ラフマニノフ(RACHMANINOFF,Sergey、1873-1943、ロシア)

 (工事中)


ラモー(RAMEAU,Jean-Philippe、1683-1764、フランス)

 無理やり、現代のピアノでラモーを弾いてしまう人たちがいるものだ。最も有名なのは
「タンブーラン」というあたりではないかと思う。ここでは、ピアニスト別に音源を。
○Cziffra(EMI,CDM5 65253 2)80年
収録曲:Le Rappel des oiseaux; Tambourin; L'Egyptienne; La Poule; Rigaudon
 シフラがラモーをこれだけまとめて弾いているというのは意外な線。
○Cziffra(EMI,CDM5 65255 2)69年
 上記盤の収録曲中の「Rigaudon」の別音源。
○Gilels(DANTE,HPC098)31年
 Le Rappel des oiseaux。
○Katsaris(PIANO21,21008)89年ライヴ
 来日公演ライヴから、Tambourinのみ。随所に細かい工夫が光る。
○Lifchitz(PALEXA,CD-0507/8)97年ライヴ
 組曲ホ短調。この中にはLe Rappel des oiseauxもTambourinも含まれている。ラモー、
 ハイドン、モーツァルト、シューベルトと進むリサイタル・アルバム。
○Moiseiwitsch(PEARL,GEMS0142)19年
 ガヴォットと変奏曲イ短調。演奏時間4分弱。これは非常に素晴らしい。もっとピアノ
 で弾く人がいてもよいのに。
○Petrov(MELODIYA,MCD122)84年
 「Cyclope」と「La Poule」。この音源はペトロフの打鍵の冴えが良い、特に前者。

 21世紀に入り、現代ピアノでラモーをまとめて録音する人が増え始めている。上記でモ
イセイヴィッチも弾いている「ガヴォットと変奏曲」が人気なのだろうと思われる。この
曲はピアノでも弾けるバロック鍵盤音楽の名曲として、おさえておきたい。さてラモーを
まとめたアルバムを以下にあげるが、未聴の注目盤としてはヒューイットがある。
○Barto(ONDINE,ODE1067-2)2005年
収録曲:from First book(1706);Suite in E;Suite in D;Suite in A
 およそバロックとは思えない、現代ピアノの豊かな残響を生かした、全く独自の新感覚
 によるラモー。こういうこともできるということで、一聴の価値あり。「Suite in D」
 が面白い。
○Tharaud(HARMONIAMUNDI,HMC901754)2001年
収録曲:Suite in A;Suite in G
 ラモーの2つの組曲と、最後にドビュッシー「映像第1集」から「ラモーを讃えて」を
 収録。バルトに比べれば遥かに常識的に、とても美しい演奏を繰り広げている、いわば
 安心して聴ける一枚。

 ラモー作品は、ゴドフスキーが例によって装飾を施した。
○Scherbakov(MARCOPOLO,8.223795)97年
収録曲:Elegie; Gavotte; Menuet in a; Menuet in g; Musette en Rondeau;
 Rigaudon; Sarabande in a; Sarabande in E; Tambourin
 ゴドフスキーによる編曲版として網羅的なのがこれ。資料的には有難い。
○Wild(PHILIPS,456991-2)81年ライヴ
 Elegie,Rigaudon,Tambourinの3曲。さすが、聴かせ上手だ。


ラウタヴァーラ(RAUTAVAARA,Einojuhani、b1928-、フィンランド)

 20世紀末に突然人気が上昇して、時にヒーリング方面でも持て囃されるようになったの
が不思議なラウタヴァーラ。特に僕の専門分野である合唱では、いつの間にか有名になっ
てしまった。でもそんな僕は、彼の合唱曲を一つも知らないうちから、ピアノ独奏曲に注
目していた。特にピアノソナタ第2番「火の説法」は、題名の神秘さにも惹かれていたに
違いないが、楽譜を見ただけでワクワクしたし、実際に自分で弾いて、クラスターをぶっ
たたきまくって悦に入る、なんてこともあった。こんな、イッちゃったとも言える音楽を
書いていたし、奇行で知られていたりしたラウタヴァーラなのに、20世紀末以降のブーム
は、なんでだろう。

 まずはフィンランド音楽を日本に紹介した功労者、舘野泉のアルバムが良い。
○舘野(ONDINE,ODE710-2)87年
収録曲:Etudes op.42; Icons op.6; ピアノソナタ第1,2番; 街の音楽師op.1;
 曲としては「練習曲op.42」が、めちゃくちゃかっこいいと思う。この曲集から数曲を
 選んで弾くのもいいかもしれない。ピアノソナタは第2番は良いとして、第1番「キリ
 ストと漁夫」は相対的に劣る。「街の音楽師」は1番という作品番号に相応しく?わか
 りやすい。「イコン」は合唱のタヴナーみたいだが、ラウタヴァーラらしく和音を叩き
 まくって神秘性を表現する、という手法。技巧の切れ味は下記のミッコラ盤の方が一枚
 上だが、表現力は舘野の方がいかにもラウタヴァーラっぽくやっている。録音状態も良
 い好アルバム。

 価格的に求めやすいナクソス盤も出てきた。
○Mikkola(NAXOS,8.554292)97年
収録曲:Etudes op.42;Icons op.6;Partita op.34;Preludes op.7;ピアノソナタ第1,2番;
 舘野盤とは選曲が少し違い、op.1がない代わりにop.7と34が含まれている。このうち前
 奏曲集op.7は注目される。ミッコラの独奏は、テンポが速い曲での快速疾走が素晴らし
 い、ピアノソナタ第2番の終楽章など。練習曲集に興味を持った人も、こちらを聴いて
 おくべきだろう。

 ピアノ協奏曲も、数が徐々に増えつつある。
○ピアノ:Gothoni、Pommer指揮Leipzig RSO(NO.1)、Saraste指揮BRSO(NO.2)
 (ONDINE,ODE757-2)90,89年 第2番はライヴ
 ピアノ協奏曲第1、2番をまとめて収録。共に3楽章制だが20分少しの長さで、すぐ終
 わる。第1番が69年、第2番が89年と、作曲年代に20年の隔たりがあり、明らかに新し
 い方がわかりやすくなっている。しかし、ピアノパートは悪くないのだが、オーケスト
 レーションには何だか、魅力を感じない曲たちだ。
○ピアノ:Mikkola、Lintu指揮Royal Scottish NO(NAXOS,8.554147)97年
 ピアノ協奏曲は「第1番」だけだが、交響曲第1番と、今やラウタヴァーラの代表作の
 位置を築いた「鳥たちと管弦楽のための協奏曲」をカップリングしての超廉価盤。

 なお楽譜についてだが、僕がラウタヴァーラに最初に興味を持った頃は、フィンランド
のFAZER社の輸入楽譜しかなく価格も高かったが、日本の全音から安く買える国内版が出
ており、作品1と6、練習曲作品42、それに2つのピアノソナタが含まれている。日本っ
てほんとにいい国だ!


ラヴェル(RAVEL,Maurice、1875-1937、フランス)

 (工事中)


ロースソーン(RAWSTHORNE,Alan、1905-1971、イギリス)

 超廉価盤レーベルのナクソスが紹介に努めているようで、僕もいくつかを聴いたが、ま
じめ、しかめっ面という印象が先に立つ。しかし20世紀の英国音楽史の中では、一定の地
位を与えられるべき人なのだろう。
○Hough(HYPERION,CDA67267)2001年
 4曲の「バガテル」で、全部で6分程度。全体に難しい感触だが、急速な第3曲は、ア
 ンコールでパリっと弾かれるとびっくりしちゃうかも。


レビコフ(REBIKOV,Vladimir、1866-1920、ロシア)

 クリスマスの季節物になるが、愛らしい小品「The Christmas Tree op.21」には是非言
及しておきたい。手許にある音源の中では、入手しやすいナクソス盤でも、往年の大家と
いうことでチェルカスキー盤でも、どちらでもよい。
○Andjaparidze(NAXOS,8.553461)95年
○Cherkassky(DECCA,433651-2)89年
○Leyetchkiss(CENTAUR,CRC2398)97年
 このレイチキス盤にはレビコフの小品からもう一つ、「マズルカ」も収録。

 小品をもう一つ。
○Hough(VIRGIN,VC7 59304 2)91年
 1分余りの小品「オルゴール」。このアルバムでは、リャードフの同名の有名曲とセッ
 トで演奏されるから面白いので、レビコフ作品だけでは効果が今ひとつかもしれない。


レーガー(REGER,Max、1873-1916、ドイツ)

 ピアノ曲が意外と沢山あって、全集録音もある。有名な作品としては、テレマン、バッ
ハそれぞれの主題による変奏曲(とフーガ)があり、玄人ウケが良い。特にバッハの方は
古今東西のピアノ曲中、最も偉大な物の一つという評価があるくらい。ただ正直言って、
僕にはよくわからない。バッハの方は、2分ほどかかる主題だけでお腹いっぱいという感
じで、続く変奏は深刻すぎて気が滅入る。むしろテレマンの方が単純に聴き栄えがする。
その2曲をアムランが弾きさったアルバムがあるのは嬉しい。まずはこれがベーシック・
ライヴラリー。
○Hamelin(HYPERION,CDA66996)97年
 2大名曲「バッハの主題による変奏曲とフーガ」と「テレマンの主題による変奏曲とフ
 ーガ」を、アムランがその名技の限りを尽くして弾き去る。変奏毎に細かくトラックが
 付いているのも、変奏曲のCD選択では重要だ。僕の好みではテレマンの方がいいと前
 述したが、アムランの技巧の冴えも、テレマン作品で、より発揮されているように感じ
 る。収録曲はもう一つ、「5つのユモレスクop.20」が含まれていて、各曲は短い。

 もし「テレマンの主題による変奏曲」が気に入れば、別音源に進めばよいだろう。
○Bolet(DECCA,417791-2)80年
 ブラームス「ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ」とのカップリング。

 今のところ僕は全集には手を出していない。ナクソスにレーガーのピアノ曲だけのアル
バムがある。
○Pawlik(NAXOS,8.553331)95年
収録曲:Humoresken op.20;Improvisationen op.18;In der Nacht;
 Traume am Kamin op.143
 80分弱の収録時間。アムラン盤を重なっていない曲では、まず「8つの即興曲op.18」
 は明るい曲想が支配的だが、終曲のドラマチックさに耳を奪われる人もいるだろう(中
 間部はトロいが)。「Traume am Kamin op.143」は静かな曲が多く、続けて聴くと眠く
 なるタイプ。全部で12の部分から成るが、終曲はショパンの「子守歌」もどきで、美し
 い。「In der Nacht」は真面目な小品。
○Ullen(BIS,BIS-CD-1083)2000年
 ショパンのピアノ曲から5曲、ワルツop.42、64-1/2と即興曲第1番、練習曲嬰ト短調
 op.25-6を選び、それぞれ複雑にアレンジした「5つの特別な練習曲」。真面目一徹の
 イメージがあるレーガーにこんな仕事があったかと驚かされるが、腕が3本あるように
 聞こえる「子犬のワルツ」を筆頭に、マニア心をくすぐらずにはおかないが、まあよく
 も、こんなに複雑にしてみたものだ。

 クリスマス音楽マニアに是非お薦めしたい小品が「クリスマスの夢op.17-9」で、これ
はアマチュアピアニストも自分で弾いてみたいものである。何たって、「きよしこの夜」
のトランスクリプションなのだから。あっという間に終わるが。
○Andjaparidze(NAXOS,8.553461)95年

 管弦楽曲「モーツァルトの主題による変奏曲」(主題はピアノソナタ トルコ行進曲付
を使用)をKarl Salomonがピアノ独奏用に編曲した楽譜があり、音源をあげておく。この
曲も一部の管弦楽曲ファンには有名だが、僕はとても苦手である。演奏者は、実に良く頑
張ってくれた。使用ピアノはブリュートナー。
○Malan(HANSSLER,CD98.231)2005年


ライヒ(REICH,Steve、b1936-、アメリカ)

 ミニマルの代表的存在、ライヒである。ピアノ&合唱ファンとしては、やはりそのジャ
ンルに作品がある以上、一聴ぐらいはしてみたいと思うのは人情というものだ。

○Reich & Musicians(DG,439431-2)74分
 「Six Pianos6台のピアノ」。曲名どおり、グランドピアノを6台並べて録音したよう
 だ。25分近くかかる。さて正直なところ、僕は退屈してしまった。この録音、音質的に
 もいまいちで、音が割れることもある。仮に実演で耳にして、この作品は楽しめるのだ
 ろうか?
○Aimard(TELDEC,WPCS-11566)2002年
 「アフリカン・リズム」というタイトルのアルバムで、メインはリゲティの練習曲と、
 中央アフリカの音楽家たちによるポリフォニーだが、エマールはライヒの「木片のため
 の音楽」を、ピアノによって、一人多重録音している。またライヒでもう1曲、拍手の
 ための「クラッピング・ミュージック」を、エマールは一人多重録音。

 本当は代表作として、2台のピアノによる「ピアノ・フェーズ」をあげておかねばなら
ないが、目下のところ手許に音源がない。


ライズ(REISE,Jay、b1950-、アメリカ)

 ニューヨーク出身のライズはクラムらに作曲を学び、ジャズの知識もあるということだ
が、知名度は決して高くない。発売されている録音も少ない。代表作はオペラ「ラスプー
チン」ということだ。
 しかしアムランが彼の作品だけのアルバムを出しているからには、素通りできない。

○Hamelin(ALBANY,TROY665)2001年
 最初にピアノ独奏のための「ソナタ・リズミコスモス」で、これは残念ならが、それほ
 ど印象に残らない。次はファゴットとピアノのための「イエローストーン・リズム」。
 前半はペルトばりの静謐な音楽で、後半は動的になり、その後者は、それなりに楽しめ
 る。続いてソプラノ歌手とピアノで演奏する「サトリ」(「悟り」絡みらしい)。これ
 もペルトっぽく始まるが、武満サウンドに近い音楽が続く。共演のアップルバウムは、
 彼女としては意外なほどノンビブラートで歌ってくれているが、古楽歌手ならより感動
 的にやれただろう。最後はピアノ独奏の「The Devil in the Flesh肉体の中の悪魔」か
 らの6つの絵画。当盤では、これが最も楽しめる。最初の2つは左手だけで演奏するよ
 うに書かれており、特に第2曲「とんぼが近くで鳴く」はアムランの超絶技巧あってこ
 そ。また第4曲「理由のない喜び」も技巧的に難物。終曲「屋根の上の狂った女」は、
 ジャズやニューエイジ的感覚で(といっても、わかりやすい曲では全くないのだが)、
 なかなかの高揚を示す。静かな曲も、無調が平気な人なら、これは美しいと感じるだろ
 う。


レスピーギ(RESPIGHI,Ottorino、1879-1936、イタリア)

 一般には「ローマ三部作」と「リュートのための古風な舞曲とアリア」くらいしか知ら
れていないが、探索すれば面白い物が沢山ありそうである。

 まずは連弾で有名曲を聴いてみる。
○Moneta & Rota(LA BOTTEGA DOSCANTICA,DISCANTICA16)96年
 ローマの松、ローマの噴水、及び、古風な舞曲とアリアの第1、3組曲を連弾で演奏し
 たもの。古風な舞曲とアリア第3組曲以外は、作曲者自身による編曲。これが、意外な
 ほど良い。特に「ローマの噴水」は、ピアノならではの音色、特に煌くような高音のお
 かげで楽しめる。「松」は、さすがに管弦楽に敵わないが、第3曲はヒーリング・テイ
 スト(鳥の鳴き声は入れていないが)。奏者たちは、微妙なニュアンスを巧みに表現し
 ている。録音状態も良い。

 ピアノ独奏曲を集めたCDで、入手しやすそうなもの。
○Scherbakov(NAXOS,8.553704)95年
収録曲:古風な舞曲とアリア(6曲);6つの小品;ピアノソナタ;3つの前奏曲
 演奏技巧的には万全のシチェルバコフが弾いてくれたのは嬉しい。有名な「シチリアー
 ノ」の中間部の切れ味は、彼の技巧あってこそ。ピアノソナタは、ちょっと中途半端。
 もしかしたら「3つの前奏曲」に興味を持つ人はいるかもしれない。なお楽譜だが「3
 つの前奏曲」以外の作品は、日本の全音から国内版楽譜が出ている。

 同じピアニストによるナクソス盤で、協奏曲物も要チェック。
○ピアノ:Scherbakov(NAXOS,8.553366)96年
 作品としては「Concerto in modo misolidio」の方が知名度が高いだろう。ピアノの活
 躍度はかなり高く、第2楽章から第3楽章への移行部など素晴らしい瞬間もあるが、全
 曲としてはどうだろう。演奏機会が増えそうな作品とも思えない。むしろこのCDでは
 5つの独奏楽器と弦楽のための「Concerto a cinque」に惹かれる。殆ど室内楽のよう
 な響きが却って新鮮で、ピアニスト、シチェルバコフの技の冴えも、むしろこちらの方
 に驚異を覚える。


ロイプケ(REUBKE,Julius、1834-1858、ドイツ)

 ピアノソナタとオルガンソナタ各1曲が、今でも演奏される。そのピアノソナタ変ロ短
調、これはなかなかの力作である。30分近くかかる、本格派でシリアスなソナタ。リスト
のピアノソナタを重々しくした、そんな感じである。秘曲とは、こういうものをいうのか
も。興味深い作品であることは間違いないのだが、今回、改めて聴きなおすと、ちょっと
長すぎるかなあ。
○Fellner(ERATO,0630-12710-2)96年
 シューマン「クライスレリアーナ」とのカップリング。


レイノルズ(REYNOLDS,Stephen、b1947-、イギリス)

 どういう人なのかさっぱり知らないが、コンポーザー・ピアニストであるらしい。近代
イギリス物をやらせれば天下無敵のハフが素敵な小品を素敵に弾いている以上、とりあげ
ないわけにはいかない。
○Hough(HYPERION,CDA67267)2001年
 ディーリアス、フォーレを称える、それぞれ「2つのポエム」を収録。ディーリアスの
 方、第1曲はすぐ終わる。第2曲が10分弱で、激しい部分と叙情的部分との対比が印
 象的、結構いける。フォーレの方は、まず第1曲が直接的にキレイ。第2曲は快速で、
 ハフの腕が冴え渡る。なかなか、無視できない小品たちだ。

 なおハフには、ディーリアスへのオマージュの方のライヴ音源もある。
○Hough(DANACORD,DACOCD429)94年ライヴ


リムスキー=コルサコフ(R-KORSAKOV,Nicolai、1844-1908、ロシア)

 作品数が多く、なかなか全貌が掴みにくい人である。

 ピアノでは一枚、意外な線で推薦盤がある。
○Goldstone & Clemmow(OLYMPIA,OCD630)90年
収録曲:Scheherazade;Capriccio espagnol;Neapolitan song(以上4手)
 作曲者自身の編曲によるピアノ4手のための作品を集めた一枚。まずは何といっても、
 「シェヘラザード」が良い。ピアノでこの曲を、これほどいい感じで聴かせることがで
 きるというのは発見だ。バイオリンソロが魅力のこの管弦楽曲、ピアノじゃ無理だろ?
 と思いながら聴くと、意外や意外、そんなことはないのである。まあ、このデュオは管
 弦楽物が得意だから良いのかもしれないが。「スペイン狂詩曲」はまずまず。終結部の
 盛り上がりは良い。そして一聴を薦めたいのが「ナポリの歌」で、主題はご存知「フニ
 クリ・フニクラ」である。ただ正直言って、ひねくり回しすぎの感もある。もっと正直
 に、ただぱっぱらぱーで盛り上がればよいのに。終わりの部分の、ハ長調と変ニ長調を
 行ったりきたりする転調感は変ちくりんである。

 「シェヘラザード」と言えば、プロコフィエフが、美味しいところを繋いで10分程度の
ピアノソロ版に編曲している。終止の辺りが淋しいが・・・。
○Guindin(SAISON RUSSE,RUS288161)98年
 プロコフィエフ自身の演奏による音源から、ギンジンが逐一、音を聴き取ったというこ
 とだ。シンフォニックに弾こうとする姿勢がとても良い。他の収録曲はプロコのピアノ
 独奏曲。
○Park(TRITON,DMCC-26021国内盤)98年
 韓国の女性ピアニスト、朴久玲によるロシアのピアノ曲集。こちらもギンジンによる採
 譜楽譜を使用と明記してある。センシティヴな演奏はできる人。
○Vinocour(ARTENOVA,74321 63636 2)98年
 プロコフィエフによるトランスクリプション全集2枚組。演奏・録音の良さを考えれば
 価格の安さは驚異的。演奏者が少し手を加えているようだ。


 あとピアノで聴くリムスキー・コルサコフと言えば、「くまばちの飛行」のピアノソロ
版がある。ラフマニノフの編曲が有名で手許の音源も多数。編曲者自身による演奏が、録
音年の割りに音質も非常に良く、推薦できる。モノラル録音が嫌ならボレット盤を。演奏
時間は70秒前後。なお、生演奏の思い出としては、ラン・ランの来日公演でのアンコール
が圧巻だった。
○Biret(NAXOS,8.550978)96年
○Bolet(PHILIPS,456724-2)73年ライヴ
○Brailowsky(RCA,09026 68165 2)45年
○Browning(MSR CLASSICS,MS1121)58年ライヴ
○Horowitz(EMI,CHS7 63538 2)32年
○同音源(APR,APR5517)
○Margulis(OEHMS,OC545)2004年
○Rachmaninoff(RCA,61265-2)29年
○同音源(PHILIPS,456943-2)
○Shelley(CHANDOS,CDS44041/8)91年
○Wild(PHILIPS,456991-2)81年ライヴ

 「くまばち〜」の、他の編曲版。なおシフラ版は別項で扱う。
○Kitain(APR,APR7029)38年
 Strimer版。
○Park(TRITON,DMCC-26021国内盤)98年
 Oborin版。
○De Maria,Libetta(VAI,VAIA1212)2001年?ライヴ
 リベッタ編曲の2台ピアノ版。2人の高度な演奏技巧が要求されるスリリングな編曲。
 聴衆の拍手が凄いが、CDを通して聴くと、そこまでの感動はどうか。
○THE 5 BROWNS(RCA,82876 66008 2)2004年
 兄弟5人のピアノアンサンブル・ユニット。5台ピアノのアンサンブルが心地よい。こ
 のアルバムの代表的な1曲と言える。

 もう少し落穂拾い。
○Bloch(DANACORD,DACOCD389)91年ライヴ
収録曲:Kleines Lied in Dorisch auf 'e';Novellette op.11-2;Romanze op.15-2
 ご存知、秘曲を集めたHUSUM FESTIVALのライヴで、確かにこの作曲家のピアノ独奏曲は
 珍しいが、これは発見!と嬉しくなるほどのいい曲でもない。
○Rubinstein(BELLAPHON,690 07 007)25年ピアノロール
 オペラ「金鶏」から「太陽賛歌」を演奏者が編曲したもののようだ。強い印象を残すも
 のでもない。


リッツェン(RITZEN,Peter、b1956-、ベルギー)

 中国に魅せられた西洋の作曲家は多いが、これはモロに中国だ。あまりに恥ずかしげも
無く中国しているものだから、「ピアノ協奏曲 黄河」あたりも嫌いではない僕は、好感
を持ってしまう。マルコポーロ・レーベルの2枚のアルバムがある。
○Peng指揮Shangphai phil chorus and orch.(MARCOPOLO,8.223980)95年
 ソプラノ独唱、合唱、ピアノと管弦楽のための「チャイニーズ・レクィエム」。各曲の
 タイトルこそ普通のレクィエムだが、歌詞は中国語で内容も独自。この、レクィエムと
 いう題材からは全く想像できない、安易な中国趣味いっぱいの音楽が、僕の心を和ませ
 る約45分間。それにしても美しい中国風旋律のオンパレード、いいじゃん。ピアノがま
 た、映画音楽風に全体に絡んでくるんだ。第7曲「Confucius」のカデンツァの甘ったる
 さ、最高。合唱団は日本のプロ合唱団みたいな音色で結構上手く、耳に馴染みやすい。
○ピアノ:作曲者、Peng指揮Shangphai PO(MARCOPOLO,8.223969)95年
収録曲:The Last Empress(Concerto for piano and orch.);
 Piano Concerto(China in the Year of the Dragon);
 Lady White(Transcripition for piano of a Chinese Opera Aria)
 こちらの方は純粋にピアノの作品集なのだが、曲の魅力として上記レクィエムに劣る。
 陶酔度が低いなあ。


ロジャーズ(RODGERS,Richard、1902-1979、アメリカ)

 ご存知「サウンド・オブ・ミュージック」のロジャーズである。
 オリジナルのピアノ曲を云々したいわけでは全くない。やはりこのアルバムだけは、こ
のトランスクリプションだけは聴かねばならないと思うのだ。
○Hough(VIRGIN,VC7 90732-2)86年
 サウンド・オブ・ミュージック中の有名曲「私のお気に入りMY FAVORITE THINGS」の、
 演奏者によるピアノソロ版。こういうのを良いと思う人は、マニア的ピアノ愛好家にな
 るだろうし、いいと思わない人は、こういう方面には徹底的に背を向けた方が良い。別
 に、どちらの態度が良いということはない、好みの問題だ。いずれにせよ僕は、この編
 曲を聴いて、ハフというピアニストに心から、しびれてしまったのだ。

 ハフは少しずつロジャーズを編曲しており、楽譜も出版されている。以下はいずれも、
それなりに魅力もあり、「カルーセル・ワルツ」ではハフの名技を堪能できるが、「私の
お気に入り」ほどのパンチは無い。
○Hough(VIRGIN,VC7 59304 2)91年
収録曲:March of the Siamese Children
○Hough(HYPERION,CDA67043)97年
収録曲:Carousel waltz; Hello young lovers

 手許にもう一つ、ロジャーズ物がある。
○ピアノ:Wild、Rabinowitz指揮London Promenade O(IVORY CLASSICS,70801)65年
 ミュージカル「On Your Toe」からの音楽「Slaughter on Tenth Avenue」を、ピアニス
 トのワイルドが編曲したバージョンらしい。ワイルドの演奏は華麗なこと極まりなく見
 事だが、作品としては今ひとつ。


ローゼンブラット(ROSENBLATT,Alexander、b1956-、ロシア)

 ジャズの影響下にある、ロシア出身のコンポーザー=ピアニストとして、カプースチン
と共に注目される人。音楽人生、どうもクラシックだけじゃあ退屈するなあと感じてる愛
好家であれば、これは聴いてみるしかない。
 国内盤のCDが複数入手できるなんて、日本はいい国です。
○Rosenblatt(TRI-M CLASSICS,DICC-26069国内盤)93,2000,2001年
収録曲:「不思議の国のアリスの冒険」から2つのフラグメント(2P);
 2つのロシアの主題によるコンチェルティーノ(2P);タンゴ(2P);
 ビゼーの「カルメン」の主題によるファンタジー(2P);
 パガニーニの主題による変奏曲;ピアノソナタ第2番;
 鉄腕アトムの主題によるファンタジー
 自作自演盤で、2台ピアノ作品はオレグ・シンキンとのデュオ。「パガニーニの主題に
 よる変奏曲」は全ての部分が良いというわけではないが、いくつかの変奏と、終止に向
 けての高揚がとんでもなく良い。ピアノソナタ第2番は第1楽章の終わりと、第3楽章
 が特に 滅法かっこいい、かっこよすぎ。ショパンのピアノソナタ第2番終楽章のジャ
 ズ版の趣き。「鉄腕アトムの主題によるファンタジー」は、何しろあの有名な旋律がテ
 ーマで、初めて聴く人はぶったまげるだろう。4つある2台ピアノのための作品ではま
 ず、「2つのロシアの主題によるコンチェルティーノ」が、主題に「モスクワの夜」と
 「カリンカ」というお馴染みのテーマを使っている親しみやすさと、後者のテーマで繰
 り広げる大騒ぎで注目される。「不思議の国のアリスの冒険」からの断片は、たくさん
 の有名曲(特に「ネコふんじゃった」が出てくるのは嬉しい)のコラージュが笑える。
○Tokarev(TRI-M CLASSICS,DICC-26074)2001年
収録曲:2つのロシアの主題によるコンチェルティーノ(2P);ピアノソナタ第3番;
 パガニーニの主題による変奏曲;鉄腕アトムの主題によるファンタジー;
 こちらは、作曲者よりもずっと若いピアニストのアルバムで、ピアノ曲以外にも2つの
 室内楽、「チェロとピアノのためのソナタ」と、「カルメン・ファンタジー」のクラリ
 ネット+ピアノ版を収録している。2台ピアノの「コンチェルティーノ」は、作曲者と
 のデュオ。自作自演盤と曲目が重なっていないのはピアノソナタ第3番。これは単一楽
 章、15分強の作品で、ローゼンブラットとしては難しいクラシカルな作品で正直いまい
 ちと感じるが、終止は例によって上手い。
○Tokarew(SONY,88697075832)2007年
 上記と同じピアニストだが姓の表記はアルバムに従う。ソニーからのデビュー盤に、ロ
 ーゼンブラットの「パガニーニの主題による変奏曲」を収録。

 何でも、独唱・合唱とオーケストラによる「ブラゴヴェスチエ」なる作品もあるという
ことで、ピアノ&合唱ファンの僕としては、聴いてみたくてウズウズ。しかしこの人、21
世紀には、録音が激増するのかもねえ。


ローゼンタール(ROSENTHAL,Moriz、1862-1946、ソ連→アメリカ)

 ショパン弾きとして鳴らした名ピアニスト。この時代のピアニストらしく当然のように
作曲もした。ヨハン・シュトラウスの項で触れる編曲物もあるが、その他、ごく小さい作
品の音源がある。
○Hough(VIRGIN,VC7 90732-2)86年
○Kuzmin(RUSSIANDISC,RDCD10026)94年
 2分半ほどの小品「パピヨン」は腕自慢のピアニストならアンコールに使えるだろう。
 上記のうちハフの軽やかな演奏は真に見事、チャーミングの極み。
○Manildi(ELAN,CD82416)97年
 2分かからない「前奏曲 嬰ヘ長調」。まあ、特筆すべき小品でもない。
○Ullen(BIS,BIS-CD-1083)2000年
 ショパンの子犬のワルツによる練習曲で、冒頭は右手を三度にしている。


ロスラヴェツ(ROSLAVETS,Nikolay、1881-1944、ロシア)

 ロシアで新しい音楽の地平を切り開こうと試みた一派の一人。作曲者本人としてはこう
いう形容は不本意だろうが、ロスラヴェツを聴いたことがない人に一言で特徴を述べると
すれば、「スクリャービンを難しくしたの」となるだろうか。いずれにせよ、この過小評
価されてきた作曲家に、アムランのディスクが登場した意義は、とてつもなく大きい。僕
としては正直言って、大いに興味が湧く音楽ではないのだが、例えば「3つの練習曲」の
終曲やピアノソナタ第5番などの、とんでもない盛り上がりを耳にすれば、20世紀音楽の
系譜をおさえたいという人には、一聴を薦めたくなる。あるいは、自分で弾きたくなる人
がいるかもしれない。
○Hamelin(HYPERION,CDA66926)96年
収録曲:Three compositions(1914);Three Etudes(1914);Two compositions(1915);
 Five Preludes(1919-22);Two poems(1920);ピアノソナタ第1、第2、第5番


ロッシーニ(ROSSINI,Gioachino、1792-1868、イタリア)

 言うまでもなく人気オペラ作家だったから、リストやタールベルクらのピアノ名人にか
かっては、編曲物のネタになる人であったことは、いたしかたない。しかし本当は、ピア
ノ独奏曲がもっと注目されるべき人である筈だ。「老年の過ちPeches de Vieillesse」と
いうタイトルでまとめられた膨大な曲集があるのだが、以下のチアーニ盤を聴けば、ロッ
シーニのピアノ曲ってこうだったのか、と驚く人がとても多い筈だ。これは、彼のオペラ
を聴く喜びに共通したものを与えてくれる。演奏が良いのかもしれないが。
○Ciani(AGORA,AG233.3)68年
 「老年の過ち」の第7、8巻を収録。録音年代の割には音が悪いのが残念だが、それを
 補って余りある演奏の良さ。夭折のピアニスト、チアーニの実力爆発だ。第7巻では第
 1、6、11曲なども良いが特に第7曲「Un profond Sommeil -Un Reveil en Sursaut」
 の後半の反復音などの技巧性は耳を惹きつけてやまない。第8巻の方は更に良い曲のオ
 ンパレードだと思う。第1、2、10、12曲などが印象的だし、第5曲のフーガが意外と
 いける感じ。

 同じ曲集からの抜粋などを弾いたアルバムが手許にもう一つ。
○Chiu(HARMONIAMUNDI,HMU907102)92年
収録曲:「老年の過ち」より7曲;ウィリアムテル序曲(リスト編)
 チュウも相当なヴィルトゥオーゾなのだが、この録音はピアノの音が貧しく、演奏もチ
 アーニを聴いてしまっては物足りない。リストが原曲に忠実に編曲した「ウィリアムテ
 ル序曲」も、どうもピアノでやるには無理がある感じ。

 ピアノ曲の全容は、CHANDOSやCHANNEL CLASSICSあたりから複数枚のアルバムが出てい
るようだが、手許にはナクソスのアルバム。
○Marangoni(NAXOS,8.570590/1)2006年
 「老年の過ち」第7巻全曲と第9巻の1、2、3、5曲。ポリーニの調律師として有名
 なファッブリーニのスタインウェイを使用。マイクにピアノが近いが、悪くない音と、
 抒情的な演奏に惹かれる。

 編曲の話題が出てきたところで、「音楽の夜会」の第8曲「La Danza」には、リストの
正直な編曲があるが、同じ素材で20世紀生まれのピアニストが自分のやりたいように自由
にふるまった音源2題。
○Cziffra(EMI,CZS5 73780 2)
 演奏者自身の編曲。テープの状態が悪いのかピッチがヨレヨレなのが気持ち悪い。シフ
 ラらしい、指ぐーるぐるの大暴れ編曲。
○Hamelin(HYPERION,CDA67050)98年
 「練習曲第9番」と題された自由なトランスクリプション。これは来日公演でも聴いた
 が、凄まじい演奏効果だった。このスタジオ録音だって十分に凄い。

 またついでに、ロッシーニ・ネタの編曲物から一つ。

○Matsuev(RCA,82876 61273 2)2003年
 Ginzburgによる、「フィガロの結婚」の主題によるファンタジー。マツーエフが指向す
 る爆演タイプが、曲にぴったり。


ローザ(ROZSA,Miklos、1907-1995、ハンガリー)

 映画音楽の世界では重要な人であることは言うまでもない。何だか20世紀末くらいから
以前よりもスポットが当たってきて、映画以外の器楽曲の録音もよくみかけるような気が
する。手許には、ヒッチコック監督の映画のための音楽をもとにした、10分に満たないピ
アノ協奏曲「Spellbound Concerto」の音源が2種類ある。ワイルド盤は60年代半ばの割
りには良い音で聴ける。この手の音楽ならワイルドに任せたい。
○ピアノ:Fowke、O Duinn指揮RTE Orch.(NAXOS,8.554323)95年
○ピアノ:Wild、Gerhardt指揮London Promenade O(IVORY CLASSICS,70801)65年

 ピアノ独奏曲では、「ピアノソナタ」の初録音の音源をあげておく。
○Pennario(MSR CLASSICS,MS1188)56年
 ペナリオの初期音源4枚組。


ルビンシテイン(RUBINSTEIN,Anton、1829-1894、ピアノ)

 ピアニストとして絶大な地位を築いただけでなく作曲も行い、ロシアのピアノ音楽史の
発展においては名前をあげないわけにはいかない人物で、ピアノ曲もそれこそたくさんあ
る。現在は「ヘ調のメロディーop.3-1」がピアノのレッスンでも使われる程度かもしれな
い。僕のように往年の名ピアニストの録音も好んで集めていると、この作曲家の音源も少
しずつたまってくるのだが。

 ではその有名な「ヘ調のメロディー」だが、手許の音源は少し。ピアノよりも、他の独
奏楽器や管弦楽のための編曲の方が好まれているのが現状だと思う。
○Hofmann(PHILIPS,456835-2)23年
○Hough(VIRGIN,VC7593042)91年
 ホフマン盤には黄金時代のピアニストたちに好まれた「ワルツ・カプリース変ホ長調」
 の1912年録音も含まれているが、こんなに古い録音でも、音の美しさには目を見張るも
 のがある。

 まとめて聴いてみたいという人のために、マルコポーロ・レーベルがある。特に、今で
も代表作と呼ばれることがある「天使の夢」を含む曲集「Kamenniy-ostrov」の全曲が聴
けるのは嬉しい。
○Paley(MARCOPOLO,8.223894)94年
収録曲:6つの練習曲Op.23;舟歌第1〜6番
○Banowetz(MARCOPOLO,8.223846)95年
収録曲:Kamenniy-ostrov vol.1
○Banowetz(MARCOPOLO,8.223847)95年
収録曲:Kamenniy-ostrov vol.2

 上記でも登場したが、史上最高のピアニスト、ヨーゼフ・ホフマンは、ルビンシテイン
から多大な影響を受けたという。彼が弾くルビンシテインのピアノ協奏曲の音源が残って
いるから要注目。演奏は常に凄い。ピアノ・パートの巨大さには言葉も出ないほど圧倒さ
れるが、僕としては曲に興味が湧かないというのが正直なところ。それにしても演奏の凄
さたるや・・・。
○ピアノ:Hofmann(MARSTON,52044-2)44,45年
 ロジンスキと組んだ第3番、クルーガーと組んだ第4番全曲。第4番の第1・3楽章の
音源も含む。
○ピアノ:Hofmann、Reiner指揮CurtisISO(VAI,VAIA/IPA1020)37年
 第4番の旧録音。

 この「第4番」が好きで好きでたまらないという人のために、デジタル録音音源。
○ピアノ:Hamelin、Stern指揮BBC Scottish SO(HYPERION,CDA67508)2005年


ラター(RUTTER,John、b1945-、イギリス)

 僕のラター熱は「合唱CD快楽派宣言!」の彼の項をごらんいただければおわかりいた
だけるだろう。ま、このように気持ち良い音楽というのも、僕の好みの一範疇なのだ。ラ
ターとピアノと言えばこの一曲、「ビートルズ・コンチェルト」である。内容は題名その
ままで、ビートルズの名旋律を使い、管弦楽と2台ピアノのための壮大な協奏曲に仕立て
た作品。LP発売時には、それなりに話題になっていたようだし、LP紹介本みたいな物
で見かけたこともあった。今、僕の手許には初演盤と、2003年の新盤とがある。せっかく
ならば、ラターの他の管弦楽曲が聴ける、作曲者指揮の新盤がいいだろう。
○Goodwin指揮(東芝,TOCE7346国内盤)78年
○Rutter指揮Royal PO(UNIVERSAL,476124-2)2003年
収録曲:Distant Land(dedicated to Nelson Mandela);Five Meditations for orchestra
 Suite for strings;Suite antique(flute:Andrew Nicholson,harpsichord:John Birch)
 Beatles Concerto(piano:Peter Rostal and Paul Schaefer)


リュッティ(RUTTI,Carl、b1949-、スイス)

 まあ普通は、日本で興味をもたれることは余りないだろう、現代スイスの作曲家。しか
し僕は、この人の無伴奏合唱曲をCDで聴いて、やけに音を大量に使って分厚い響きを構
築していくやり方をまのあたりにし、こういう路線も嫌いではないもんだから大いに興味
を持ったのだ。さて、自作自演のピアノ独奏アルバムがあり、手をだした。
○Rutti(HERALD,HAVPCD226)1998年
収録曲:SYMBOLE; PANTA RHEI; PARABEL; STUNDENBUCH
 おお、これは!合唱でやってることをピアノでもやろうとしている。さすがに、彼がや
 りたいことの表現媒体としては合唱の方が向いていると思うので、ピアノ曲として楽し
 めるものだと自信をもって言えるものにはなっていない。しかしただ1曲、ものすごく
 かっこいいのがあった。「STUNDENBUCH」の中の「Der Stachel des Todes」で、またま
 た例によって、グレゴリオ聖歌「怒りの日」の旋律を用いているのだが、この2分半ほ
 どの急速な部分は、ここだけ単独で弾くピアニストがいても全く不思議はないほど、優
 れている。あー、たったワントラックでもこういうのがあると、CD買ってよかった。
 あとは、10分程度の「PANTA RHEI」が、無伴奏合唱曲と同様の高揚を見せて楽しい。ピ
 アノのサウンドがとてもきれいなのも好ましい。


ジェフスキー(RZEWSKI,Frederic、b1938-、アメリカ)

 日本の出版社、全音は、たまに海外でも入手が難しい楽譜を出してくる。北欧シリーズ
もそのようだが、ずいぶん前、僕が興味を抱いた楽譜にアメリカ現代のジェフスキーによ
る「不屈の民 変奏曲」があった。妙に俗っぽいテーマに異様に長い変奏曲で、これは音
にするとどうなるのか?って箇所がたくさんある。更にその後、同じ全音からの出版で、
「ノースアメリカンバラード」があり、第4曲「Winnsboro cotton mill blues」の、ク
ラスターびしばし攻撃に妙に惹かれて、楽譜を買ってきて自分でぐじゃぐじゃに鳴らして
みたことがある。ジェフスキーという人が、独自の作曲・演奏活動を繰り広げているのを
知ったのは、ずっと後のことだ。

 そして今、アムランという20世紀後半が生んだ天才ピアニストのおかげで、ジェフスキ
ーの難曲たちが、理想的な形でCDに収められたのである。あるいはこれらはスタイリッ
シュに過ぎるかもしれないのだが、これはこれで、一つの理想形を示している。まずこれ
を、ベーシックアイテムに位置づけることができるだろう。なお「不屈の民」は、来日公
演も聴きに行ったが、その凄演は、1時間を短く感じらせた。
○Hamelin(HYPERION,CDA67077)98年
収録曲:The People United Will Never be Defeated;North American Ballads No.3,4

 興味がある人は、自作自演盤も買い求めることができる。


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