2005年08月07日 【CD新譜】寺島尚彦合唱作品集
フォンテックが突然に合唱CDの新譜を複数発売したので、早速聴いてみる。発売日は7月下旬で、店頭に並び始めたばかり。
○平松剛一指揮平松混声合唱団、ピアノ:渕上千里他(FONTEC,EFCD4091)2004,5年
小さな協奏曲
ことりがそらを
さあ!!
ぼうし
海の比喩
街は大きくなりすぎた
風のマーチ
百日紅
海を見たくない今は
鎌倉は子守歌
風のたんぽぽ
野菜サラダ物語
この日
雨よふれ
レクイエムのように子守歌
さとうきび畑
音楽界の菫(これのみ2001年ライヴ、ピアノ:作曲者、電子オルガン:本橋麻衣子)
よく「自家薬籠中のレパートリー」という演奏批評の決まり文句を目にするが、この演奏家にとって、寺島尚彦作品こそは、正にその表現がぴったりとあてはまる。何しろ「ひらこんのてらこんさおと」シリーズは13回を数え、曲数も100曲以上という。歌詞の日本語がはっきりと聞き取れる平松混声合唱団だからこそ、この平易な合唱曲たちは映える。なかなか、他の合唱団では、こうはいかない。超有名な「さとうきび畑」だって、歌詞カードを見ずに歌詞が聞き取れるかどうかで、聴衆の感動の度合いは変わる筈である。
この演奏に不満を覚える合唱人がいるとすれば、それはたいていの場合、合唱団の人数の少なさから来る、響きの薄さが理由になるだろう。ピアノとのバランスにおいて、やはり少し弱めに聞こえる。この点はコンサート会場でも同様だが、生演奏の場合、ここぞという場面で合唱の声が伸びてくるから、響きの薄さも忘れてしまう。ただ自宅でスピーカーを通して聞くと、どうしても録音による声の再現には制約がある。
いつものことだが、渕上千里氏のピアノは、合唱ピアニストを志す方に是非とも耳を傾けていただきたい。合唱ピアノが、どういう場面で、どのように目立てばいいか。また、合唱ピアノで、あるべき音の美しさとは。渕上氏のピアノには、一つの解答がある。
曲としては、「さとうきび畑」以外では、「海を見たくない今は」、「鎌倉は子守歌」あたりの人気曲が、やはり雄弁だ。最後の「音楽界の菫(すみれ)」は、作曲者のピアノと電子オルガンが加わって、会場を手拍子が満たし、とても楽しい雰囲気だ。今は亡き作曲者。間違いなく演奏家たちには、かけがえのない思い出の一場面だっただろう。
寺島尚彦の合唱作品を聴き比べてみたい人には、もちろん大いに推薦盤。
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