寺嶋陸也(てらしま りくや、1964-)

 僕とほぼ同年代の作曲家で、僕自身も学生の頃から名前には注目していた(どういうわ
けか、彼が出身高校のマンドリン部の指揮をするのを見たこともある)のだが、あれよあ
れよという間に合唱界で名を成してしまった。全体像を全く把握していないのだが、合唱
曲の量だけでも、相当なものがある筈だ。何を措いても優れたピアノ演奏家で、彼はよく
合唱の伴奏をやるのだが、自作など、彼以外にはこんな風には表現不可能だと思わせるく
らい、音楽的に優れた演奏をする。逆に言えば、彼以外の演奏家による演奏可能性は非常
に低くなる、ということだが。林光、萩京子氏らと共同作業が多いことは周知の通り。林
光は別格として、例えば萩京子氏は合唱曲「飛行機よ」がそれなりにヒットしているけれ
ど、寺嶋氏に関しては、どの作品も非常に高水準なのに、まだ大ヒットに恵まれていない
気がするし、僕自身も、これという作品に出会っていない。しかし、委嘱初演も出版楽譜
も多く、その量は加速度的に増えている印象がある。今後、更に注目していきたい。

○栗山文昭の芸術2/栗山文昭指揮、ピアノ:作曲者(VICTOR,VICS-61092)2003年
 女声合唱とピアノのための「二月から十一月への愛のうた」
 女声合唱とピアノのための「大地の貌」 以上、うつのみやレディースシンガーズ晶
 混声合唱とピアノのための「みち」 以上、宇都宮室内合唱団ジンガメル
 この アルバムが出るまでは、一般発売盤でこういうのは無かったのである。収録曲の
 方は、僕との相性は良くないが、「大地の貌」のピアノソロパートは一聴の価値あり。
○信濃のこどもうた/岩崎洋一指揮北九州市少年少女合唱団、ピアノ:宮崎由紀子
 (VICTOR,VICS-61019)98年
 児童合唱曲集で、木下牧子、吉岡弘行両氏の作品を併録。曲に関する解説が全く付いて
 いないのは不親切。合唱だけをとればとても上手だが、ピアノとのピッチ差という、児
 童合唱団にありがちな問題を感じさせる。実演ならさほどではなくても、録音になると
 気になる。
○藤井宏樹指揮樹の会(NAR,NARC-2053/4)2009年ライヴ
 おもろ・想い(混声合唱とピアノのために)
 女の象 より1,3,4(女声合唱とピアノのための)
 スペイン警官隊のロマンス
 遅咲きのライラックが前庭に咲いたとき
 花三題
 見渡せば(混声合唱とピアノのための)
 オホーツク・スケッチ(男声合唱のための)
 五つの宮崎民謡(女声合唱とピアノのための)
 四つの福島民謡(混声合唱とピアノのための)
 春に
 寺嶋作品だけを集めたライヴ録音2枚組。これは寺嶋作品ファンにとってはたまらない
 アルバムだろう。僕としては、明治の唱歌を編曲した「見渡せば」に、最も好感を持っ
 た。また、CD2の一連の民謡編曲も、なかなか楽しめる。
○栗山文昭指揮栗友会、ピアノ:作曲者(NAR,NARC-2055/6)2009年ライヴ
 ろくもんめコンサートのライヴ録音。まず「コワレタイ」組曲(2009)で、演奏は女声合
 唱団彩と松本女声アンサンブルAZ。そして栗友会の合同合唱で「ひかり」。

 以下はセット物音源の存在情報。
○夜明け〜アメリカ大陸先住民の詩による、PSALM49/八尋和美指揮東混
 みち(混声)/樋本英一指揮東混、ピアノは全て作曲者
 「セット21世紀」第14巻。PSALM49は、オックスフォード大学モードリンカレッジ聖歌
 隊の委嘱による、無伴奏混声合唱曲。



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