2007年08月25日 【CD新譜】カデンツァ6種によるベートーヴェン
○ピアノ:Rische、Bosch指揮Berlin Deutsches SO(ARTENOVA,82876 82586 2)2005年
アルテノヴァ・レーベルから、協奏曲や独奏曲で20世紀作品のアルバムを出しているピアニスト、ミヒャエル・リシェの新譜は、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番をテーマにした企画もの。第1楽章を6種類、即ちベートーヴェン本人、モシェレス=ブラームス、アルカン、シュルホフ、ウルマン、演奏者本人にカデンツァで弾き分けている。第2楽章と第3楽章は、それぞれ1トラック。
演奏のテイストは全体的に抒情的で、録音されたファツィオリのピアノの音の美しさが印象に残る(僕の手許にあるファツィオリ使用の録音としては珍しいことである)。
6つのカデンツァの中では、けったいなアルカン作が、やはり断トツに面白い。ここまでベートーヴェンの諸作を引用した、規模も大きなカデンツァは痛快である。シュルホフ、ウルマンのカデンツァは初めて聴く気がするが、後者は真摯で割と普通。前者に20世紀を感じる。残念なのは、演奏者自身のカデンツァで、もう少し面白いものを期待していたのに。
また、やはりこのディスクの残念な点は、特に第1楽章のカデンツァ以外の部分が、音楽的にそれほど面白くないことだ。カデンツァだけが楽しければいいというものではない。
良くないと感じた点も正直に書いたが、せっかくなので、是非第4番でこういう企画をやってもらいたい。こういうピアニスト、応援したい気になる。
(追記)上記も含め、ピアノ協奏曲第3番の11人よるカデンツァを収録した楽譜が、2007年にSCHOTTから出版されており、ピアニストのRischeが編集している。11人とは、アルカン、ベートーヴェン、フォーレ、リスト、モシェレス、リシェ、ファジル・サイ、シュルホフ、クララ・シューマン、スメタナ、ウルマン。上記のCD、収録時間が61分だから、もう少しカデンツァを増やしてくれればよかったのにという気もする。
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