カエデの名前の由来

Acer という学名:ラテン名

 Acer は裂けるの意味があり、葉が切れ込んでいることに由来します。本田正次「植物学のおもしろさ」によると、ラテン語ではCはKの音になるそうで、アケル、アーケルが近い読み方らしい。アーセル、アーサー、アセル、エーサーなどとも読まれているそうです。acris が元で「剛」、材が堅いの意味もあります。

maple(英米):メープル、 Ahorn(独):アーホーン、
erable(仏)、aceri(伊):アチェリ、槭(中国)

日本では、普段「楓」の字が使われていますが、このホームページでは、もみじモミジ、あるいは、カエデと使います。植物学的には、 を用います。類似の葉形をもつ「フウ」という木の漢字が「楓」なのです。

斎藤正二「カエデと日本人」には次の記事が見られます。

「-----、古代律令貴族知識人たちは万事に中国詩文の論拠がないかぎりは安心できなかったために、日本の「カエデ」と中国の「楓」とを同一視しようとし、おかげで、後代の人々までを混乱に引き入れることとなった。」

中国フウ(Chinese sweetgum)は3つの裂片、アメリカフウ (sweetgum) は5つの裂片からなります。アメリカフウはモミジバフウともいいます。カエデと同じく紅葉しますが、葉の付き方は対生ではなく互生、種子は集合果の形が球形で、カエデとは異なります。植物図鑑でご確認ください。フウはカエデ科ではなく、マンサク科に属します。アメリカフウは街路樹として見かけることが多く、下の写真のように、葉の形だけからはもみじと思ってしまいます。

2つの「楓」の写真を示します。


中国フウ (左)とアメリカフウ (右)


中国フウ、小石川植物園にて


アメリカフウ(モミジバフウ)、小石川植物園にて

カエデともみじ

カエデの名は万葉集に「かえるで」とあることからきているようで、葉の形がカエルの手(足)に似るからといわれています。また、とさかのように紅いことから「鶏冠木」とも書かれました。

モミジの方は「もみづ」という言葉からきているようです。「もみづ」は木々の葉が色変わりする、秋になって葉が紅く、あるいは、黄色くなることを意味していましたが、カエデ類が紅葉する樹木の代表であるということでカエデ属をモミジというようになったとされています。

植物分類上ではカエデともみじは区別はしません。

盆栽界では区別されていて、イロハモミジ、ヤマモミジ、オオモミジなど葉が5つ以上に切れ込んで掌状のものをモミジと呼び、トウカエデ (切れ込みが3つのもの) 、あるいは、他の種類のものをカエデと呼んでいるようですが、地域により使われ方の違いはあるようです。

参考図書;上原敬二:「樹木大図説」、妻鹿加年雄:NHK趣味の園芸「モミジ」(以上、1998年記述)

「もみじ」の意味には、「紅葉、黄葉、カエデ、シカの肉、麦のふすま、もみじ鮒、かさねの色目の名、もみじ卸し、紅葉笠、紅葉山文庫、紅葉狩り(紅葉観賞行楽、能の曲名、新歌舞伎十八番の一つ、長唄地唄曲名)」などが見られます。 このように、日常生活では「もみじ」の意味は、日本文化の長い歴史の中で極めて多岐に渡り使われており、「カエデ」は植物名の意味として比較的限定的に使われることが多いようです。

また、「やまもみじ」という言葉も、種としての植物名「ヤマモミジ」の意味から、イロハモミジやオオモミジを含めた「ヤマモミジ」の意味、更には、山に生える「もみじ」の全般、あるいは、一部を意味することもあり、併せて、地域により、生活習慣などにより言葉の意味の範囲が異なってくるようです。 (2008年追記)

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