2007年02月03日 【CD新譜】広瀬悦子「ファンタジー」
○ファンタジー/広瀬悦子(COLUMBIA,COCQ-10)2006年
収録曲:
モーツァルト/幻想曲ニ短調K397
シューマン/幻想曲
ラフマニノフ/幻想的小品集op.3
リスト/ダンテを読んで
このアルバム、発売は数ヶ月前だが、その時に一度聴いて、大変失礼ながら「つまんない」と感じて放っておいた。その後、最近になってようやく2回目に聴いたのだが、最初の感想が不適切であったことがわかった、反省。
結論としては、日本の若手の女性ピアニストの中で、広瀬悦子さんが抜きん出た存在であることを再確認できた、ということになる。
特筆したいのは、シューマンだ。僕が最初に「つまんない」と感じたのは、この曲の最初の数小節を聴いてのことだったが、あらためて聴いてみると、全曲にわたって、実にいろんなことをやっている。ここまで、細部にわたっていろんなことをやる演奏というのは、無かったかもしれない。こういうのを聴くと、彼女の実演を思い出す。前に書いたが、この人は音色のパレットが豊富なピアニストで、この録音だと、「きっとこういうことがやりたいのだろうけど、実演では音色が違うだろうな」と思わせる場面がたくさんあって、歯がゆくなる。それを差し引いて、とにかくいろんな工夫を見せている。もし彼女が、自分の力だけで、楽譜からこういうことを感じているのだとしたら、本当に素晴らしいことである。
ただし、僕はこの演奏を聴いて、音楽表現の難しさを、これまたあらためて確認した。こういう演奏は、逆に、シューマンの音楽の欠点を顕在化させてしまっている気がするのだ。この曲の演奏史上、屈指の演奏ではないかと思うのだけど、屈指であるから素晴らしいというのではない。屈指であって、音楽の魅力を削いでいるというのが、僕の感想だ。
最後のリスト、あるいはラフマニノフの一部の曲も、本当にいろんなことをやっている。ただ豪快に弾き飛ばしているだけではない。こういうことができるのは、広瀬さんが演奏技巧の点で、何でもできるピアニストだからである。こういう人は、日本にはそうそういない。
ということで、これからも彼女の動向には注目していくことにします。
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