております。

今回の北朝鮮の核実験が、小型原爆として大成功を収めたのか、それとも未熟核爆発として失敗に終ったのかのいずれであったかを見極めることは今後の北朝鮮政策上、極めて重大なことであるのに、今のところ日米中韓露の六ケ国協議の当事国に積極的な動きは認められないのは何故でしょうか。例え失敗だったとしても核実験をした事実に変わりなく、今後の制裁処置はその事実に基づいて行なわれるのですからその観点からすれば、その見極めはさしたる意味を持たないかも知れません。しかし、北朝鮮の核の真の脅威度、他国やテロ組織に売り渡される可能性等を推し量るのに重要な情報ですから何としても見極めてほしいものです。


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