我が闘病記
2章 誤診、そして新しい病名判明
X線は紫外線より波長が短い透過力の強い放射線で、人体に照射すると、
より重たい、つまり原子量の大きい元素ほど透過しにくくなるのでその部分を
現像すると感光度が弱いため白っぽく写ることから白黒の濃淡により骨の形状を識別する
ことが出来ます。
ご存じのように、人体の主要組織の中では、原子量は骨の主成分のカルシウムの
32が最も大きく、筋肉や血管、神経に多く含まれる水素の1,炭素の12、酸素
の16に比べて大きいため、X線は骨の部分は透過し難くく白っぽく写るので異常部
分を識別することが出来ます。
逆に神経や血管等の低原子量の元素から成る組織の中ではX線は素通りしてしまう
ためポリープやガンのような異常部分を識別することは難しくそのために
精密検診には内視鏡が採用されております。
特に腫瘍は良性(ポリープ)、悪性(ガン)に関係なく検出困難です。
MRIはX線ではなく身体部位に磁界をかけることにより、水素原子に核磁気
共鳴と言う現象を起こさせることで他原子と識別されることを利用してその違
いをのをコンピューターで画像処理することにより、水素を主成分とする神経
や血管の一本、一本を鮮明に写し出すことが出来る上、X線のような放射線障害が無いことから急速に普及しております。
MRIは検査はアーチ型のトンネル容器の中で造影剤の点滴を受けながら、
出来るだけ身体を動かさないようにしながら1時間ほど横になって
いるだけでいいのですが少々退屈します。
こうして撮影された数枚のフィルムを翌日例の再診先の病院を訪ねて
医師の診断を受けました。
医師は、しばらくじーっとフィルムを透視板に貼り付けて見ていました。
何か悪い予感を感じながら医師の言葉を待っていました。
やがて医師は「ここを見てください」と言って透視板を指さしました。
そこには、うずらの卵ぐらいの大きさの丸い陰が写っていました。
「これは、神経にできた腫瘍です。悪性かどうかは病理検査しないと判りませんが、
神経腫瘍に悪性は少ないので多分良性だと思います。」
一瞬、頭が真っ白になってしまいました。
ある一本の神経の一部が肥大して串団子のように腫瘍化している画像は、まるで
悪魔のように思えて思わず寒気をもようしてしまいました。
近隣の病院では手に負えないとのことで、後で手渡された紹介状の宛名は、ある国立大学医学部・脳外科の教授となっており事
の重大さがひしひしと伝わってきました。
医師の説明では五つある腰椎のうち上から2番目の腰椎の中のに収納され
ている数百本の神経のうちの一本にうずらの卵大の腫瘍ができているとのこ
とで、「椎間板ヘルニア」は誤診で正式な病名は「馬尾神経腫瘍」と言う珍し
い病気で悪性腫瘍(ガン)の可能性も有り手術しか治療法が無いので早急に手術を受ける必要が有るとの驚くべき診察結果だったのです。
やはり誤診だったのです。
正しい病名が判ったので対症療法が出来る安堵感、誤診により苦しい
日々無意味に過ごしてしまった悔悟感、そして病名に対する恐怖感が入
り交じって頭の中はスクランブル状態でした。