ヒヨコマメ栽培記録2001

(2001栽培記録を終って)

  
BGM:アマポーラ(ラカジェ)
 

 
世界に広く分布するヒヨコマメ、何故日本では栽培されないのか?
2001年9月から、最適栽培季節の確立を目指し温暖な静岡県における収穫を夢見て、
ヒヨコマメ栽培記録に挑戦した。

課題とチャレンジ
   1 最適栽培季節の確立            

       播種時期
      1 早い秋  9月
      2 遅い秋 11月
            3 早い春  3月初め
             4 春     4月
      5 初夏    5月
      6 夏     7月
   2 発芽率の改善
   3 越冬方法
   4 土壌の選択(水捌けを基準)
   5 昆虫寄生卵の排除 

 

1 最適栽培季節の確立

9月13日に播種し18日に発芽した「早い秋蒔き」≪←クリックで栽培記録≫のヒヨコマメとブラックチャナを 翌年5月30日(260日)に収穫した。収穫したヒヨコマメとブラックチャナの莢の数は、ヒヨコマメが1本当たり149個、ブラックチャナは298個であった。このうち実が含まれた結実莢はヒヨコマメが58個、ブラックチャナが145個であった。莢の中に、ヒヨコマメは1〜2個、ブラックチャナは2〜3個が含まれている。

 
収穫ヒヨコマメの莢の数

ヒヨコマメ 1 2 3 4 6 7 8 10 合計 平均
結実莢 35 52 203 21 134 26 48 10 529 58
枯れた莢 99 56 148 53 227 120 45 70 818 90
合計 134 108 351 74 361 146 93 80 1347 149

 収穫ブラックチャナの莢の数

Bチャナ 1 3 6 7 8 10 合計 平均
結実莢 159 150 145 106 199 115 874 145
枯れた莢 149 174 152 94 191 159 919 153
合計 308 324 297 200 390 324 1793 298

数字から見ると収穫が多かったように見えるが、完成した豆は少なく問題が多い。
1、枯れた莢が圧倒的に多く、枯れた莢には実が付いていない。
2、結実莢にはヒヨコマメに1〜2個、ブラックチャナに2〜3個の実が含まれているが、収穫時期が早すぎた。
3、雨が降ると枯れた莢が大量に落ちた。と言うことは、花が咲いても実が結実しない莢が大量にあったことになる。結実した莢は、ヒヨコマメでは全体の3割程度、ブラックチャナで、4割程度と推測された。

枯れた莢ができる原因は、じめじめした天候が関係していそうだ。花が咲き莢ができたあと雨が続くと莢が黄色になり枯れ始める。莢枯れ病の発生とも思われたが、雨(湿気)が原因と考えたほうがよさそうだ。 晴天が続くと黄変が少なく木に勢いが出るから。
雨が多く、湿気の高い季節に収穫するのは無理のようだ。

花が咲いて莢ができた頃、ブラックチャナが突然(1週間くらい)葉が黄色になって木全体が枯れることがあった。強い風が吹いて根の浮き上がりが枯れる原因と思ったが、風よりも雨が関係していそうだ。天候をはっきり記録してないが、雨が続いた後に枯れる木が出るようだ。ブラックチャナは4本枯れた。

冬の霜よけ、防寒に半円の支柱を立て、1週間の平均気温が11.4度、最低気温の平均が4.1度になった12月中旬にビニールシートを張った。根元に藁を敷いたこともよかったのか、1月2月の寒い時期に枝を伸ばし、2月中旬には50〜60センチに成長した。3月初め、平均気温が15度になり、ヒヨコマメとブラックチャナに花が咲いた時ビニールシートを撤去した。
冬にビニールのシートを張ったことは、霜よけ、防寒、さらに雨を防ぐ意味でも効果があったようだ。

苗の育成は通信販売で購入したヒヨコマメとブラックチャナを用いた。ビニールポットに市販の培養土をいれ、潅水させ1つのポットに3個、種を埋め込んだ。架台に乗せ屋外に放置した。
日中の最高気温が28度から30度で5日目に発芽した。発芽後7日目に約10cmに成長した苗を畑に移植した。発芽率はヒヨコマメが14/60と極端に悪かった。ブラックチャナは17/18と良かった。発芽率が悪い原因は、当初マメに寄生する虫によると考えたが、間違いで、外気温が高いとき水を与えすぎたためと考えたほうがよさそうだ。日中の外気温が20〜25度くらいで、水を与え過ぎないようにすると発芽率が上がる。
 

遅い秋蒔き」の狙いは、発芽した苗が寒さに強い若い状態で冬を越させ、えんどう豆と同様に、春に成長させて5月頃収穫するのが目的だ。

寒い冬を耐え春に芽を伸ばし実をつけたヒヨコマメを、発芽してから210日で収穫した。5月に花が咲き実をつけたが、6月に雨が続いたためか葉が枯れて実は未成熟で終わったものが多い。

収穫したヒヨコマメの莢の数

ヒヨコマメNO 10 平均
結実莢 46 95 6 11 39 0 13 210 30
枯れた莢 20 5 8 41 22 6 18 120 17
66 100 14 52 61 6 31 330 47

収穫したヒヨコマメの莢の数は、1本当たり47個であった。このうち実が含まれた結実莢は30個。莢の中に、ヒヨコマメは1〜2個が含まれている。

「早い秋蒔き」と「遅い秋蒔き」のヒヨコマメは、雨によるダメージを受けたが、ある程度収穫ができた。寒い冬を越すことによって、雨または湿気に強くなっている ようだ。雨の多い日本で収穫するヒントになるかもしれない。
 

3月2日に種を蒔いた「早い春蒔き」は、2週間で発芽し、4月2日約10cmに育った苗を 、ヒヨコマメとブラックチャナを夫々20本、畑に移植した。ヒヨコマメは背丈が25cmになった4月20日に花が咲いた。発芽してから35日である。
一方、ブラックチャナは、背丈が10〜15cmに育った5月初旬(5月6日)、ピンクの花が咲いた。発芽後50日である。

ところが、5月26日には、ヒヨコマメの葉が黒くなって木全体が弱って枯れ始めた。中旬頃、梅雨の走りと言われ雨が続いたためと思われる。天候が回復した6月初めに少し元気を取り戻したが、6月11日が入梅となり、6月末にはヒヨコマメもブラックチャナも葉が黄色になって、勢いがなくなった。ヒヨコマメは20本中8本、ブラックチャナは 20本中10本が枯れた。残った木に結実したマメの莢は茶褐色になり莢の中のマメは結実しないか未成熟のものが多く見られた。7月9日に収穫した。

ヒヨコマメの収穫はゼロ
収穫したブラックチャナの莢の数

ブラックチャナ
NO
1 2 12 13 14 18 19 20
莢の数 89 107 121 109 58 100 118 64
結実した莢 約3分の2に実が入っている



4月2日に種を蒔いた「春蒔き」は、ブラックチャナが7日、ヒヨコマメが10日で発芽した。
10cmほどに成長した苗を10〜13日目(4月23日)に畑に移植した。苗はしっかり根付いたが、5月の連休明けから天候がぐずつき成長が良くない。6月1 日にはヒヨコマメが3本枯れ、中旬には全部が枯れた。ブラックチャナは6月23日で2本が枯れ、20cm程度で成長が止まり、6月末には全滅した。水捌けの悪い畑で、梅雨の季節にヒヨコマメ、ブラックチャナとも成長できなかった。


5月14日に種を蒔いた「遅い春蒔き」は、ブラックチャナは4日、ヒヨコマメは7日で発芽した。発芽して2週間、10〜12cmに成長した苗を畑に移植した。畑に移植して30日、発芽してから45日(7月2日)でヒヨコマメに花が咲いた。ブラックチャナは花を付けなかった。この後、2週続いた台風6、7号でヒヨコマメとブラックチャナは大ダメージを受けほとんどが枯れた。立ち直ることはなかった。

夏蒔き」は、30度を越す真夏日が続く7月25日、畑にヒヨコマメとブラックチャナを2畝ずつ直播きした。ブラックチャナは5日目、ヒヨコマメは7日目に発芽した。最終的に20%の発芽率であったヒヨコマメは空きのスペースにポットで育てた苗を追加した。追加した苗は11本。これまでの経緯から、ヒヨコマメに雨が大敵であることがわかってきたので、夫々1畝に雨除けのビニールシートを張り、残る1畝はシートを張らずにコントロールとした。

発芽して41日目(9月10日)に、ヒヨコマメに花が咲いた。ブラックチャナは遅く、80日(10月19日)で開花した。
9月半ばに雨が続き、ヒヨコマメはダメージを受けた。雨除けをしたヒヨコマメには花芽はつくが萎れて落ちる。咲いた花は莢がつかない。
10月初め秋晴れが続き、日中の気温が27,8度に上がった。雨除けをしたヒヨコマメは元気を取り戻し、白い花が沢山咲き始めた。10月19日、ヒヨコマメに3個の莢が確認できた。

ブラックチャナもその頃初めて花が咲いた。

11月になって、最高気温が20度を切り、最低気温が10度を下回る日が続いた。莢を付けたヒヨコマメは実の成長が止まり、莢は黄色になって枯れた。花は咲き、莢ができても実が成長せず、莢が枯れる状態が続く。木全体の勢いが衰えている様子。

11月下旬にヒヨコマメの花が沢山咲いた。日中の気温が15度に下がり、最低気温は2.6度だ。寒風の中で白い花が沢山咲いている。11月半ばは気温は下がったが、雨が少なかったことが花を咲かせた誘引かと思われる。しかし、結実した莢はいずれも枯れて黄色になり、中の実はいずれも未成熟だった。

秋晴れに花を咲かせたヒヨコマメは結実しないで萎む花がほとんどだ。寒さのためか、枝から伸びた花軸(花芽が伸び花弁までの軸、軸の先端に花が付く)が黄色になって花が枯れ、結実しないで花が萎れて落ちる。結実した莢もかなりの数あるが、莢の中の実(ヒヨコマメ)は成長が遅く、ほとんど未成熟だ。

ブラックチャナは花が咲き結実した莢が多数見られるが、莢の中の実(ブラックチャナ)は、ほとんど未成熟だ。寒さの為か、実が成長する前に花軸が枯れるようだ。結実した莢は、夏に収穫したものに比べ小粒だ。

寒い季節に、ヒヨコマメとブラックチャナの収穫を期待しても多くは望めない。夏に種を蒔いて、秋または冬に収穫するのは無理と判断する。

雨除けシートは、ヒヨコマメには明らかに効果が有った。9月半ばの雨続きの時、雨除けのないヒヨコマメは大半が枯れた。ブラックチャナははっきりした差はなかった。

ヒヨコマメに雨は大敵だ。ヒヨコマメは高温、半乾燥地帯の植物と言われている通り、日本の梅雨時期に成長させ、収穫するのは無理のようだ。露地栽培では、晴れの日が続く5月中旬頃までに収穫できるように栽培することが必要のようだ。

静岡県藤枝市の気候条件において1月に種を蒔き5月に収穫するには無理がある。最適栽培季節は、秋に種を蒔き、霜除け、保温をかねたビニールトンネルで越冬させて5月に収穫する のがベターなようだ。

 

2 発芽率の改善

季節を変えて、播種した発芽状況は以下の通り。

ヒヨコマメ

播種年月日 種の数 発芽数 発芽率% 要発芽日数 気温(max) 培養土 産地
01.9.13 60 14 23 5日 28.0-29.9 タキイ育苗培養土 P
01.11.18 60 42 70 2〜4週間 8.5-22 昭和培養土 P
01.11.20 60 13 22 2〜4週間 8.5-22 赤玉土(小) P
02.3.2 60 54 90 14〜25日 11.8-22.8 昭和培養土 M
02.4.2 60 34 56 10〜18日 16.2-26.8 昭和培養土 M
02.5.14 60 39 65 7〜14日 16.7-29 タキイ育苗培養土 M
02.8.4 60 16 25 4〜13日 30.7-36.6 昭和培養土 M
02.8.2 44 9 20 7〜14日 30.7-36.6 畑直播き M
02.9.29 60 46 77 6〜9日 22.7-30.6 昭和培養土 M
02.9.29 60 59 98 4〜9日 22.7-30.6 昭和培養土 P

要発芽日数:最初の発芽から最後の発芽までの期間
気温(max):発芽期間中、静岡の最高温度の範囲、asahi.com静岡より
P:パキスタン  M:メキシコ

ブラックチャナ

播種年月日 種の数 発芽数 発芽率% 要発芽日数 気温(max) 培養土 産地
01.9.13 18 17 94 5日 28.0-29.9 タキイ育苗培養土 不明
02.3.2 60 55 92 14〜25日 11.8-22.8 昭和培養土 不明
02.4.2 60 43 71 7〜18日 16.2-26.8 昭和培養土 不明
02.5.14 60 50 83 4〜14日 16.7-29 タキイ育苗培養土 不明
02.8.4 44 36 82 5日 30.7-36.6 畑直播き 不明
要発芽日数:最初の発芽から最後の発芽までの期間
気温(max):発芽期間中、静岡の最高温度の範囲、asahi.com静岡より

ヒヨコマメの発芽率は、外気温、培養土、水の与え方に影響を受ける。
1日の最高気温が28℃を超えると発芽率が極端に落ちる。腐敗したマメが多く見られる。
15℃以下になると発芽が遅くなり2〜4週間かかるが発芽率は高くなる。1日の最高気温が20℃から25℃くらいの季節、4月、10月頃が最適で、7日から10日くらいで発芽する。

培養土は、赤だま土や、畑の直播きでも発芽する。水捌けがよく、適度の肥料を含む昭和培養土(昭和培土株式会社、花と野菜の土)が最もよかった。

水の与え方は、与えすぎるとマメが腐敗する。最初にたっぷり与えた後は乾燥に近くなるまで与えず、途中で1度か2度与えて半乾燥の状態を保つのがよさそうだ。

ブラックチャナの発芽率は外気温、特に低温以外影響が少ない。
30度を超える炎天下でも、4日から5日で発芽するが、1日の最高温度が15度以では発芽が遅くなり、2から3週間かかる。
培養土は、畑の直播きを含め、どの培養土でもよく発芽した。
水やりは、炎天下で、たっぷり与えても腐敗することなく発芽した。
たっぷり水を与えた後、半乾燥の状態でよく発芽する。

3 越冬方法

エンドウマメと同じように、秋に種を蒔き越冬させて、春に芽を出させ初夏に収穫する目的で、越冬を検討した。

「早い秋蒔き」のヒヨコマメは、9月に種を蒔き、約30cmに成長した状態で、12月にトンネルにビニールをかけ2月末まで、 保温と霜除けをかねてトンネルの中で越冬させた。越冬中に苗は成長して50〜60cmくらいに伸びた。3月初めに花が咲き4月初めに満開となり、4月中旬結実した。

「遅い秋蒔き」のヒヨコマメは、11月に種を蒔き12月に発芽した苗を畑に移植して、竹の笹で覆い霜除けをした。5〜10cmの、苗が小さい状態で越冬させ、保温は特別にしない。 1月2月は寒さのため、苗はほとんど成長しなかった。3月末に約20cmに成長し、5月初めに花が咲き6月初旬に結実した。

どちらのケースも越冬は可能であったが、ビニールのトンネルの中で越冬させる方法が冬季にも成長して、梅雨の前に収穫できる。霜除けだけで、越冬させると冬季に成長がなく、開花が遅くなる。9〜10月に播種してビニールトンネルの中で越冬させる方法が好ましい。

4 土壌の選択(水捌けを基準)

雨が続くとヒヨコマメがダメージを受け枯れることを、「早い春蒔き」、「春蒔き」、「遅い春蒔き」で確認した。雨に触れて枯れるのではなく、土壌の水捌けが悪く、根がいたんで結果的に枯れるものと思う。また、結実時期の雨は莢枯れをおこし、莢の中の実が未成熟で終わる。水捌けのよい、半乾燥の土壌での栽培が好ましいようだ。

水捌けのよい砂地での栽培」を、「遅い秋蒔き」の苗を使って試みたが、遠隔地であったため、冬の越冬が上手く いかず、また、雨によるダメージも有り、花を付けずに全滅した。
条件を整えて再度挑戦したい。

5 昆虫寄生卵の排除

収穫の見込みが立たず、未検討。                                        

                                                                                            以上            
                                                                                            2002.10.24