園芸品種         English

 日本ではカエデ類は観葉植物として広く愛され、多くの園芸品種があります。徳川時代の地錦抄には100 品種を、明治15年の品便覧には202品種を解説しています。(北村、村田:原色植物図鑑より引用) 上原敬二「樹木大図鑑」には、かなりの数の園芸品種が説明されています。また、妻鹿加年雄:NHK趣味の園芸「モミジ」には、一覧表と写真があり、「朝日園芸百科14」花木編−1(朝日新聞社)にも、写真付きで説明がされています。さらに、J. D. Vertrees:「Japanese Maple(もみじとカエデ)」,Timber Press には詳細な写真が豊富に載せられています。

中尾佐助「花と木の文化史」(岩波新書)の「日本の花の歴史」の項には次のように述べられています。

「落葉樹ではカエデの改良がすばらしい。日本には紅葉する樹木は多いが、栽培下で多数の品種ができたのはカエデ類だけであろう。日本のカエデの栽培品種は珍しくも多くの異なった種からとりだされている。(中略)そのほとんどは枝変りから選択されており、交配はない。元禄の頃からモミジ品種が区別されており、江戸時代にジリジリと品種数が増加し、明治、大正、昭和までなかなかよく保存されてきた。」

園芸品種は天然のカエデにはない繊細な味があり、庭木や盆栽として日本のみならず、外国でも愛されているようです。欧米の植物図鑑やインターネット上では、日本のカエデの一部としてしばしば掲載されているのを見ることができます。また、園芸品種の特徴としては、葉の形が細く変化したり、縮れたり、ふや斑点が入ったり、葉緑素が減って白っぽい色の葉になったり、発芽時の色が鮮やかであったり、年中紅い葉をしていたりします。また、園芸品種はその種をまいても原種に戻る傾向があるようです。

この領域では日本の技術と伝統は世界一ではないかと思われます。しかし、近年においては、欧州、アメリカ合衆国において日本よりも大規模に栽培されています。

妻鹿加年雄氏は園芸品種を次のように区分けしています。(NHK趣味の園芸「モミジ」:p136〜140)

トウカエデ系:

唐カエデ、五色カエデ、幣取山(ぬさとりやま)、宮様カエデ、蓑八房、鳴門カエデ、武蔵などがあり、ここで、宮様カエデは別名「台湾唐カエデ」でトウカエデの変種で学名をもっています。("var.formosanum Hayata")

ウリカエデ系:斑入雌瓜木、初雪カエデ 

ネグンドカエデ系:黄斑ネグンドカエデ、黄葉ネグンドカエデ、白斑ネグンドカエデ

イタヤカエデ系:常磐カエデ、星宿(ほしやどり)

ハウチワカエデ系:板屋、舞孔雀、孔雀錦、黄金板屋、三笠錦

黄金イタヤ、青イタヤなどの園芸品種でいうイタヤは天然種のイタヤカエデではありません。そして、葉の外観からは、ハウチワカエデよりもオオイタヤメイゲツと思われます。

ヤマモミジ系(イロハモミジ系、オオモミジ系、ヤマモミジ系)

ヤマモミジ、珊瑚閣、桂、青柳、千染(ちしお)、青崖(せいがい)、清玄(せいげん)、獅子頭、土蜘蛛、置霜(おくしも)、青七五三(占の内)、琴の糸、扇流(おうぎながし)、清竜(せいりゅう)、羽衣、腰蓑、大盃、爪柿(つまがき)、鴫立沢、小紋錦、錦重(にしきがさね)、旭鶴、限り錦、日笠山、琴姫、八房(やつふさ)、花泉錦(かせんにしき)、十寸鏡(ますかがみ)、翁、袖内、野村、猩々(しょうじょう)、大明(たいみん)、奥州紅(べに)、千歳山、飯島砂子、紅枝垂(手向山)、野村枝垂、青枝垂、外山錦(とやまにしき)

他に、鹿紅葉、竜田川、柵(しがらみ)、朝霧、嵐山、通ひ、名月、時雨山、通天、八染(やしほ)、飛鳥川、唐錦、夕霧など枚挙にいとまがありませんが、万葉、古今などの歌にその名が由来するものがあります。(巻末文献 No.1 による)また、「錦」は葉に斑点をもつとみてよいでしょう。

園芸品種のいくつかの写真を紹介します。まず、トウカエデ系のもの6種を示します。


和光錦(武蔵丘陵森林公園)

宮様カエデ(自宅)

蓑八房(浜松フラワーパーク)

丹頂カエデ(浜松フラワーパーク)

宮様八房(浜松フラワーパーク)

花散里(浜松花博)

次に、ウリカエデ系、ネグンドカエデ系のものを示します。


初雪カエデ(浜松フラワーパーク)

ネグンドカエデ

ネグンドカエデの園芸品種を示します。

黄斑ネグンドカエデ(武蔵丘陵森林公園)

オーレオマルギナータム

フラミンゴ(浜名湖花博)

ケリースゴールド

次は普通のイロハモミジです。若葉は赤みがあり、すぐに緑色になります。
イロハモミジの園芸品種をいくつか見てみましょう。


イロハモミジ

イロハモミジ

シンデショウジョウ (フラワーパーク)

ビホウ (浜松花博)

まず、芽吹き時の赤が鮮やかな千染、出猩猩、そして、カツラ、黄緑色にまわりにピンクの外周をもつ日笠山、更に、琴姫、獅子頭です。


チシオ(千染、血汐)

デショウジョウ(出猩猩)

カツラ(桂)

ヒカサヤマ(日笠山)

コトヒメ(琴姫)

シシガシラ(獅子頭)

次には、雄獅子、葉が小さい(標準のイロハモミジの葉の半分くらいの大きさ)八房、早春時に枝が赤くなる珊瑚閣、更には浜千鳥、青雲閣、旭鶴を示します。


オジシ(雄獅子)

ヤツフサ(八房)

サンゴカク(珊瑚閣)

ベニチドリ(紅千鳥)

セイウンカク(青雲閣)

アサヒヅル(旭鶴)

次は、オオモミジです。

オオモミジの園芸品種を見てみましょう。


オオサカズキ(大盃)

オオカガミ(大鏡)

イチギョウジ(一行寺)

アキヤマベニ(秋山紅)

サツキベニ(五月紅)

ハマオトメ(浜乙女)


ウメガエ(梅ケ枝)

シメノウチ(〆の内)

ノムラ(野村)

ツマガキ(爪柿)

クラブヤマ(暗部山)

チトセヤマ(千歳山)


コトマル(琴丸)

タツタガワ(立田川)

オウシュウベニ(奥州紅)

ベニカガミ(紅鏡)

ショウジョウ(猩猩)

セミノハネ(蝉の羽)

最後に、ヤマモミジの園芸品種を見てみましょう。


アオシダレ(青枝垂)

アカシダレ(赤枝垂)

タロウヤマ(太郎山)

シギタツサワ(鴫立沢)

マスカガミ

サザナミ

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