復活の日/小松左京/ハルキ文庫/C+
謎のウイルスを兵器化している国のスパイ合戦。だがついにウイルスは全世界に広まってり、南極以外全部絶滅。小松左京は沈没するったらする、滅ぶったら滅ぶ、と容赦なくやっちゃいますね(笑)
ラストに向かうところで、ヨシズミが「おっ母さん」の肩をもむところなんて、もう感動かも。オススメなのだが、風邪引いてるときは読まない方がよいでしょう(^^; 人類滅亡の恐怖と、再生への模索という壮大なテーマを描き切る感動のドラマっす。
亡国のイージス/福井春敏/講談社/C-
2000年このミス3位。第2回大藪春彦賞受賞と勢いついている作品。自衛艦を舞台にしたサスペンス小説。かなり長大で、読みごたえがあると思う。
はっきりいって、最初は退屈。登場人物の紹介がだらだらと続き、展開がみえないから。誰が主人公となるのか、脅迫側と防衛側のどちらに力点を置くのかがとても判りにくいです。結局、双方ともを描こうとし、脅迫グループの心情への理解も求めているようですが、脅迫側の行動は理解が得られるものでないし、その為に、物語のの納得感を欠いてしまっています。
後半に入ると物語に弾みがつきます。なかなかに読み応えもありますが、現実的な意味で緊迫感がなさすぎかも。攻防部分が長いし、敵役が幼稚すぎるのも問題かも。あれじゃーねー。あと、突然に出てくる黒幕(?)もなんだかねーって感じ。
夏の秘密/小林久三/角川ノベルズspecial/C-
82年に映画化された作品のノベライズ(?)、青春ミステリー風でアイドル映画。そんなもんねってかんじ。主演は北原佐和子。脇役にビートたけしも出演してたということだ。
羊の宇宙/夢枕爆・たむらしげる/講談社/C+
羊飼いの少年と偉大なる科学者により問答。たむらしげるのイラストと相成って素敵な物語となっている。難しい方程式や言葉を使わなくても、自分自身がもってる言葉や知識の中で、十分に宇宙と言うもの物事の事象もすべてあらわすことができるんだなぁと納得。
司法戦争/中嶋博行/講談社/C
「日本を震撼させるリーガル・サスペンス」、「最高裁の陰謀」、「圧倒的なスケールと驚愕の結末」というのが宣伝文句だったらしい。ストーリーは、アメリカの弁護士の日本への進出とそこで起こる軋轢という話になるのかと思いきや・・・情けないったらありゃしない。検察・警察・裁判所などの色々なグループのがそれぞれの思惑で動いているだけの寂しい話。その思惑も説明不足。
最高裁判所の調査官がアメリカのマクドナルドに対する「熱いコーヒー」の損害賠償裁判で巨額の懲罰的賠償金を払うべしという判決の話を話し合う(知っていると自慢しあう)ったり、日本で昔(沖縄がアメリカに占領されていた時代)、陪審制がとられていたことを知らなかったりと、おまえら本当に法律関係者なのか?と疑いたくなるようなシーンがあった。コーヒーの事件は大々的に報じられたことだし、陪審員制度については、社会で習った記憶があるぞ(^^; 本当に情けないったらありゃーしない。
第5期黎明編 宇宙皇子1〜8/藤川桂介/角川文庫/C+
十数年続いた宇宙皇子もこれで完結。地上編、天上編、妖夢編、煉獄編が各10巻、そして、黎明編が8巻と当初予定していた50巻にはならなかったけれど、最後の2巻が4巻分ということだそうだ。でもでも、なんかなさけない(^_^; それと煉獄編がノベルズのみで黎明編が文庫のみというへんな出版形態になっている。角川によると今後も文庫化する予定は無いんだそうだ(^_^;; ひどいなぁ。>角川
黎明編はやっとの思いで東北の地に夢想楽土を築き、それを守るために神の世界へいくことを拒む宇宙皇子。最後、神の世界へ導かれるまでを描いている。途中、回想部分として、地上、天上、妖夢、煉獄の各編の重要部分が挿入されているが、それが何度も何度もあるのがきょっと気に障る。ただの枚数稼ぎとしか思えなかったのが哀しいな。
嵐のルノリアグインサーガ71/栗本薫/ハヤカワ文庫JA/C++
とうとうナリスが決行しましたね。また、同時に敵方も姿を現わし、物語は佳境へ入ってきました。ほんと、このままのテンションで最後まで突っ切るのかと思うと、ほんと、わくわくします。(^^)
BH85/森青花/新潮社/C
ファンタジーノベル大賞受賞作。中年憧れの毛生え薬、なんのはずみか、生物と化して、どんどん増殖していく。それならずも、人類が一体となってしまうという発想に結びついているところに感心します。とても楽しめる物語っすね。(^_^)
ボーダーライン/真保裕一/集英社/C
主人公である私立探偵の抱えている問題と、最終的な物語で触れられる問題がいっしょになってるところがニクイねぇっといった感じがありますね。親子ってなんなのーと・・・。(ちょっとちゃうけど(^^;) でも、主人公の恋人が失踪し、最後に帰ってくるところは本筋とは違うのでいらないかなぁとおもいつつも最初に書いたように、この作品のテーマにも通じるところがあるので、やっぱ必要なのかもしれないと思ってします。でも、なければないで、それはそれでいいのかもね。
殺人鬼と化してる息子を我が手で殺そうと決心する父が最後に見たものはどんなものだったのか、また、それを見てどう思ったのかを考えると寂しいものがある。
霞町物語/浅田次郎/講談社/C
泣かせてくれますね、ほんと浅田次郎のあざとさには慣れてきてはいるけど、やっぱり泣けるもんは泣いちゃいますね。直木賞受賞作『鉄道員』以降、立て続けに出版された同系統の物語のラスト(^^; 主人公の青年物語と共に語られる写真館の描写、ボケてきたおじいさんに、気風うのいいおばあちゃん、そして、影の主役かもしれないお父さん。なかなかはっきりした脇役があればこその物語です。
崩壊〜地底密室の殺人/辻真先/カッパノベルズ/C
突然の大地震により、わずかな光も届かない地下23階に取り残されてしまった主人公。そこで発生する殺人事件。犯人はもちろん、被害者が誰であるかもわからない・・・なんとも興味のつきない設定であるが、実際に周りがみえず暗黒世界にひたっているのは主人公のみ。主人公が右往左往している姿は繰り返しが多く、ちょっとおおげさかも。ま、それはおいておいて、過去の事件が絡んで、ラスト近くの展開は思いもしなかった(というか、思いつきも出来ないっす(^^;)予想外の出来事が発生し面白かったです。最近の辻作品のなかではいいできかな?
他人の不幸は銭の味/鈴木輝一郎/小学館/C
ここんとこ、時代小説が続いていたので、久々の現代小説、それもちょっとした悪意(?)を織り交ぜた楽しい作品。思わずわらっちゃうネタばかり。ふふふ。(^^)
永遠の仔/天童荒太/幻冬舎/C
十七年前、児童精神科病棟で出会った三人の今と昔が交互に語られる。今、彼らのまわりで起こる殺人事件や放火、十七年前に起こった事件の謎・・・過去につらい思いをしてきた彼らは、だからこそ自分の周りにいる人たちを傷つけまい、悲しませまいと生きている。だがそんなふうに心を砕きすぎるあまり、必要以上に嘘を重ねたり人を傷つけたりしてしまう。
児童虐待・老人介護・痴呆・トラウマ・アダルトチルドレン・自己犠牲の皮をかぶった自己愛といった様々な問題が書かれているため、かなり心痛くなる物語である。こういった問題に直面していないために、自分には関係ないやと済ますことも可能であるけど、そんなことはできない。読み終わった後に、一度自分を振り返り、なにかしら考えずにはいられなくなる、そんな物語であった。。
刑事ぶたぶた/矢崎存美/廣済堂出版/C+
山崎ぶたぶたが刑事として登場。うーむ、思い浮かべるだけで笑い出してしまう。刑事なぶたぶた(^^)
新米刑事がぶたぶたのいる署にやってくるところからはじまる。ぶたぶたと対面するところから、彼とともに事件を追う姿を微笑ましく読むことができる。微笑ましいだけじゃなく、ぶたぶたならではのシーンがてんこもりなので、おもわず「かわいいっ!!」と言ってしまうでしょう。特に「完璧な囮」の章は爆笑かもしれないぞ(^^;
栄光一途/雫井脩介/新潮社/C
第4回新潮ミステリー倶楽部賞受賞作。オリンピックを控えた年、男子柔道81kg級のエースが薬物汚染。頻発する一撃必殺の通り魔事件。若き女子コーチ篠子は、極秘裡に真相究明にあたるが、その正義感に迷いが生じる・・・
爽やかさと同じに、その裏側にある醜さも見てしなわなければならない。現在のオリンピック代表選手を決める選考基準があいまいな日本では、こういったことが一般の人にはみえないんだろうけど、みんな心の奥では、こういうことが行なわれているんだろうなと思って足りするのだろう。
涙 流れるままに/島田荘司/カッパノベルズ/C+
吉敷竹史の元妻・加納通子は意識の底に眠る記憶をたぐり、数奇な運命に翻弄されてきた自らの半生を振り返っていた。少女時代に体験した悲劇の真相、そこに明かされる凄絶な過去・・・。昭和三十三年に盛岡で起きた、一家惨殺事件の再捜査に乗り出した吉敷が対面した関係者はなぜか、元妻、通子と因縁の深い人々だった。通子の数奇な運命が今、ここに明らかになる。
吉敷と通子の人生が再び交差するときがやってきた。読者はこれを望んでいたであろう。
この物語は、「加納通子の語られざる生涯」と「冤罪事件とは」という二点を元に語られる。今までも数多くの物語に登場し、不思議な行動、言動を繰り返していた加納通子。彼女の数奇なる生涯は上巻で多く語られる。一方、いつまで経っても青臭い正義感に囚われ、だけどそれゆえに読者の共感を呼ぶ警察官、吉敷竹史。彼は結審済みの四十年前の冤罪事件に、自らの辞職を賭けて取り組んでいく。通子の経験と吉敷の事件は奇妙な繋がりを見せながら、ラストで明かされる真相に向かっていく。
この物語の雰囲気を重く濃くしている理由は、吉敷と通子が経験する大きな喪失感。吉敷は数々の事件に関わることで、通子はその数奇ともいえる運命によって、二人が出会い別れることで、彼らは数多くのものが喪った。その場面場面が執拗とも思われるくらいに書きこまれており、目を背けたくなるシーンも多い。しかし、それらを読み終わった時点で得られるものはたくさんあるに違いない。
名探偵は密航中/若竹七海/カッパノベルズ/C
昭和五年七月。豪華客船・箱根丸は、横濱を出港、倫敦に向けて旅立った。しかし、船出早々、横濱で起きた奇妙な殺人事件の容疑者が、箱根丸に乗船していたことがわかり、大騒動に! さらに、男爵令嬢の逃亡事件、船内での殺人事件、幽霊船騒動等々・・・箱根丸の“訳あり”の船客たちが引き起こす奇妙な事件ばかり。そして意外な名探偵まで登場して・・・。
客船を舞台にしたオムニバス形式の連作短編集。独立した話に書き下ろし部分を加えてひとつにつなげたみたいな感じだけど、別に繋げなくても良かったんじゃないだろうか。一編一編がキチンとしてるから、替えって余計なエピソードが入ってしまったように見えなくもない。ま、ちゃんと連作となっているので、繋げるのが妥当なんだろうけど。そーしないと最後がわかんなくなるからね。