2004年05月13日 【CD新譜】ワイルドのラフマニノフ
○Earl Wild's Legendary Rachmaninoff(IVORY CLASSICS,74001)82,83,91年
今日の時点では、僕の「ピアノ音楽探索記」のラフマニノフの項が完成していないので、この音源には触れていないが、これこそ、ピアノ演奏の極致を示す音源の一つだ。初めてこの音源を知り合いに聞かせてもらった時は驚いたものだ。こういう芸術が世の中に存在すると、普通のピアノ曲だけでは飽き足らなくなる。オリジナルのピアノ曲には無い、トランスクリプションの魅力にのめりこむきっかけを与えてくれたものだ。当時と比べて今は幸せな時代になったものだと思うのは、これらの楽譜も簡単に入手できること。
1915年生まれのアメリカのピアニスト、アール・ワイルドが、自身が6歳の時に初めて聴いたというラフマニノフへのオマージュとして、歌曲をピアノ独奏に編曲したもの。
上述の、僕が初めて知った時の82年録音音源には12曲が収録されており、マイナー・レーベルで、今や入手は簡単ではない。今回はアイヴォリー・クラシックスが、その貴重音源を再発売してくれた(但し、全体の収録時間の関係か、「春の奔流op.14-11」が省略されてしまっているのは嬉しくない)。それに際して、CHESKYレーベルから出ていた91年録音の4曲もまとめ、さらに、初発売となる83年モントリオール・ライブの3曲(op.4-3,14-11,21-7)を加え、78分弱の収録時間になった。
編曲・演奏の魅力については、僕の文章能力では、全く伝えることができない。とにかく、ラフマニノフの甘い旋律が好きだという人には、是非一度、耳を傾けていただきたいとしかいえない。
ただ、今回の再発売に際して、僕が期待していた「音質の改善」については、残念ながら成されていないようだ。この音質の貧弱さは、もしかしたら、編曲・演奏の素晴らしさを全く台無しにしていると言っても過言ではないほどかもしれない。当盤を聴いて「つまんない」と感じる人がいるとした、原因の大部分は音質によるものではないかと思う。83年のライブも、ライブならではの良さがあるのはもちろんだけれど、これも音質面で非常に損をしている。
まあいずれにせよ、それなりに流通状況が良いレーベルから出たのは大歓迎、慶賀すべきことである。推薦盤。
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