ミヤスコフスキー(MIASKOVSKY,Nikolai、1881-1950,ロシア)
ロシアの後期ロマン派の一人で、グレン・グールドもその作品を評価していたというミ
ヤスコフスキー。ピアノ曲も3桁に及ぶ量があり、ピアノソナタも出版作が9つある。イ
ギリスの俊英ピアニスト、マクラクランが全集を入れており、手許にそのうちの一枚。
○McLachlan(OLYMPIA,OCD214)88年
最初期の第1番は、作曲を学ぶ人が若くしてピアノソナタ「第1番」を書くとこうなっ
てしまいます、という風情の、4楽章制で30分かかる大作。どこまでも真摯である。し
かし第2番からはスクリャービンの延長線上に位置づけられる作風を見せる。ここでは
第2、3番が収録されているが、特に第3番はミヤスコフスキーの最高傑作という人も
いるほどで、時折グレゴリオ聖歌「怒りの日」も引用し、演奏効果のある一楽章制の佳
品。もう1曲、第6番は田園的ムードで旋律がわかりやすい。特に第2楽章は、モロ子
守歌である。この一枚は、ピアノマニアなら聴いてみて損はないだろう。
もう少し探索してみたいが、手許にはもう一つ。
○Burstein(VAI,VAIA1206)2001年ライヴ
ピアノソナタ第4番から間奏曲とフィナーレ。特に終楽章における激しい不協和音は、
プロコフィエフを想起させ、演奏効果があがる。演奏するロシアの若手ピアニストは、
ミヤスコフスキーを買っているそうだ。が激しい。マイアミ・インターナショナル・ピ
アノ・フェスティヴァルのライヴ。
ミヨー(MILHAUD,Darius、1892-1974、フランス)
作品番号3百幾つ、みたいな表記を見るたび、一体何者と思ってしまうミヨー。ミヨー
のピアノ曲で、まず最初に名前が挙がるのは2台ピアノのための「スカラムーシュ」だろ
う。この底抜けの明るさは、やはり一定の魅力がある。
○Bruk & Taimanov(PHILIPS,456736-2)68年年
○Labeque(PHILIPS,426284-2)89年
○Nettle & Markham(CARLTON,30366 00142)93年
手許には以上の音源があるのだが、もっと良いのが欲しいところだ。いずれも悪い演奏
では無いのだが。
2台のピアノのための作品で「2楽章形式の4つの舞曲」の音源。
○Joy,Robin(ERATO,WPCC-3329国内盤)74年
さてピアノ独奏曲も、全集にすればCD3枚分の分量になるようだ。手許にある少ない
アルバムから。
○Eidi(DISCOVER,DICD920167)89年
収録曲:ソナタ第1番;春 第1、2巻;秋;4つのスケッチ;ソナチネop.354
明るい強烈な音楽が多いのかと思いきや、収録曲は、ボヤヤンとした印象の物が多い。
その中で印象に残ったのは、「秋」の第3曲「Adieu」のきれいな旋律くらいか。演奏
者自身の解説でも、この小品は“jewel”と表現されている。
○Choveaux(DISCOVER,DICD920427)
収録曲:組曲op.8;ソナチネop.354;ソナタ第1、2番;Hymne de glorification op.331
上記Eidi盤と収録曲が重なっている。「組曲」がなかなかの力作かもしれない。
管弦楽曲「屋根の上の牛」を作曲者がピアノ4手用に編曲したもの。似たような楽想が
続き、自分で演奏したこともあるが、長く感じられる。
○Jordans & Doeselaar(CHALLENGE RECORDS,CC72104)2001年
手許には管弦楽とピアノのための作品を集めたアルバムがある。
○ピアノ:Helffer、Robertson指揮Orch.National de France(ERATO,3984-21347-2)92年
収録曲:Le Carnaval d'Aix op.83b; Ballade pour piano et orchestra op.61;
Cinq etudes pour piano et orchestra op.63;ピアノ協奏曲op.127-1;同op.295-4
ピアノ独奏曲よりは、こちらの方が面白い。特に「エクスの謝肉祭」の楽しさはミヨー
的。また、「バラード」の複調もミヨーらしい。しかし全体的に、ここぞという決め手
に欠ける曲が多い気がする。
○ピアノ:Korstick、Francis指揮SWR RO Kaiserlautern(CPO,777162-2)2005,6年
収録曲:Le Carnaval d'Aix op.83b;Ballade op.61;Cinq etudes op.63;
Fantaisie Pastorale op.188;Piano concerto no.1-5 op.127,228,270,295,346
こちらは2枚組で、管弦楽とピアノのための全集となっている。ドイツの本格派ピアニ
スト、コルスティックがソロを務めているのが魅力のアルバムだが、やっぱり、決め手
に欠けるという感想になってしまう。
箕作秋吉(MITSUKURI,Shuukichi、1895-1971、日本)
東京帝大卒業後渡独、ゲオルク・シューマン(かの有名なロベルトではなく、無伴奏合
唱曲がマニアに知られている方のシューマン)に作曲を学んだ、今日の日本作曲界の繁栄
の基礎を築いた一人。僕としては特に馴染みがある人でもないが、手許の日本ピアノ音楽
ばかりのアルバムに3曲。
○小川典子(BIS,BIS-CD-854)96年
箕作の曲は「さくらさくら」、「春のやよい(今様)」、「夜の狂詩曲」。「さくらさ
くら」は有名な旋律がそのまま現れるから、この手の作品が好きな人ならチェックして
おきたい。
三善晃(MIYOSHI,Akira、b1933、日本)
合唱やってて三善作品のピアノパートを弾いたことがあれば、それは独奏曲に興味を持
たなければいけないでしょう(珍しく断言)。特に技術的に難しい作品に。
○小賀野久美(PHILIPS,32CD-3024国内盤)84年
収録曲:アン・ヴェール;シェーヌ;ピアノソナタ
3曲しかない収録曲だが、「アン・ヴェール」はコンクールの課題曲として作曲された
もので、当初から評判が高かった。実際、優れていると思われるので、現代ピアノ曲の
傑作として名前を覚えておきたい小曲。「ピアノソナタ」も以前から評判が良い。こう
して聴くと特に面白い作品というわけでもないのだが、演奏技巧に自信があるなら終楽
章あたり、良いかもしれない。「シェーヌ」は難曲で、よほど現代音楽に興味がある人
のために。
比較的易しい作品が多い、このアルバムも聴いておきたい、特に合唱ファンならば。
○田中瑤子、三善晃(FONTEC,EFCD3201国内盤)86年
収録曲:こんな時に;「音の森」より;「海の日記帳」より;カイエソノール(連弾);
唱歌の四季(2台ピアノ)
合唱曲として演奏回数の多さでは驚異的な「唱歌の四季」を、合唱を取り除いて2台ピ
アノだけのバージョンで演奏。これ、合唱をやらない人が聴いたらどう感じるのか、興
味あるところである。子供のための小品集から「音の森」と「海の日記帳」があるが、
僕は後者の終曲「波のアラベスク」が以前から大好きだ。ピアノの音がきれいに録音さ
れていて、なかなか良いアルバム。
もう一つ、手許の音源で2台ピアノのための「響象」。
○田中瑤子、中川俊郎(BOCD-3101)90年
このアルバム、鈴木輝昭の打楽器作品が聴ける点でも貴重。
最後になってしまったが、「ピアノ協奏曲」は三善作品中で代表作とされているし、特
に合唱に携わる人で、三善作品を指揮しようとかピアノパートを弾いてみようと考える人
は、一度は聴いておくほうがよい。
○ピアノ:本荘玲子、若杉弘指揮読売日響(TOWERRECORDS,NCS587-8)70年
マイクに楽器が近い録音だが、それが幸いしているのか、迫力ある演奏と感じられる。
この2枚組は、三善氏の管弦楽曲や室内楽を多く収録しており、三善ファンには極めて
お買い得の、嬉しい復刻盤だ。
結論として、何はなくとも「アン・ヴェール」は押さえておく方がよいと思う。
モンポウ(MOMPOU,Federico、1893-1987、スペイン)
サティとはまた違う、静謐な音楽を求める向きには、モンポウは必聴だ。あるテレビ番
組で、「歌と踊り 第6番」の「歌」がテーマ音楽に使われたことがあった。この悲しみ
に満ちた美しい旋律、曲は何だろう?と思った人もいたことだろう。「歌と踊り」のシリ
ーズは、全て緩やかな前半の「歌」とリズミカルな後半の「踊り」からなる小曲集で、全
部で14曲ある(第13番はギター・ソロのために作曲)。
全集的鑑賞ならやはりナクソス。「GRAMOPHONE GOOD CD GUIDE」でもあげられている。
物凄く良いというわけでもないと思うが、貴重なシリーズ。
○Maso(NAXOS,8.554332)97年
収録曲:歌と踊り第1〜13番; Charmes; Scenes d'enfants
○Maso(NAXOS,8.554448)98年
収録曲:Cants magics; Chanson de berceau; Dialogues; Fetes lointaines;
Preludes;
Suburbis
○Maso(NAXOS,8.554570)99年
収録曲:Impressions intimes; Paisajes; Pessebres; Souvenirs de l'exposition;
Trois variations; Variations sur un theme de Chopin
○Maso(NAXOS,8.554727)2000年
収録曲:El pont; Muntanya; Musica Callada
曲として特に言及しておきたいのは、全部で10曲ある「前奏曲」の第1番、これは素直
に抒情が楽しめる。また同じく第7番は、モンポウって抒情的小品だけと思っていたら意
外や意外、こういう激しい作品があるという点で驚かされる。代表作「歌と踊り」では、
僕の好みでは6〜8番あたりがいい。「Suburbis」の第1曲、「Dialogues」の第2曲あ
たり、単独でも良い作品だ。曲全体として素晴らしいと思うわけではないのだが、「ショ
パンの主題による変奏曲」は、テーマがあの有名な、前奏曲イ長調であることや、「幻想
即興曲」中間部のフレーズ引用などで、一聴の価値がある。
モンポウの場合、自作自演盤が残っているのは、参考音源が欲しい人には嬉しい。僕は
その全てを聴いたわけではないが手許に2枚ある。録音状態に恵まれていないせいもある
し、ハフやジョーンズに比べると、たどたどしさは否めないが、音源の貴重さが失われる
ことはあるまい。録音時8O歳を越えていたことになる。
○Mompou(ENSAYO,ENY-CD-3418)74年
収録曲:Cancion de cuna; Charmes; Dialogues; Impresiones Intimas; Pessebres;
Scenes d'enfants; Souvenirs de l'exposition
○Mompou(ENSAYO,ENY-CD-3426)74年
収録曲:Cants magics; Fetes lointaines; Paisajes; Suburbis
他のピアニストによる演奏では、まずモンポウだけのアルバムで、スティーヴン・ハフ
の演奏をあげておきたい。
○Hough(HYPERION,CDA66963)96年
収録曲:歌と踊り1,3,5,7,8,9; 前奏曲1,5/7,9,10; Cants magics; Charmes;
Dialogues1,2; Paisajes
「歌と踊り」および「前奏曲」から幾つかを選び、その合間に他の曲を並べるという、
こだわりの配列にも注目。ハフというピアニストは抒情の表現に抜きん出ており、モン
ポウには非常に適している。自分で書いた解説にも熱がこもっているのがわかる。やは
り「歌と踊り」、それも「歌」の部分の美しさは出色である。また「前奏曲第1番」も
当然のように良い演奏。その他の作品の中では、「Dialogues」の演奏が特に優れてい
るように感じられた。音が飛翔する様が美しい。
ハフの他のモンポウ演奏もあげておこう。
○Trois variations/Hough(HYPERION,CDA66963)96年
○Young girls in the garden(Scenes d'enfants No.5)/Hough(DANACORD,DACOCD419)93年
○Impresiones initimas/Hough(HYPERION,CDA67565)2005年
その他の音源。
○Larrocha(DECCA,433929-2)70,84,85年
収録曲:Impresiones initimas; Musica callada 4; Preludio a Alicia de Larrocha;
歌と踊り第1,2,3,4,5,6,14;
モンポウと関わりの深いピアニストと言えば、やはりこのラローチャをはずすわけには
いかない。豊かな詩情、カンタービレの見事さは、派手さは無いレパートリーでも女王
の貫禄。「Impresiones initimas」など、素晴らしい。演奏者に献呈された前奏曲も含
まれている。収録曲のうち「歌と踊り」第4〜6番はアナログ録音。
○Jones(NIMBUS,NI5619/23)95年
収録曲:Charmes; Gitanas nos.1,2; Impresiones initimas; La Cegueta;
L'home de l'aristo; Preludes; Scenes d'enfants; Suburbis;
Variations sur un theme de Chopin; 歌と踊り第1/12,14
何でも全集魔、マーティン・ジョーンズによる選集。これが、例によって、非常に「そ
れっぽく」弾いており、なかなか楽しめる。「ショパンの主題による変奏曲」なども、
ジワジワと音楽が高揚してくる感じ。超絶技巧が求められる作品ではないから、ジョー
ンズにありがちな「弾き飛ばし」感も殆どない。スペイン音楽を集めた5枚組。
モンサルバーチェ(MONTSALVATGE,Xavier、b1912-、スペイン)
歌曲が好んで演奏されるので名前を聞いたことがある人は多いと思うが、ピアノ独奏曲
の録音も意外とある。中ではやはり、ラローチャがレパに入れていた、作曲者の娘の10歳
の誕生日に寄せて書かれた「イベットのためのソナチネ」をあげておかねばならない。全
3楽章から成り、調性は曖昧だから決してわかりやすいというわけでもないのだが、終楽
章が、あの「きらきら星」の旋律で盛り上がるのが注目だ。スペイン音楽というよりもプ
ーランク風。
○Larrocha(DECCA,433929-2)70年
モンサルバーチェは2曲で上記の「ソナチネ」と「ディヴェルティメント第2番ハバネ
ラ」。この2枚組はファリャ、トゥリーナ、モンポウ、アルフテルに加え、ニン=クル
メルやスリナッチあたりのマイナーな作曲家も網羅。ニン=クルメルの「Tonados」第
2集のうち第4、6曲の陽気さは捨てがたいし、スリナッチの締め括りの指さばきは、
さすがである。
○Larrocha(RCA,74321 84610 2)92年
グラナドス集2枚組の余白にモンサルバーチェ。「ソナチネ」と「Divagacion」で、後
者はラローチャに献呈された、やはりプーランクの香りがする小品。
モソロフ(MOSOLOV,Alexander、1900-1973、ロシア)
管弦楽曲「鉄工場」人気もあって、20世紀末に相当に名前が浸透してきた。ピアノ曲も
5曲のピアノソナタ(但し第3曲は紛失)を中心にそこそこある。大雑把に言えば、スク
リャービンやプロコフィエフのこだまが聞こえるのだが、独自の世界があるようにも感じ
られる。手許にはモソロフ作品だけのアルバム。
○Lombardi(CANTUS CLASSICS,CACD9.00613P)90年
ピアノソナタのうち第4・5番と、3曲から成る組曲「トルクメニスタンの夜」。現代
音楽得意のイタリアのピアニストによる演奏。ここでは「トルクメニスタン」の両端部
分の、低音部を中心としたピアノの打楽器的効果の発露。それから特に、全4楽章から
成るピアノソナタ第5番に注目したい。第3楽章後半の神秘性、そして第4楽章の低音
の重い足取りに、モソロフならではの個性が感じられる。グレゴリオ聖歌「怒りの日」
や、これは作曲者は全く意図していなかったのだろうが日本古謡「さくらさくら」に酷
似した旋律が聞き取れる。
モショーニ(MOSONYI,Mihaly、1815-1870、ハンガリー)
リストの作品にその名前が出てくる人としか認識していなかったが、やはり作曲家であ
る。特に言及すべきこともないのだが、手許にアルバムが2枚もあるから、名前だけ触れ
るということで。これらを聴いてみると、リストに至る一歩前の音楽、いわば「さなぎ」
みたいな音楽という感じが全編にあふれていて、そのことが興味深い。裏を返せば、そん
なに面白くは無いということだが。部分的には、わくわくする場面もある。なお、生年は
リストの方が早く、没年はリストが後という関係にある。
以下はマルコポーロ・レーベルから出ている、モショーニのピアノ作品集の第4、5集
となる。演奏者には、まことにお疲れ様のシリーズだ。
○Kassai(MARCOPOLO,8.223560)96年
収録曲:Appeal; Banderium march; 10 Folk songs; Free Thoughts; Herdsman's
Song;
Hertelendy march; Hungarian music; Invitation card; New year present;
The Old Rakoczi Song; Rakoczi March;
○Kassai(MARCOPOLO,8.225022)96年
収録曲:Szep Ilonka; Benyovszky
モシュコフスキー(MOSZKOWSKI,Moritz、1845-1925、ドイツ)
練習曲の人だが、ホロヴィッツがアンコールで愛奏したことで、ピアノ音楽の濃厚ファ
ンには好まれる作曲家となった。いわゆる黄金時代のピアニストたちも好んで弾いていた
ことが、古い録音を集めていればわかる。幾つかの、録音数が多い小品を、曲ごとに見て
いこう。
まずは「Etincelles花火op.36-6」に触れなければならない。このショウピースも、も
しホロヴィッツが取り上げなければ有名になれなかったかもしれないが、まあ彼の音源が
多数残っているのだから感謝しよう。
○Hofmann(NIMBUS,NI8802)20年
ピアノロール。ホフマンによる、この曲の爆演ライヴが無いのが残念。
○Horowitz(RCA,BVCC-5106国内盤)51年ライヴ
51年4月23日カーネギーライヴ。昔はほんの少し音が違うのね。
○Horowitz(MUSIC&ARTS,CD-666)67年ライヴ
終わる前にマイクの近くの聴衆が笑う。
○Horowitz(RCA,82876-50749-2)75年ライヴ
75年11月16日カーネギーライヴのアンコール。終止の鮮やかな加速は抜群で、終わる前
に拍手が来て当たり前。
○Horowitz(DG,F35G20060国内盤)86年ライヴ
モスクワ・ライヴのアンコール。高齢ゆえヨタっているのに、終止の魔法は最高。
○Horowitz(DG,UCCG-1406国内盤)87年ライヴ
87年6月21日ハンブルクでのライヴの正規発売音源。ホロヴィッツが舞台に立ったのは
これが最後。少しもたついているが、やはり最後の数小節の煌きは素晴らしいと思う。
◎Horowitz(DG,UCBG-1072)87年ライヴ
DVDで87年3月ウィーンライヴ。映像で見たいならこれ。
○Hough(HYPERION,CDA67043)97年
手堅いが、滑らかスケールや、あれ?の音変え(特に終止)瞬間芸あり。
○Kuzmin(RUSSIAN DISC,RDCD10026)94年
繰り返ししないから1分半で終わってしまう。独自の工夫あり、クズミン・ファンなら
必聴。
○Margulis(ARSMUSICI,AM1379-2)94年ライヴ
ホロヴィッツのスタインウエイ・ピアノを使用したライヴ。これは凄い、こういうライ
ヴに接してみたいものだ。爆演系音源として、はずせない。この曲のトラックの後半に
は、バッハの「サラバンド」が隠れて収録されている。
○Wild(IVORY CLASSICS,70901)68年
低音爆発の瞬間芸あり。
○Wild(IVORY CLASSICS,77001)73年ライヴ
こちらも素晴らしく軽やか。コンサート音源ばかり集めたアルバム。
続いてやはりホロヴィッツの愛想曲で、「15の練習曲op.72」の抜粋。彼の愛想曲は2
つで、第6番ヘ長調と第11番変イ長調で、指回りの巧みさを見せつける。どちらかと言え
ば第11番の方が鮮やかに感じる。
第6番。
○Horowitz(LIVINGSTAGE,LS4035177)46年ライヴ
放送録音で、拍手と開始が重なる。若い頃の元気さに聴き惚れる。
○Horowitz(RCA,BVCC-5106国内盤)50年ライヴ
○Horowitz(DG,474370-2)85年
○Horowitz(EXCLUSIVE,EX92T39/40)85年ライヴ
85年11月17日スカラ座ライヴ。終止がいい。
この他ホロヴィッツの演奏で68年11月24日音源を聴いたことがある。
◎Horowitz(SONY)85年
65年カーネギーライヴCDのボーナスDVD。何ともチャーミング。
○Pletnev(DG,UCCG-1028国内盤)2000年ライヴ
2000年11月1日カーネギーライヴのアンコール。終止が凄まじい。聴衆は、ホロヴィッ
ツ以来の感動を覚えたことだろう。
第11番。
○Horowitz(ARCHIPEL,APRCD0057)45年頃ライヴ
○Horowitz(RCA,BVCC-5106国内盤)50年ライヴ
○Horowitz(SONY,S2K93023)65年ライヴ
第13番変イ短調。調性に注目。アムランが見事に弾きさっている。
○Hamelin(HYPERION,CDA67275)2001年
以下、ホロヴィッツ音源は無いが小洒落た小品に行って、まず「Caprice Espagnolスペ
イン奇想曲op.37」。反復音を弾きこなすテクニックが必要。
○Hofmann(VAI,VAIA/IPA1036)16年
○同音源(PHILIPS,456835-2)
猛烈なスピード。フィリップスからも出ているから、ホフマン音源ではこれが一番入手
容易。
○Hofmann(NIMBUS,NI8802)20年
ピアノロールだが、それを感じさせないほど見事な記録。
○Hofmann(VAI,VAIA/IPA1020)37年ライヴ
ホフマン得意の分散和音前奏付き。ホフマン的爆発で、この音源は必聴。
○Hough(VIRGIN,VC7 90732-2)86年
我々の世代にも凄い人がいる。ホフマン37年に並ぶ名演。
○Wild(IVORYCLASSICS,70805)65年
スペインとフランス物を集めたアルバムで名演だが、ホフマンやハフに比べると普通。
La jongleuse旅芸人 op.52-4。昔は愛奏されていたことが、以下の音源からもわかる。
○Bolet(PHILIPS,456724-2)74年ライヴ
○Bolet(DECCA,UCCD-8020国内盤)85年
モシュコフスキーはもう1曲、「秋にop.36-4」を収録、むしろこちらが良い。
○Hofmann(VAI,VAIA/IPA1036)18年
○同音源(PHILIPS,456835-2)
○Hofmann(NIMBUS,NI8802)20年
ロール。
○Levitzki(APR,CDAPR7013/4)23年
○同音源(NAXOS,8.110688)
○Moiseivitch(DANTE,HPC024)22年
○同音源(PEARL,GEMS0142)
Serenata op.15-1。この曲は歌曲編曲も知られている。むしろ声に合いそうだ。
○Friedman(NIMBUS,NI8802)20年
ピアノロール。
○Friedman(NAXOS,8.110684)26年
○Hough(VIRGIN,VC7593042)91年
ワルツop.34-1ホ長調。
○Joyce(TESTAMENT,SBT1174)33年
○Magaloff(DENON,8175793462)90年
ジョイスは4分未満で終えているが、マガロフは7分かけている。演奏は、いずれもそ
れぞれの個性で素晴らしいが。
愛のワルツop.57-5。
○Cherkassky(DECCA,433651-2)91年
○Zarafiants(ALM,ALCD-9017国内盤)98年ライヴ
以下はアルバムごとに。
○Budiardjo(PROPIANO,PPR224536)2002年
20の小練習曲op.91。20曲も練習曲が続くわけで、最初は退屈するが、第10番ト短調の
悲しい旋律あたりから後半は、まずまず良い曲が連続する。カワイEXを使用。
○Hofmann(NIMBUS,NI8802)20年
ギターop.45-2。ピアノロール。
○Hough(VIRGIN,VC7 90732-2)86年
シシリアーノop.42-2。旋律の歌わせ方、見事の一言。この後に「スペイン奇想曲」の
爆発が来る。
○Hough(VIRGIN,VC7 59304-2)91年
Valse mignonne。時折みせるチャーミングな楽想がいい。
○Jones(NIMBUS,NI5326)91年
Mousse de ChampagneとCourse Folle op.73-3。両曲とも、なかなか良いぞ。
○Krucker(ARTENOVA,74321 39113 2)96年
アラベスクop.61-1,3。
○Sosa(ANALEKTA,FL2 3080-1)95年
左手のための6つの練習曲op.92より6曲(1,2,4,9,11,12番)抜粋。ちょっと、作品の
密度がイマイチかなあ。この曲集には、勿論全曲盤も複数種ある。
○Zarafiants(ALM,ALCD-9012国内盤)98年ライヴ
ワルツ・ブリランテ変イ長調
唯一のピアノ協奏曲の録音。
○ピアノ:Pawlik、Wit指揮PNRSO(NAXOS,8.553989)96年
モシュコフスキーらしい華麗なスケールなど、指回りを楽しむことは出来るが、どの楽
章とも、テーマに恵まれていない作品と感じられる。ただし演奏、録音は上等なので、
曲を知る上では十二分のアルバム。カップリングは管弦楽曲「From Foreign
Lands」。
最後に、兄のアレクサンダーと共に作ったゲーテ「ファウスト」のパロディ劇であるら
しい「Anton Notenquetscher am Klavier」をCDで聴くことができるので触れておく。
メフィストが学生ピアニストをヴィルトゥオーゾのするために力を使うお話で、学生は当
時のポピュラーソングを、最初はピアノ初心者風に弾くが、ツェルニー、クレメンティ、
バッハ、ブラームス、ウエーバー、ショパン(この英雄ポロネーズ的パロディは傑作)、
ルビンシュタイン、リスト風に変容していく。
○Froundjian(DANACORD,DACOCD479)96年ライヴ
もちろんドイツ語で、会場にはバカウケしているのに僕は語学力不足で全くついていけ
ないのが残念。
モシュコフスキーをもっと追求したい人には、タニェルによる選集が数枚(HELIOS)ある
し、日本人ピアニスト藤原亜美のアルバムも注目される。
モイゼス(MOYZES,Alexander、1906-1984、スロヴァキア)
スロヴァキアの作曲家としては中心的な存在というモイゼスは、交響曲が最も重要な作
品とされているが、オペラや声楽曲も含め、広いジャンルで作品を残したらしい。以下の
アルバムはピアノ独奏曲全集と銘打たれた世界初録音で、曲よりも、演奏家に惹かれて手
を出したもの。
○Goldstone & Clemmow(OLYMPIA,OCD346)96年
収録曲:Brigand Rhapsody op.52; Jazz sonata for 2pianos; Two studies;
Divertimento op.11;Sonata in e minor op.2
このピアノ・デュオのコンビは僕としてはかなり好きなタイプ。使用ピアノがたいてい
グロトリアンなのだが、このアルバムでもサウンドは良好。曲の方は、20世紀にしては
余りにもオーソドックス。「ピアノソナタ ホ短調」の両端楽章のメランコリーが、そ
れなりに心に残る。アルバム冒頭の小品も悪くない。ところで、このアルバムで最も聴
きものは「2台ピアノのためのジャズソナタ」だろう。これが、どこがジャズなのか、
さっぱりわからない。タイトルに騙されてCDを買った人が怒る、典型的な曲であると
ころが、聴きものというわけ。
モーツァルト(MOZART,Amadeus、1756-1791、オーストリア)
(工事中)
ミュライユ(MURAIL,Tristan、b1947-、フランス)
この人のことをよく知っているわけでは全くないが、手許にある録音が企画・演奏とも
に良いから触れておく。現代音楽も聴く人には推薦したい。
○永野英樹(FONTEC,FOCD3418)96年
20世紀フランス音楽のみのアルバム。まず2つの部分から成る「Estuaire河口」(約12
分半)。続いて「La Mandragoreラ・マンドルゴール」(約9分45秒)で、ラヴェル「夜
のガスパール」の第2曲「絞首台」の延長線上にある。特に「河口」の2曲目と「ラ・
マンゴドール」では実に美しい響きがする箇所がある。演奏する永野氏は、アンサンブ
ル・アンテルコンタンポランのメンバー、さすがに冴え渡る演奏だ。
ムソルグスキー(MUSSORGSKY,Modest、1839-1881、ロシア)
誰が何といおうと、「展覧会の絵」は名曲である。よく言われるように、この曲はいわ
ゆるピアニスティックという言葉とは無縁であるのに、ピアノ曲として、何と面白いこと
か。たとえアマチュアが滅茶苦茶に弾くのを聴いたとしても、何かしら心に残るものがあ
る。そういう曲、クラシックでは唯一無二かもしれない。そこに理屈は無く、例えば「プ
ロムナード」を一度聴けば誰もが覚えることだけは、この作品の永遠性を証明している。
こういう曲が世に残されて、本当に良かった。
さて、そうは言ってもCDで聴くとなると実は結構残酷で、ホロヴィッツが彼流に手を
いれまくったバージョンで弾いているのだけがあれば、他は無くてもいいくらいなのだ。
今更言うまでもないが、面白すぎるのだ、これが。
○Horowitz(RCA,60526-2)47年
○Horowitz(RCA,60449-2-RG)51年
47年録音の「川のほとりで」(ホロヴィッツ編曲)も収録。この歌曲編曲を真似する人
はなかなかいないが、手許には Kuleshov盤(BIS,BIS-CD-1188)がある。
しかしここでは、そんなことだけを言ってもはじまらないから、手許の「展覧会」他音
源も改めてチェックしてみたのである。結論としてコルスティック、ゴトーニ、グラフマ
ン、カペル、モイセイヴィッチ、プレトニョフ、ペトロフ、ワイセンベルクあたりを推薦
したい。真面目演奏としてはキーシンが悪くない。番外編として、フェルツマンの独特の
音、あるいは強弱の幅を思い切りとったティエンポあたりも、面白い。
○Afanassiev(DENON,COCD-9046国内盤)91年
戯曲化したことで日本でも特に有名な演奏。しかし遅い。「キエフ」は、音の重さが、
なかなか良い。また小曲として、「お針子」「間奏曲」「情熱的な即興曲」「夢」「瞑
想」がカップリングされているのも長所。まあ僕としては、特に耳が求めるわけではな
い演奏だが、それこそ聖書のように扱っている愛好家もいるので、話のネタに。
○Berman(MASTERS OF ART,AAOC-94062)96年
細部はぐちゃっとしているが、かなり良い。音をほんの少し変えている。
○Blumfield(SONORIS,SCD5151)93年
お笑い盤。このホロヴィッツのサルマネ、凄すぎ。音楽鑑賞に笑いを求めている人なら
一聴の価値がある。
○Cherkassky(NIMBUS,NI1748)
録音データ不明だが80年頃のアナログ録音。この名人にしては期待に及ばない演奏。細
部のヨタヨタだけが耳に残ってしまう。
○Douglas(BMG,74321-52959-2)86年ライヴ
チャイコフスキーコンクールのライヴ音源。コンクールらしい熱気が感じられるが、こ
の曲の多彩な音源の中にあっては真面目過ぎる印象。ただし「小人」の最後の急速な音
句は一発芸として鑑賞価値あり。
○江口玲(NYS CLASSICS,NYS-80206)2006年
ホロヴィッツ編曲版を演奏。ダイナミックレンジの幅広さを感じさせる録音だ。僕の貧
弱なオーディオ環境ではイマイチわからず、そのせいで演奏の出来も絶賛したくなるも
のには感じないが、もしかしたら物凄い音の情報が保存されているのかも。
○Feltsman(URTEXT,JBCC064)2002年
不思議な音で、上手く言えないのだが、モノラル録音のみに許された爆音を再現するか
のような音で、この曲にはぴったりである。意外と正統的に弾いているが、細かい工夫
はフェルツマンらしく、色々とやっている。
○Gothoni(ONDINE,ODE753-2)90年
とても素晴らしい。初版を可能な限り取り入れ、全曲の終止はホロヴィッツとは違う独
自の工夫。音質も良く、キーシンのようなマジメ一本の演奏では聴く気がしないという
人は、これがいいのではないか。
○Graffman(SONY,S2K94737)62年
チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1〜3番を収録した2枚組の余白に入っているが、
この個性豊かな演奏も忘れがたい。特に楽譜に手を入れた終曲は聴き逃せない。カップ
リングのバラキレフ「イスラメイ」も推薦。
○Kapell(ARBITER,ARBITER108)51年10月28日ライヴ
○Kapell(RCA,BVCC-37310国内盤)53年3月1日ライヴ
○Kapell(VAI,VAIA/IPA1048)53年7月21日ライヴ
カペルの「展覧会」は手許に3種類。一番普通に入手できるのはRCA盤で上記番号のよ
うに単品で国内盤もあるし、RCAのカペル全集(09026-68442-2)にもこの音源を収録。
「バーバヤーガ」は迫力満点だし、「キエフ」では初版を取り入れ、終止はホロヴィッ
ツ版の影響も見える独自バージョン。そういった解釈の基本は他の2音源にも共通して
いる。音質はRCA盤が圧倒的に良いので、普通のリスナーはこれだけで十分。VAI盤は、
「キエフ」の終わりの方に欠落があるらしく、そこは51年10月17日音源で埋めたという
こと。途中から突然音質が変わるのが明らかにわかるので、ここからテープを繋いだの
だろう。僕としては「こびと」の終止や「ひよこ」、そして終止の粘りなどで、音質に
難があっても、こちらのライヴも捨てがたい。ARBITER盤は更に音質悪、マニア向け。
○Kasman(CALLIOPE,CAL6228)94年
全体として、とても良い演奏という部類に属するが、いまいち目立たない感じ。「ビド
ロ」の最後の音を残しながら「プロムナード」に続けるのが変わっている。ムソルグス
キーは「涙」と「瞑想」、それに「ホパーク」も収録。メインの余白としては、素晴ら
しいと思える出来。
○Kissin(RCA,09026 63884 2)2001年
これ、CD店でかかっていて、衝動買いしてしまった。マジメな演奏としては特筆して
よいと思う。超人気ピアニストでないと安心できないという人にお薦めしたい。
○Korstick(ARSMUSICI,AM1251-2)99年
40歳を過ぎてCDデビューした遅咲きのドイツピアニスト、コルスティックによるロシ
ア物のアルバム。彼はシンフォニックにピアノ曲を鳴らすことに長けているので、この
曲とは相性が良い。適度に音を変えているのも良い効果をあげており、例えば「小人」
の終結部は、ここを聴くだけでも価値ありの芸を見せる。
○Lane(EMI,CDEMX2213)93年
マジメな演奏としては非常に良いと思う。ハイペリオンに幾つかの録音があるが、もっ
と知られてよいピアニストだ。
○Lefevre(ANALEKTA,FL2 3122)2001年
生真面目過ぎて、特に指摘したくなること無し。
○Libetta(VAI,VAIA1242)2003年
意外にもリベッタは楽譜に至極忠実、ディナミークや表情は丁寧に付けて弾いている。
その意味で、特筆するほどでもない。
○Moiseiwitch(DANTE,HPC024)45年
○同音源(NAXOS,8.110668)
○Moiseiwitch(DANTE,HPC024)60年
○Moiseiwitch(PERAL,GEMMCDS9192)61年ライヴ
モイセイヴィッチも手許に3種。独自の解釈を全編にわたって繰り広げる。特に冒頭の
プロムナードの強弱変化、小人のすっとばしぶり、キエフなどは、とても面白く参考に
なる。音質の点では60年盤が最も良いから、普通はこれを聴いておけば良いと思うが、
61年のライヴはハチャメチャ感もあり、一聴の価値がある。突然わけがわからなくなっ
ている箇所など、興味深い。
○Mustonen(DECCA,436255-2)91年
全体の流れとしてびっくりすることをやっているわけではないが、細部に至るまでムス
トネン独自の解釈が散りばめられている。さすが個性派。
○Pennario(MSR CLASSICS,MS1188)53年
レナード・ペナリオの初期録音の4枚組。28分半で全曲を弾ききる、引き締まった好演
だが、派手派手しいことはしていない。
○Petrov(YEDANG,YCC-0003)74年
ペトロフも自分で音を変更しており、なかなかの好演。しかしこのCD、カップリング
の管弦楽版の同曲を聴かなければ!テミルカーノフ指揮ソ連国立交響楽団のライヴ、特
に「バーバヤーガ」以降の爆発は凄い。
○Pletnev(VIRGIN,VC7 91169-2)90年
いろいろやってる演奏としては、ホロヴィッツを除いては最高峰かもしれない。感動的
かどうかは、好みがわかれるだろう。僕は大阪のザ・シンフォニーホールでのライヴ演
奏も聴いた。CDより更に素晴らしかった。ガラガラの客席が印象に残っている。
○Richter(PRAGA,CMX356020/34)56年ライヴ
後からプレイバックを聴けば赤面してしまうかもしれない、燃えているけれど、ほころ
びの目立つライヴ。「ビドロ」がだんだん速くなったり。
○Richter(PHILIPS,456946-2)58年ライヴ
有名なソフィア・ライヴで、かなり手荒い。「チュイルリー」の最後の爆発は聴き物。
全体的には、ちと荒すぎ感。
○Rosel(BERLIN CLASSICS,0094642BC)71年
真面目演奏。「バーバヤーガ」になると快速で元気になるのが聴き物。
○斎藤雅広(WARNER,WPCS-11463国内盤)2002年
日本のピアニストでは大衆的に知られている部類になる斎藤雅広氏の、かなり意外なこ
とに初の本格的ソロアルバム。たいそうな力演だが、少し空回り気味な感じがする。た
だ僕は、この人の活動は心から応援している。ヤマハCF3Sを使用。
○高橋多佳子(TRITON,OVCT-00036国内盤)2006年
「キエフの大きな門」の最後の部分で、ラヴェルの管弦楽編曲のような銅鑼の音をピア
ノで響かせる。僕としては、この工夫は初めて聴いた。高橋さんは日本の女性ピアニス
トを代表する一人と言ってよいだろう。
○Tiempo(EMI,5 58018 2)2005年
強弱の幅の広さに驚かされる録音のとり方が、まず個性的。そして演奏も実に個性的な
箇所が多い。成果をあげていると思われるのは、「ザミュエル・ゴルデンベルク」や、
「カタコンブ」あたりだろう。特に後者の轟音は一聴の価値がある。
○Vogt(EMI,CDC7 54548 2)91年
フォークト21歳時の録音。弱音に神経を集中させる場面や、「チュイルリー」など、高
く評価したい箇所もある一方で、理解できない部分やヨタっている箇所も混在。カップ
リングの、妻であるロシアの作曲家タチアナ・コマロヴァ「ピアノソナタ(1990)」の中
間部のリリシズムがなかなか。
○Weissenberg(EMI,CDR5 73752 2)
70年代初頭の録音。これは良い意味でアマチュアリズム的(もちろん技巧的にはワイセ
ンベルクだからプロ中のプロ)な熱が感じられて、演奏者自身による手の入れ方も個性
があり、一聴の価値は十二分にある。超廉価で買える点も良い。カップリングはオケ版
(ボド指揮)。
○Wild(IVORYCLASSICS70903)66年
「古城」と「キエフ」での工夫は少し興味を惹くが、それ以外は普通過ぎるほど普通。
カップリングのチャイコフスキー「四季」もそうだが、この人ならもっと上手くできた
のでは?
さて、ムソルグスキーのピアノ独奏曲は「展覧会」以外にも小曲があり、それらをまと
めて聴けて、かつ「展覧会」も高水準で聴けるアルバムとして、これがいいと思う。
○Kuschnerova(ORFEO,C284021A)2000年
収録曲:
Au village;La capricieuse;La couturiere.Scherzino;Impromptu passionne;
En crimee.Capriccio;En crimee.Hoursouff.Notes de voyage;Une larme;
Meditation. Feuillet d'album;Une plaisanterir;Porte-enseigne-Polka;
Reverie;Souvenir d'enfance no.1;Souvenir d'enfance no.3;
さらに、「展覧会の絵」に加えて、下記のオペラからのシーンのピアノスコアを録音し
た、企画に拍手を送りたい盤がある。
○小川典子(BIS,BIS-CD-905)97年
収録曲:戴冠式、ポロネーズ(ボリス・ゴドゥノフ);
市場の情景、ホパーク(ソロチンスクの定期市);
ペルシャの奴隷女の踊り;モスクワ河の夜明け;第4幕第2場への前奏曲
(以上ホヴァンシチナ)
「展覧会」に関してはムソルグスキーの手稿楽譜を使用ということだが、演奏自体は、
マジメ一徹なものになっている。やはりここではオペラからの場面が注目だが、残念な
がら曲として、それほど面白いものはなく、やっぱり「ホパーク」が一番。
なお、「展覧会」の楽譜だが、多くの楽譜を比較検討した楽譜(ALFRED PUBLISHING)を
買って、自分でさらい直してみたのだが、「あれっ、ここはこっちの音だったか」という
ものが頻出。しかし、どれがスタンダードであるべきという議論をするのは時間が勿体無
く思われるほど、ある意味おおざっぱなのが、「展覧会」の魅力だ。
ピアノ独奏で弾かれるムソルグスキーとしては、編曲物で「ホパーク」が有名。上記の
小川盤以外に以下を聴き比べてみた。
○Kasman(CALLIOPE,CAL6228)94年
音楽の勢いが魅力。
○Libetta(VAI,VAIA1242)2003年
以下にあげるが、リベッタはラフマニノフ編曲版も併せて収録している。演奏の印象は
下のラフマニノフ版の方が良い。
○Moiseiwitch(PEARL,GEMS0142)22年
音は古いが貫禄の好演。
○Rosel(BERLIN CLASSICS,0094642BC)71年
レーゼルらしい重厚な快演。「展覧会の絵」の余白に収録されており、他に「涙」を含
め小曲4つを収めているが、ピッチが半音高くなっている曲があるのが残念。
以下は同曲のラフマニノフ編曲版。
○Biret(NAXOS,8.550978)96年
○Bolet(PHILIPS,456724-2)73年
○Libetta(VAI,VAIA1242)2003年
○Rachmaninoff(RCA,61265-2)25年
○Shelley(CHANDOS,CDS44041/8)91年
管弦楽曲「禿げ山の一夜」のソロ版。エンゲラーが弾いた盤も見たことはある。
○Berezovsky(TELDEC,4509-96516-2)94年
Tchernov編曲。技巧の冴え具合はさすがベレゾフスキーだが、もしかして、大人し過ぎ
るかも?ライヴならもっと燃えるんだろう。終止はとてもキレイだ。
○Tokarev(MUSIKLEBEN,MLT-20002国内盤)2001年ライヴ
フドレイ編曲。東京オペラシティでのライヴ録音で、これは実演ならではの高揚が感じ
られる、非常に良い音源だ。
○Tokarew(SONY,88697075832)2007年
上記と同じピアニストだが、アルバムにおいて表記がTokarewとなっているので、それ
に従う。同編曲を弾いているが、スタジオ録音のせいか、落ち着き過ぎている。
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