2003年07月16日 バンキエーリ・シンガーズ
会場:第一生命ホール(東京・晴海)
ちょっとちょっと、そこの合唱をやってるアナタ、
これ、聴きにいってみてくださいよ!
バンキエーリ・シンガーズの事をご存知ない方のために、このグループの簡単な紹介から。ハンガリーのヴォーカル・アンサンブルで、創立は1988年。ハンガリーの知る人ぞ知る、恐らくは世界一の女声合唱団、カンテムス少年少女合唱団の「男性」メンバー6人のメンバーが集まった。リーダーは、あの合唱指揮者デーネシュ・サボーのご子息であるショマ・サボー。演奏曲目から容易に想像されるように、キングズシンガーズの影響を強く受けており、演奏スタイルも、キングズと同じで、マイクを持たない、普通の合唱スタイルのアンサンブル。ハンガリーと日本の文化芸術交流の使者みたいな位置づけなのだろう、今回が5度目の来日ということだが、僕はこれまで、日程に恵まれずに、ナマに触れることはできないでいた。ハルモニア社からCDが出ているのでそれは聴いていたのだが、正直言ってCDだけだと、何があっても全ての用事をブッチして演奏会に駆けつけたい、という感じではなかったのだ。しかし今回、僕の中でこの演奏会の優先順位は相当にアップしていた。それは、メンバーチェンジを行い、女2+男4の6人になったこと。しかもその新たに加わった女性2人は、カンテムス同様に素晴らしいハンガリーの女声合唱団である、プロムジカ女声合唱団のメンバーであるということなのだ。リアルグループやトライトーンを溺愛する僕にとって、ヴォーカルアンサンブルたるもの、「女性」がいなくちゃ、ダメなのだ。
会場には15分遅刻して着いたが、ロビーのスピーカーで聴くポリフォニーの、恐るべき美しさよ。そう、この女性2人の声は、まさにプロムジカの声。カンテムスやプロムジカを世界一と崇めるほどに惚れてしまった僕にとって、声質は間違いなく100点であった。CDで聴くより、何倍も良かった。ちょっとここまで褒めすぎているが、実はアンサンブルは、100点というわけではなかった。特に前半の宗教曲の幾つかは、ハーモニーの不安定さも散見された。しかし、そのような欠点も、楽しい曲ばかりを集めた第2部では、忘れ去られることになった。世俗曲では、適度に身振り手振りを加えたりする余裕もある。全ての演奏曲を、各メンバーが、たどたどしいながらもきちんとした日本語で紹介するのも、キングズシンガーズの来日公演同様のサービスだ。事情はよくわからないが、アンコールを1曲歌ったところで、拍手は全く鳴り止まないのに、コンサートは終わってしまった。客が帰ろうとしないコンサート、演奏が素晴らしい証拠である。
歌った曲数は多いだけでなくジャンルも様々で、詳細は省略するが、ハイライトを3曲ばかりあげておきたい。
○Drayton作曲「Masterpiece」。これはクラシックの数多くの作曲家の名前、楽語、作曲技法をごた混ぜにしたもので、10分以上かかるし、相当にクラシック通でないと楽しめない。オタクを自認する聴き手なら、これはチェックしないといけないだろう。
○歌謡曲で喜納昌吉作曲、信長貴富編曲の「花」。歌唱は日本語。ああ、日本の合唱団も、これくらい上手く歌ってくれないだろうか。何て素晴らしいハーモニーなんだ。トライトーンの同曲(もちろんアレンジは違う)と共に絶品。
○チリ・コン・カルネ
何とリアルグループのコピーだ!
しかも、オリジナル通りでもない。チリ・コン・カルネの作り方を身振りでやってみたり。マイクを持ってないからリアルグループのようなパンチは無いが、僕はこのチリ・コンのため、感涙にむせんでしまった!
あ、大切な事を忘れていた。そういえばコチャール作品が一つあったのだが、会場には作曲者も来ていた。松下中央合唱団の委嘱初演のために来日しているということだ。
基本はクラシックのグループだ。でも、ルネッサンスから現代日本の歌まで、何を歌ったって素晴らしいのだ。マイクを使わずとも、6人とは思えないシンフォニックかつ純度の高い合唱の響き。これほどの演奏会だから、会場は立ち見客で溢れても不思議ではないのに、今日の客の入りは7割もいっていなかったかも。ということで、悔しいから、残った来日公演(彼らの来日は6月30日、帰国は7月30日)スケジュールを、プログラムから転載することにします(ホテルや学校でのコンサートは除く)。もしアナタの街に来てくれるなら、是非とも駆けつけてみてください。地元の合唱団との共演ということも多いだろうから、どこの演奏会でも上記に書いた曲が登場するとは保証できないが。問い合わせ先は日本ハンガリー合唱交流委員会(tel03-3416-1538)。
18日広島市安芸区民文化センターホール
22日大阪・いずみホール
25日ラ・ポールゆや油谷町文化会館
26日山口市民会館大ホール
27日宇部市渡辺翁記念会館ホール
28日東京・ティアラこうとう(地元の少年少女合唱団との共演)
(なお19日松下中央合唱団定期演奏会にコチャール氏とともに出席(ザ・シンフォニーホール)というスケジュールもあるようだ)
会場で売られていた新譜CD「MASTERPIECE」を買って帰った。この感想も後日必ず書きます。我慢できずに「チリ・コン」だけは聴いたけど、ブラヴォー!思わずエンドレスで反復鑑賞してます・・・
最後に一言、今宵の模様は、NHK衛星放送「クラシック倶楽部」が収録していた。この番組は時間が短く、コンサートの全てを放送してくれるものではないことが多いようだが、とりあえずオンエアを楽しみにしたい。録音や録画じゃ、真価は伝わりそうにないけど・・・。
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